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2015年07月27日 21時58分 JST | 更新 2015年07月27日 21時58分 JST

中国市場で失速するドイツ・韓国車を尻目に日本車が大健闘

2014年度に世界販売台数でわずかとはいえトヨタの世界販売台数を超え、さらに中国市場などの新興市場の成長をバネに、 世界首位の座を固めようとしていたVWですが、中国経済の減速の煽りを受け、世界販売台数が4月から3カ月連続マイナスと減速し、6月には前年同月比なんと8.6%減と失速してしまったようです。

6月の独VWブランド世界販売8.6%減、中国・中南米の低迷足かせ | Reuters

日経ビジネスがVW絶賛記事を載せていますが大丈夫でしょうか。車種ラインアップや車そのものを見る限り、それほど盤石じゃないと思うのですがどうでしょうね。

VW、止まらない成長:日経ビジネスオンライン

また現代自動車もかつての勢いの面影もなく、純利益が6四半期連続の前年割れの状態です。現代は中国市場で失速しただけでなく、3月に米国市場で月間最多を記録してから2カ月で販売台数が2けたの減少となり、急激に競争力を失い始めています。

サムスンも稼ぎの大きいスマートフォン事業で起死回生の一手とばかりに市場に送り込んだギャラクシーS6,S6エッジでしたが、注目された第二四半期(4~6月)の出荷台数も昨年同期の2.7%減で、7期連続で営業減益となるようで、サムスン、現代両巨頭の不振で、韓国経済もさらに厳しくなってきそうです。

韓国・現代自動車、思うように進まない再生計画 中国の景気減速、古くなった製品ラインアップ、ウォン高・・・ | JBpress(日本ビジネスプレス)

しかし幸いなことに、日本の自動車産業は健闘しているようです。VWや現代自動車が減速した中国市場でも伸びており、尖閣問題の影響で日系車がシェアを急激に落とした2012年以前の水準まで回復し、6月単月では、ドイツ車をシェアで抜いています。なかんずくトヨタ、ホンダ、マツダが好調でした。

日本自動車4社の中国シェア20%に上昇、尖閣問題前のレベル回復 | newsclip (ニュース、ASEAN、その他のニュース)

さて日本の自動車産業では、トヨタが国内向けのランドクルーザーに新しい2.8リッターのクリーン・ディーゼルエンジンを搭載したマイナーチェンジ車をリリースしたというニュースが目に入りました。世界最高レベルの最大熱効率のエンジンだといいます。

トヨタ、新型クリーンディーゼルエンジン開発 世界最高レベルの最大熱効率 (1/3ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)

ハイブリッド(HV)やプラグインハイブリッド(PHV)、燃料電池車(FCV)、そしてクリーンディーゼルへと守備範囲を広げていく戦略でしょうか。さらに詳しい記事があり、なんとトヨタは、クリーンディーゼルをすでに年間100万台規模の生産を行っており、昨年は生産台数で世界第四位だったそうです。

エコカー技術:クリーンディーゼルへ展開を広げるトヨタの「高熱効率・低燃費エンジン群」 (1/6) - MONOist(モノイスト)

そうだとすると、5月に行ったマツダとの提携の意図はなにだったのか、ますます謎めいてきました。「低燃費」を軸に情報や技術の共有を図ろうというのでしょうか。

トヨタ、マツダを「のみ込む」のか?マツダとの提携に「走らせた」危機感 | ビジネスジャーナル

マツダにとっては、「研究開発の負担を軽減してくれるトヨタのような強大で資金力のあるパートナーが必要だ。だが、トヨタのような大手企業にも、マツダのように小さいながらも機敏な企業から学ぶことが多々ある」(Forbes)ということなのでしょう。

確かに今はマツダは好調だとしても、弱小マツダが開発競争で勝ち続けていくのは軌跡に近いのかもしれません。

米国人記者が分析する「トヨタ・マツダ提携」の舞台裏

最終製品分野では、世界市場で生き残った数少ない分野の自動車産業が健闘してくれていることは喜ばしいことですが、国内では、アベノミクスが失速気味で、4-6月期のGDPはマイナスになると予想する向きが増えてきたようです。

新国立競技場見直しで、なんとか支持率が危険水域を割ることを避ける事ができたのですが、不人気な安保法制や国会運営方法に加え、そこに経済減速となると、安倍内閣がもつかどうかは極めて不透明となってきます。そうなると「安定内閣」という唯一の強みもあっというまに消えてしまいます。

自らの実力を見誤って失敗するのは、大阪都構想を実現できなかった橋下市長とも重なります。政治にも「マツダは多くの分野でトヨタの先を行っている」とした豊田章男社長の謙虚さが求められているのではないでしょうか。

(2015年07月27日「大西 宏のマーケティング・エッセンス」より転載)