中途障害の国家公務員が合理的配慮を求める訴訟 人事院と和解

「障害のある国家公務員に合理的配慮を求める法的根拠はこれまで不明確だったが、今回の和解により人事院規則を根拠にできることを確認した」

和解を厚生労働省で報告する小林さん(左から3人目)

脳梗塞による高次脳機能障害に配慮せず低い勤務評価を下したのは不当だとして、人事院に勤める小林和夫さん(55)が評価の取り消しや損害賠償を求めた訴訟は5日、東京地裁で和解が成立した。人事院側が、人事院規則に基づき障害者の配慮に努めるとした。

小林さんの弁護団は「障害のある国家公務員に合理的配慮を求める法的根拠はこれまで不明確だったが、今回の和解により人事院規則を根拠にできることを確認した」と和解の意義を語った。

訴状によると、小林さんは1995年5月に脳梗塞を発症。目で見た情報に臨機応変に対応する業務などを単独で行うことが困難となったが、2009年4月に人材募集や採用説明会などイベント業務を行う部署に配置換えになった。

業務に苦手意識を持った小林さんが元の業務に戻してほしいと上司に申し入れたものの、配置が変わらないまま、小林さんの10年1月1日付の昇給区分は5段階で下から2番目の「D」と判定された。

これを不服とした小林さんは12年11月に国を提訴。翌年、障害者差別解消法、改正障害者雇用促進法が成立したが、国家公務員として働く障害者は適用除外となっている。

(2016年12月14日「福祉新聞」より転載)

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