18歳選挙権の次は、ネット投票の実現を

2016年夏の参議院選挙から、投票権が18歳以上に拡大されることになった。若者の意見が政治に反映されるようになると歓迎する声が上がる一方で、本当に投票するか危惧する意見もある。

2016年夏の参議院選挙から、投票権が18歳以上に拡大されることになった。若者の意見が政治に反映されるようになると歓迎する声が上がる一方で、本当に投票するか危惧する意見もある。

18歳選挙権について、僕は東京新聞のインタビューを受け、9月27日付け紙面に掲載された。若者の投票率向上について、「特定の思想信条を教え込むのではなく、政治的な決定は一人ひとりの投票行動の結果ということを理解させる、政治教育が必要だ。」「とりあえずネットでの政治活動と選挙運動を全面的に解禁し、将来的にはネット投票を実現すべきだ。」とコメントした。ネット投票とは、投票期間に、ネットを通じてどこからでも投票できる仕組みを指す。

国政選挙や地方選挙では、投票所入場券を投票所に持参することが本人確認の手段となっている。それでは、ネット投票では何で本人確認すればよいのだろうか。僕は、マイナンバーを活用するのがベストだと考えている。すでにエストニアで実施されているように、これなら、在外邦人が国政選挙に参加する在外選挙制度にも活用できる。国勢調査のネット回答にマイナンバーを利用すべきという記事を先にハフポストに投稿したが、ネットを通じた選挙権の行使にも国勢調査のネット回答にも公共的な価値があり、マイナンバーの活用先としては、民間利用よりも前に実施すべきである。

投票所で端末に投票を入力する電子投票について、わが国には暗い歴史がある。2003年に、岐阜県可児市議会議員選挙と神奈川県海老名市長選挙・市議会議員選挙で大きなトラブルが起き、導入の機運は消滅した。さらに技術的に複雑なネット投票の実現性を疑問視するかもしれないが、すでに10年以上が経ち、技術は大きく進歩している。エンタテイメントではあるが、AKB選抜総選挙は、パイプドビッツがシステムを運営して、100万を超える投票を問題なく処理している。

維新の党は、本年8月18日に党首選挙にネット投票を導入すると発表した。僕は外部監査人を委嘱され、運営を任されたパイプドビッツとともに準備を進めてきたが、党の分裂で党首選挙自体が中止となった。国政政党でのネット党首選挙が成功すれば、国政・地方選挙でのネット投票導入に一歩近づくと考えていたが、残念だ。

政治は一人ひとりの投票行動に左右される。18歳の若者に選挙権を与えたからには、彼らが容易に投票行動を取れるように、マイナンバーを活用したネット投票を速やかに導入すべきである。

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