暗雲立ち込めるVW

VWが販売台数でトヨタを抜き世界一になったというニュースが流れたのはついこの間のことでした。

VWが販売台数でトヨタを抜き世界一になったというニュースが流れたのはついこの間のことでした。それで、トヨタとVWとの頂上決戦がヒートアップしてくるのかと思われたのですが、あれよあれよという間に失速がはじまり、そして追い打ちをかけるように起こったが米国での排ガス規制をめぐる不正の発覚です。それをうけて株価が23%も急落しましたが、それよりも深刻なのは、ブランドの信頼が揺らぐような事態を自ら招いてしまったことではないでしょうか。

VWが勢いづいたのも、つまづきがはじまったのも中国でした。VWの販売台数が大きく伸びたのは世界最大の自動車市場の中国で強固な販売基盤やブランドを築いたからです。VWの中国での2014年販売台数は367万台で、同年のVW世界販売台数1014万台の36%をも占めるほど中国市場への依存度が高まってきたのです。

しかしその中国で、昨年VWの中型セダン「サギター」の遅遅とし、おざなりなリコール対応への不満から、購入した消費者が中国113都市、各地の自動車ディラーに抗議活動を展開するという出来事が起こりました。

それが中国でのVWブランドへの信頼が揺らぐ結果となり、VWの中国市場での失速につながってきています。中国でのVWの昨年のシェアは21.3%でしたが、今年の第1四半期は18.0%にまで低下しています。逆に日本車、とくにトヨタ、ホンダが急伸してきたことはすでに触れました。

販売台数でVWのほぼ3分の1以上を占める中国市場で失速し、その追い打ちをかけるように米国で「一部車種が排ガス規制を不正に回避するソフトウェアを搭載していた」不正が発覚し、「最大約180億ドル(約2兆1600億円)の民事制裁金を科す可能性がある」(毎日新聞)という事態に陥っています。

利益率の低いVWにとっては、制裁金も痛いでしょうが、それよりもブランドが傷ついた影響のほうが深刻です。韓国の現代自動車と起亜自動車の燃費水増しの発覚でそれまで伸びていた米国市場で急ブレーキがかかってしまいましたが、おそらくVWが受ける影響のほうがはるかに大きいのではないでしょうか。VWは「世界各国で1100万台が関係している可能性がある。不正を明白にするため、フルスピードで取り組んでいる」と発表しており、世界市場に波紋が広がることも避けられない様相です。

VWに起こった問題の原因はどこにあるのでしょうか。なにか販売台数で首位をとることで暴走してしまったようで気になるところです。

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