トランプ新政権移行チームに聞いた新日米関係はまだ「白紙」?

米国一国が頑張るのではなく、日本等の同盟国も一緒に「責任を果たしていくこと」が重要だとコメントしていました。

一般社団法人JCU主催で、トランプ新政権移行チームのメンバーであるピート・フークストラ氏を招聘し講演会が都内で行われたので参加してきました。

ピート氏は元下院議員で政権移行チーム安全保障担当上級顧問です。下院議員時代は2004年〜2007年の間、下院情報委員会議長も務めた方です。題目は「トランプ新政権の新日米関係を聞く」でした。

講演を聞いた結論としては、新しい日米関係についてはまだ「白紙」であるということでした。司会者も「白紙ということですね」と強調していました。

ピート氏はトランプ次期大統領が考える米国のリーダーシップはこれまでの後ろから支える形ではなくて、前に立ってリードしていくことが強い米国の実現には必要と考えている旨のことを話していました。恐らく、オバマ政権の弱腰政治からの脱却を言っているのでしょう。

ただ、このように「強い米国の実現」を強調する一方で、選挙期間中にトランプ次期大統領は「世界の警察官としての役割を果たし続けることはできない」とコメントしている訳ですが、では、世界の警察官の役割を果たさずしてどのように強い米国を実現するのか?という疑問が会場で提起されました。

ピート氏は、同盟国や友好国とのパートナーシップの構築やコラボレーションの強化を強調していました。つまり、米国一国が頑張るのではなく、日本等の同盟国も一緒に「責任を果たしていくこと」が重要だとコメントしていました。

そしてピート氏は「トランプ氏は偉大な米国の実現と同時に、同盟国や友好国も偉大になってほしいと考えている」旨を強調していました。

米国が同盟国や友好国と連携しなくてはいけないケースは日本の場合だと北朝鮮問題があります。この点、北朝鮮問題の核問題のスタンスにおいては、過去は「北朝鮮に核を保有させないこと」に焦点をあててきたが、新政権では「核を持った北朝鮮にどのように対応するか」に焦点を当てていくことになるだろうと氏は話していました。

(会場で久しぶりに鈴木衆議院議員と再開、左が筆者)

そして、TPPについてもピータ氏曰く、「トランプは商人として生きてきた。だからTPPからは撤退するかもしれないけど、別のものには入るかもしれない。」ということでした。

確かに別のスピーカー(元米国商務省上席商務官)がTPPの説明の中で、「多国間協定(TPP等)の欠点は、各国の異なる経済力、インフラ、産業構造、市場構造、製品技術力、品質、サービス提供能力などで、貿易標準や共通ルールを取り決めようという事に基本的に無理・矛盾を含む。その点。2国間協定の方が絞り込んだルールの構築ができる。」と指摘するように、実利を重んじる商人たるトランプ次期大統領はTPPより2国間協定を重視していくのかなと話を聞いていて思いました。

東猴史紘

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