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2015年07月30日 01時49分 JST | 更新 2016年07月28日 18時12分 JST

究極のインバウンド、中東の王族ご一行様を『おもてなし』!

FAYEZ NURELDINE via Getty Images
Saudi King Salman bin Abdulaziz (C) walks out to receive Sheikh Mohammed Bin Rashid al-Maktoum, ruler of Dubai (unseen) upon his arrival to attend the Gulf Cooperation Council (GCC) summit in Riyadh on May 5, 2015. AFP PHOTO / FAYEZ NURELDINE (Photo credit should read FAYEZ NURELDINE/AFP/Getty Images)

議員の時に政策の中で、とりわけインバウンドに力を注いだ。各論として、ムスリム観光客を増やすためにハラールの推進に取り組んだが、最近、そんな私の目を引いたニュースがある。各メディアが報じた、「サウジアラビア国王ご一行様がフランスの海岸を貸切り騒動になった」というのがそれ。とにかく、やることのスケールが大きい。これがインバウンドに関連する施策として、面白いネタのなるのでは──と思ったのである。

朝日新聞によると、その顛末は以下の通り。サウジアラビアのサルマン国王が25日、南仏コートダジュールの別荘に入った。「お付き」に加え、仏在住のサウジ国民ら1千人が集う大バカンス。近隣の高級ホテルなどは歓迎しているが、警備の理由で近くの海岸は立ち入りが禁じられ、市民には不満も募る。

つまり、周辺のビーチは国王ご一行様の貸切状態。仏当局はボートなどの航行も制限するなど、サウジ王室の「プライベートビーチ化」に不満が噴出しており、地元議員がネット上で呼びかけた反対署名には12万人以上が賛同しているという。

このニュースのどこがインバウンドの施策に関わるのか──「周辺住民が迷惑するような"お客様"などとんでもない」といった批判も出るだろう。だが、待って欲しい。何しろ、1000人のご一行様。来て頂ければ、中国人の"爆買い"どころではなく、とんでもない経済効果を地域に及ぼすことは必定なのだ。

私が、ハラールに携わった中で、聞いた話を紹介すると、日本茶のサンプルを試飲して気に入った、ある湾岸諸国の王族が「是非、これが欲しい」と言ったので、「何ケース用意しましょうか?」と聞いたところ「コンテナに満載して送って欲しい」──一事が万事、こんな感じなのである。

聞けば、高級リゾート地で中東の王族が来ると、周辺にある高級ブティックになる品々を根こそぎ買うケースもあるという。購入したものは、自身が開くパーティーで客にお土産として配るのだとか。"爆買い"のスケールが違う。

ビーチはもちろん、自然を楽しみながらの温泉など、いくらでもコンテンツは日本にある。雪を見て貰うだけでもいい。もちろん、食事の「おもてなし」は、世界遺産になった和食だ。食べ物はハラールという壁があるものの、私も千葉県の政策として携わった、ハラール和食のメニューも開発済み、レシピはあるのだ。

ここで、大事なのは、何と言っても"見たい""体験したい"と思うコンテンツだろう。これは中東の王族だけに限らない。一般の海外観光客にとっても同じことが言える。このオーソドックスの部分でも、実は頭の切り替えが必要だ。

昨年7月に一般財団法人経済広報センターが公表した「東京オリンピック・パラリンピックを契機とした観光立国に関する意識調査報告書」によると、「日本のどのようなところを世界にアピールしたいか」という問いに対して、「マナーや気配り」(72%)、次いで「食文化」(68%)、「治安の良さ」(63%)と続いた。

この結果を見て、それは「おかしい」と指摘したのが、日本文化に造詣が深い元ゴールドマン・サックスのデービッド・アトキンソン氏。著書の「新観光立国論」の中で、この結果に文化、歴史、自然が入らず、マナー、治安をアピールするとは"的外れ"と指摘している。

私も、まったく同感だ。食文化は和食というコンテンツがあるため、まだわかるものの、たとえば、私たちが海外を旅行する際、マナーや治安を判断基準にするだろうか?何かを観たい、体験したい──これらが、行き先を決めるポイントになると思う。

話がかなり脱線したが、日本の本当の意味での良さをアピールして、中東の国王でなくても、王族や富豪を観光客として呼べるようにするのは、有効なインバウンドの施策になると真面目に考えている。

とにかく、お金の使い方のスケールが大きい。ほんの1~2週間の滞在だけでも、その地域における通常の数か月分の経済効果が期待できる。決して与太話と思うことなかれ。大きな事業、ビジネスというものは、発想の転換から生まれるものなのだ。