松井秀喜氏の臨時コーチに注目 プロ野球キャンプイン、セ・リーグ6球団の見どころ

迎える2月1日。今年は一段とキャンプへの視線が集まるだろう。最も注目を浴びるのは、松井秀喜氏が合流する読売巨人軍に違いない。その巨人を筆頭に、今年のセ・リーグ6球団のキャンプの注目を紹介したい。
時事通信社

迎える2月1日。今年は一段とキャンプへの視線が集まるだろう。最も注目を浴びるのは、松井秀喜氏が合流する読売巨人軍に違いない。その巨人を筆頭に、今年のセ・リーグ6球団のキャンプの注目を紹介したい。

■ 巨人の臨時コーチを務める松井秀喜氏

2014年、球春到来だ。宮崎、沖縄などで約2か月にわたるキャンプ、オープン戦がいよいよ始まる。1月31日に首脳陣はキャンプ入りし、地元の神宮、神社に参拝へでかけた。そして、ホテルではミーティングや新加入選手のあいさつなどが行われ、キャンプイン前日は終わった。

そして迎える2月1日。今年は一段とキャンプへの視線が集まるだろう。最も注目を浴びるのは宮崎でキャンプをスタートさせる読売巨人軍に違いない。その巨人を筆頭に、今年のセ・リーグ6球団のキャンプの注目を紹介したい。

巨人の宮崎キャンプでは、ヤンキース、エンゼルスなどでプレーした松井秀喜氏が2002年以来、12年ぶりに宮崎に帰ってきた。巨人は一昨年に引退した松井氏に臨時コーチを打診し、本人も快諾。ユニホームを着る予定はないが、チームが宮崎に滞在する間の約2週間、後輩たちを指導する。

打者である松井氏は主に野手への指導を行う。投手に関しては専門外であるため、ブルペンでの投球練習を視察するくらいになるだろう。しかし、選手が松井氏から学びたい大事なことは技術よりもメンタル面。著書の「不動心」にあるように、どんな時でも一心不乱にプレーする秘訣を教わりたいとナインは心待ちにしている。また、一緒にプレーしたこともある阿部慎之助捕手や高橋由伸外野手らは、当時、話すことができなかったことや聞いてみたかったことを積極的にぶつけ、自分の肥やしにするだろう。

1軍だけでなく、同じ敷地内にある隣接した球場で行われている2軍キャンプも松井氏は訪問する予定。松井氏の後の55番を引き継いだ大田にどのようなアドバイスをするのかにも注目だ。松井氏は宮崎キャンプを視察した後、ヤンキースのキャンプにも臨時コーチとして招かれているため、アメリカに戻るという。

■ 特別な一年になりそうな広島

一方、阪神のキャンプでは、掛布雅之打撃コーディネーターが2軍の安芸キャンプで目を光らせる。そこでは、打撃投手を務めるというのだ。打撃投手をすることで、打者の修正点が見えてくるという。「肩の開きやバットの出方などが分かる」と投手の視点に立って、アドバイスを送る。

掛布氏は昨年の秋のキャンプで若虎を指導。森田一成など、将来期待する選手に密着マークし、育成に力を注いでいた。その熱意で阪神の若手の底上げを図れるかに注目だ。

中日は谷繁元信新監督と落合博満GMのもと、新体制キャンプがどのような内容になるかに注目だ。以前の落合政権では密度の濃い練習で、どこの球団よりも長く練習を行っていた。落合氏は監督時代に優勝した際、「選手たちがよく練習についてきてくれた」と漏らしたことがあった。全体練習の量は12球団屈指と言っていい。今回のキャンプでも当時のような厳しい練習が行われれば、常勝軍団への第一歩になるはずだ。

その2人の首脳のほかに、同じことをくじけずに継続してやり続けることができる「努力できる才能」を持つ男、小笠原道大が巨人から加入した。日本ハム、巨人時代から小笠原の「練習の虫」は有名。人の見ていないところでも地味な反復練習を続けているが、その手本となっていたのが、プロ入りのときに日本ハムで一緒にプレーしていた落合氏の練習する姿だった。今年の中日はキャンプのメニュー、そして小笠原の地道に努力する姿勢に注目だ。

広島の2014年は特別な1年になるかもしれない。エース・前田健太がポスティングシステムを利用して、米球界に移籍する可能性がある。カープのユニホームが今年で最後になることもあり得るのだ。ただ、マエケン自身は周囲が納得するような成績を残さないとアメリカには行けないと考えているため、一層、本気度の高い練習を見ることできるだろう。

また、カープといえば、やはり若手の台頭だ。昨年は菊池涼介がセカンドでゴールデングラブを獲得。丸佳浩外野手も飛躍し、球団初のクライマックスシリーズ(CS)進出を果たした。ドラフトでも大瀬良大地や久里亜蓮といった大学球界屈指の右腕を獲得するなど期待値は高い。そのほかにも、下水流昂外野手、鈴木誠也内野手、田中広輔内野手ら、次世代の選手たちのブレークにつながる猛練習も注目だ。

■ バレンティンは遅れを取り戻すことができるか

横浜DeNAベイスターズの見どころは、先発ローテーション争いだ。昨年のチーム防御率は4・50とリーグ最下位。オフには投手陣を整備し、阪神から久保康友投手をFAで獲得した。さらに、巨人やエンゼルスで活躍したベテランの高橋尚成投手も加入。兼任コーチとなったエース・三浦大輔投手は、ベテランの力を発揮して、3人でローテーションを固めることを強く誓い、「おっさんローテ」を提唱した。

中畑清監督は昨年、新人ながら規定投球回をクリアした三嶋一輝投手らの成長から、「若手への期待が大きいから、ベテランがローテに入りきらないかもしない」と発言していた。そのコメントに三浦は異を唱え、「おっさんローテ」を強調したのだった。2人は報道陣を通じて火花を散らしたが、これもチームを盛り上げたい、チームに刺激を与えて活性化を図りたいという姿勢からきたもの。いわば、チームを強くしたいという共通認識のもとでの舌戦だった。今後も中畑監督、三浦兼任コーチの闘志むき出しのチーム作りに期待したい。

最後に、ヤクルトのキャンプの注目はやはり昨年、脚光を浴びた2人のタイトルホルダーだろう。2年目の最多勝右腕、小川泰弘投手と60発男のバレンティン外野手である。

小川は館山昌平、石川雅規らと開幕投手争いをすることになる。2年目の調整はどのように進めていくのかも見どころの一つ。また昨年の小川のように、ドラフト1位ルーキーの杉浦稔大投手がどんな投球を見せるのかにも注目だ。

一方のバレンティンには好奇の視線が集まるだろう。夫人への暴行、監禁容疑で逮捕され、保釈。無事、キャンプ初日からチームに合流することができたが、本塁打記録を塗り替えた男は、今回の騒動のせいでメディアの注目度が倍増する結果となった。

ただ問題なのは、他の選手たちが自主トレーニングを積んでいる期間に、一連の騒動の影響で、軽く体を動かす程度しかできなかったこと。近年ではオフの間にどれだけ個人練習を積んだかで、開幕時の結果が左右されている。今年も本塁打量産を目指す助っ人は2月1日から必死で遅れを取り戻すしかない。沖縄・浦添の球場でのキャンプで、バレンティンはどんな動きを見せてくれるのだろうか。

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