【新たな子ども・子育て支援制度が始まります!】周知啓発への試み

国が4月から開始する「子ども・子育て支援新制度」。皆さんご存知だろうか?
Family with one child walking on pavement street in park.
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Sebastian Condrea via Getty Images

国が4月から開始する「子ども・子育て支援新制度」。皆さんご存知だろうか?

これは、消費税の増税分を確保して、保育の量・質の両面を向上させるという新たな制度だ。しかし、非常に重要な子ども・子育て支援制度の転換であるにもかかわらず、いまもって国民に十分知れ渡っているとは言い難い。

筆者も2013年4月から、この新制度の骨格を検討する内閣府「子ども・子育て会議」委員として、特に保護者・利用者の視点から制度構築に関わってきた。この新制度の枠組みについては、また別の機会に記事にしたいと思っているが、この会議を通じて実感してきたことは、この制度を理解してもらうには、徹底した情報開示とともに、地域住民の主体的な取り組みが不可欠だということだ。新制度について定めた「子ども・子育て支援法」第5条では、国民の責務について規定している。

子ども・子育て支援法第5条

国民は、子ども・子育て支援の重要性に対する関心と理解を深めるとともに、国又は地方公共団体が講ずる子ども・子育て支援に協力しなければならない。

支援法では、市町村が5年に1度「市町村子ども・子育て支援事業計画」を定めることにしている(第61条第1項)。4月の新制度開始に合わせて、この事業計画を策定する多くの市町村で「地方版子ども・子育て会議」が設置されて議論が行われている。ただ、市町村によってこの会議の位置づけが大きく異なっているのが実態だ。公募委員(4名程度)を積極的に募集し、毎月のように会議を開催し、事業計画に住民の意見をより具体的に反映しようと試みる市町村もあれば、公募委員を1~2名もしくは募集せず、年に1~数回の開催に留め、行政がまとめた事業計画案に対して委員が意見を述べる程度にしている市町村など、様々な形態が存在している。

ポイントは、事業計画がその地域において、その地域の特性・特色を生かしながら、地域の子ども・子育て支援施策の遂行に適したものになっているかどうか。地域住民の利用希望などを把握するために各市町村が行ったニーズ調査に基づいて保育の量などが推計され、事業計画期間中の各年次の利用定員を設定するなど、具体的な事業計画が策定されることになる。

そこで大事なのが、市町村の地域住民が主体的にその事業計画に関わったかどうかということになる。残念ながら、多くの市町村ですでに事業計画の策定が終わっているが、現在、パブリックコメントなどを出して、住民の意見を募集している最中している市町村もあるので、是非、自分のまちの事業計画について関心を持ってもらえたら嬉しい。

現政権においても地方創生を積極的に打ち出そうとしているが、まちづくりをしていくために不可欠な要素として子ども・子育て施策があるのではないかと考える。つまり、子育て中の当事者や行政、保育所・幼稚園などの施設運営者、子育て支援者だけで子ども・子育て施策を考えるのではなく、そこのまちに住んでいるあらゆる世代、あらゆる部門の人たちが集まり、次世代を育てていくための方策について考えていく必要があるのではないか、それがまちの活性化につながるのではないかと思っている。

新制度がそうした場を提供していくものになれば、まちづくりという視点でも必ずや新制度が活用できるに違いない。

内閣府では今年度、全国約20か所で「市町村子ども・子育て支援事業計画策定支援のための参加型勉強会」を開催し、様々な立場の人たちが集まり、新制度について知ったり疑問を解消したりするだけではなく、ワークショップを通じて自分たちの「まち」の未来や子育てについても考えていこうという周知啓発事業を実施している。筆者も内閣府委員の1人として、一部の勉強会に協力している。

今後行われる6か所は以下のとおりだ。是非、お近くの都市で開催するものがあれば、カッコ内の企画運営先のHPをご覧いただくか、問い合わせをしてもらいたい。

※2 陸前高田ではすでに募集期間を過ぎているが、若干空きがあるので企画運営先にお問い合わせを。リンク先はfacebookのイベントページとなっている。

今後も引き続き、「子ども・子育て支援新制度」について取り上げていきたい。

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