お楽しみ!ネット通販戦争が開幕

緒戦は、ヤフーの収益が落ちることが嫌われ、また楽天の顧客離れを懸念し、いずれも株価を下げました。これは買いの好機が来たということでしょうが、どちらが買いなのでしょう。この挑戦を楽天がどう受け、どのような反撃を行ってくるのかが楽しみになってきました。

プロ野球パ・リーグは田中投手の劇的なセーブで楽天が優勝を決め、一方ソフトバンクは今期は冴えず、クライマックスシリーズ進出をも逃すという結果になりました。ネット通販も楽天圧勝、ソフトバンク傘下のヤフーは優勝戦線からは脱落という状態です。

もう国内のネット通販事業に関しては決着はついたも同様で、さらに勢いの差がでてきています。完全にヤフーの戦略は「間違っていた(孫ヤフー会長)」結果と言わざるをえません。

例えば、楽天のEC事業の国内流通額は2013年1~3月期で、対前年同期比14.5%増の3,817億円、4~6月期で対前年同期比17.1%増の4,130億円と絶好調です。一方のヤフーのショッピング事業の国内流通総額は2013年1~3月期で対前年同期比2.1%減の737億円、4~6月期で対前年1.4%減の735億円と振るいません。存在感が残っているのはヤフオクぐらいという状態です。

楽天の昨年度の決算説明書に楽天、アマゾン、ヤフーの国内ECでのシェアのグラフを掲載していましたが、ヤフーはこの成長市場の上昇気流に乗ることに失敗し、このレースから脱落しはじめていたのです。

※楽天決算説明資料より引用

しかし、突然、ヤフーが、Yahoo!ショッピング、 ヤフオク!のビジネスモデルを大きく変更し、国内eコマースの流通総額No.1を目指すと宣戦布告してきました。しかも発表会には「こういう場でヤフーの会長として話をするのは久しぶり、もしかすると初めてかもしれないが、お話ししたいことがあるのでやってきました」と孫会長が登壇されたので、いやはや大変な戦争が勃発しそうです。

目玉は、出店料、ロイヤリティ無料化です。さらにYahoo!ショッピングの出店ストアの顧客へのメール送信を自由化するとともに、自社サイトへのリンクも自由です。無料化ならついでに出店しておけば商機も増えるということになり、売り手が増える、売り手が増えれば商品が増える、商品が増えれば買い手も増えるという実におめでたいお話です。

いやはやさすがに孫会長まで登場するだけの内容です。思い切ったことをやるものです。さらにヤフーのEC事業をを推進するショッピングカンパニートップの小澤執行取締役は楽天出身なので、そのことがさらにこのゲームを面白くしてくれそうです。

カード決済手数料も業界最安値にするとのことですから、広告収入で稼ぎをつくるということでしょうが、しばらくは赤字覚悟で挑戦するということでしょう。大盤振る舞いです。

昨今は気がつけば、店に行ってもなかなか気に入ったものが見つからないので、着るものですらネット通販で購入することが増えてきましたが、さらにネット通販が充実してくれることは大歓迎です。

緒戦は、ヤフーの収益が落ちることが嫌われ、また楽天の顧客離れを懸念し、いずれも株価を下げました。これは買いの好機が来たということでしょうが、どちらが買いなのでしょう。この挑戦を楽天がどう受け、どのような反撃を行ってくるのかが楽しみになってきました。

どちらも頑張れ!

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