今期、債務超過が解消しない場合は「上場廃止」 未だ鴻海が出資完了していないのも事実~ シャープ3000億円赤字で思うこと。

大きく損失を出す意図としては、前期に落とすものは落とせるだけ落として、今期のV字回復を印象つけるものと思われる。

昨日の日経はシャープの2016年3月期の連結最終損益が、3000億円規模の赤字となる見込みと報道した。

主力の液晶パネル事業の低迷に加え、製品の在庫評価損など特別損失が膨らんだ。3月末時点では債務超過になった公算が大きいとのこと。

2015年3月期末の純資産は445億円であったが、前期にみずほ銀行。三菱東京UFJ銀行、及び関連会社ファンドにより2250億円の第三者割当を実施し、その資金で2200億円の融資を返済し、実質的には債務株式化を行ったので、第三四半期の純資産は1600億円となっていた。

当初、前期の損失は2000億円とも2500億円ともいわれていたが、結果的に3000億円となるとのこと。但し、鴻海からの10月を期限とした3888億円の第三者割当が担保されていれば、資産の評価減や引当金積み増しはキャッシュフローに影響しないため、2000億円でも3000億円でもあまり関係のない話である。

大きく損失を出す意図としては、前期に落とすものは落とせるだけ落として、今期のV字回復を印象つけるものと思われる。これはカルロス・ゴーン氏が日産自動車で行った手法に近い。

■「一部指定」、「指定替え」、「市場変更」の言葉の定義

一方で、前期債務超過となった場合は、東証一部から二部に指定替えとなる。

ここで書いておきたいのは、一部で「指定替え」の言葉の使い方を勘違いしているメディアが多いことである。日経は今回正しく用語を使っていた。

よく、二部から一部に市場が変わることを「指定替え」と言っているが、「指定替え」とは一部から二部に降格する時のみに使う用語である。

二部から一部に上がる時は「一部指定」という。

因みにマザーズから東証一部もしくは二部に上がる時は「市場変更」という。

いずれにしろ、シャープは二部に指定替えとなったため、債務超過が解消しても再度一部指定の審査を受ける必要があり、事務負担が増えたのは頭が痛いところである。

■今期中に債務超過が解消しない場合は「上場廃止」

さて、前期債務超過になった場合、シャープは今期中に債務超過を解消しない場合には、上場廃止となる。

今回、鴻海はシャープと協議をして3000億円の損失に合意したということなのだろうが、前回も書いたが、現在、鴻海は契約締結したものの、増資がなされていないのは事実である。

先ずは、株主総会で第三者割当増資の決議の承認をとることが、最大の課題となる。

今回は1株88円であり、IR資料によれば、発行決議前日の平成 28 年 3月29日の当社株式の終値 130 円に対して、32.3%のディスカウント、1か月間の終値平均である 141.80 円に対して37.9%のディスカウント、3か月終値平均 140.52円に対して 37.4%のディスカウント、6か月終値平均135.60 円に対して35.1%のディスカウントを行った金額と説明している。

既にその兆候が出てきているが、業績が想定以上に思わしくなく、上場普通株の価格が1株88円と同等か、それ以下になってしまう場合、鴻海が意図している有利発行ではなくなってしまうため、出資条件の変更も考えられる。

いずれにしろ、シャープ、鴻海の今後の動向に注目したい。

(2016年5月4日「田中博文 Official Site」より転載)

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