〝貸し借り選挙〟では未来は拓けない

日本列島全体が茹で上がるような暑い日が続いていますが、参院選も終盤に入り選挙情勢もヒートアップしています。

日本列島全体が茹で上がるような暑い日が続いていますが、参院選も終盤に入り選挙情勢もヒートアップしています。

もとより業界団体や労働組合などの既得権益団体とは一線を画している日本維新の会は、遊説に関しても草の根活動的な動き方をしています。我々の演説会場には既得権益団体による組織的な大人数の動員などはありません。非効率といえば非効率ですが、これが私たちらしい活動スタイルなのだと割り切っているので、このまま貫徹するまでです。その理由は後述します。

私自身もツイッターで演説場所などを告知しながら全国を走り回っています。この1週間は、木曜が新潟、金曜は広島、土曜が札幌、日曜が大阪、月曜が三重、火曜が福岡、今日水曜は長崎という日程です。今選挙期間中の移動距離は計算していませんが、かなりの距離になっているはずです。

体力はかなり消耗しますが、自発的に集まってきてくれる人たちの反応は良く、おのずと疲れが吹き飛びます。

さて、なぜ私たちは既得権益団体による組織的な選挙運動と一線を画しているのでしょうか。それは、〝貸し借り選挙〟こそ、我が国の政治を蝕んでいる根本的な原因であると思っているからです。

各種の業界団体や労働組合などの既得権益団体は自分たちにとって有利な政策を遂行してくれることを期待して選挙応援をするのが常です。支援を受ける側の政党や候補者も、例えば選挙前に「TPP断固反対」という署名を農協に提出するなど、既得権益を持つ団体の意向を色濃く反映した公約を掲げます。それら利益誘導を前提に選挙時の動員や集票、献金などの便宜を図ってもらっています。

それらの思惑が一致するとどうなるか。

組織票と言われるケタはずれの票が一定の政党や候補者に集まることになります。組織票に属さない一般の有権者にとって、それは無力感にもつながることでしょう。

当然ですが、既得権益団体から組織的な支援を受けた政党や候補者は、選挙後、それらの組織にとって不利な政策は遂行しません。確固たる信念のもと強いリーダーシップを発揮すればできないわけではありませんが、それは当該組織に対してはだまし討ちとなるわけで、そんな信念があるくらいなら選挙の時にこそしっかりと訴えるべきです。

結局、「まずは選挙に勝てばいい」ということが、後先を考えない至上命題となって大票田たる既得権益団体に魂を売り、日本の改革は一向に進まないというのが実態です。

前回のブログでも書きましたが、既得権益にメスを入れ、過剰に保護されてきた分野には競争を促し、あらゆる意味で我が国のチャンスを増やすことが成長戦略の本質です。農協や医師会(6月30日の前回のブログをご参照下さい)以外にも、特許権の切れたジェネリック薬品の健保医療への積極導入に反対する製薬業界、ハコモノなど公共工事の削減に反対する建設業界、バウチャー導入で選ばれことを拒否する保育業界や教育業界、公務員削減や成績評価に反対する公務員労働界、社外取締役の積極登用に反対する経済界など、例示すれば枚挙にいとまがないほどの各種団体があります。それらの既得権益団体は、いずれも自分たちが現在得ている利益を脅かす政策には一貫して反対しています。

現在のところ、各種世論調査では自民党の圧勝が予想されていますが、その背景には多くの既得権益団体の組織票があるということを忘れないでください。組織に頼らなかったとしたら、ここまで圧倒的な差は生じていないと言ってもいいでしょう。

結局、自民党が圧勝しても改革が進まない可能性が高いということです。これまで、既に利益を有している人たち(=既得権益者)の利益を守らんために、日本全体のチャンスが増えないまま日本の国力は低下してきました。一人でも多くの自由意思を持つ有権者が投票することで、そのような〝貸し借り選挙〟を凌駕することができれば日本の改革は必ず進めることができます。

今回の参院選は極めて重要です。衆院選は昨年末に実施されたばかりですから、今回の結果によって、向こう3年間の政治を決定づけるからです。

日本の将来を見据え、どの政党なら日本再建のために改革を断行できるか、その意味で責任ある政党はどこなのかを考えて投票していただきたいと思います。投票は有権者の貴重な権利でありつつ、重大な責務でもあるはずです。来たる21日の投票日か、それまで毎日実施されている期日前投票に是非とも足を運んでくれるよう、改めてお願いいたします。

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