千葉県天下り事情 1期生議員はもちろんなし!

幹部職員の52%が県の紹介で就職。

最近、新聞各紙の千葉県版で、千葉県職員の天下りに関する記事がいくつか目に入った。それらによると、千葉県がまとめた幹部職員(課長級以上)の再就職状況は、退職した86人のうち52%にあたる45人について県の紹介で就職したという。

県の紹介の有無に関わらず企業や大学で就職したのは66人とか。その中で県の外郭団体に17人就職した。数の上では自力で就職した人もいると思われる一方、紹介や斡旋は一般企業でもすることなので、この結果に関してすべてNOと言うつもりはない。"純粋な紹介"で、企業が「優秀だからこの人が欲しい」というのなら良いと思っている。

だが、その"紹介"の仕方によっては、看過できなくなりそうだ。具体的には、長年の慣例で「この役職の人は県幹部の指定ポストになっている」といったように既得権化する例や、受け入れ側が許認可業種で事業を優位に進めるために求人した・・などのケースがそれにあたる。

こうしたケースは公平性の観点から本来あるべき性質のものではないだろう。もっと問題なのは外郭団体への就職で、これぞ完全な天下り。この点を批判すると、OBは業務に精通しているため──という答えが返ってきそうだが、業務に精通というのなら優秀なプロパー職員を昇格させる、或いは、外部から公募で登用への道を開くという方法もある。

別に再就職をするなと言っているのではない。多くの県民が自力で頑張って職探しを行っているのだから、その感情や公平性を踏まえて進めて欲しいのだ。百歩譲っても紹介による再就職にとどめ、外郭団体への天下りは根絶すべきと考えている。

実は、千葉県における天下りの実態公表、報道でもあったが、民主党の議員の質問がきっかけで実現した。議場で質問を聞いていた際、この点は素晴らしいと思ったが、追及したのは公表まで。天下りを止めるところまで踏み込まなかった点について失望した。

加えて記すと、この議員は自治労直系の議員である。千葉県の職員組合は大半が共産党系の自治労連傘下だが、かりに県が天下りの根絶に動いた場合、少なからずの県内各市町村も追随することは想像に難くない。自治体によっては、組合が自治労系のところもあるため、天下りを止めろというつもりはないとの印象を受けた。

公務員改革を推進しようとする議員として、この点が、民主党、自治労系の議員の限界と感じている。議会で公務員制度改革などが論じられる場合、彼らは常に職員寄りの姿勢となるということを実感した。

さて、選挙に落選した後、「県から就職の斡旋とかないの?」という質問を受けたことがある。私には一切ない。だから自力で頑張っている。引退した他のベテラン議員のことはわからないが、少なくとも1期生の落選議員にはなかったのが事実だ。

「武士は食わねど高楊枝」と言われるかもしれないが、それでいい。自らが天下りの根絶を訴えている以上、自分がそんなことができるはずがないし、議員にそうした特権はあってはならない。

こうした安定していないことが、"議員のなり手がいない"要因の1つになっている可能性があるが、本論からはみ出すので別の機会に記すことにする。

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