自民が力を入れるネット選挙の行方

「オープンエントリー」プロジェクトは、システムを説明、本人確認を厳格に行うとして、Facebookでいいね!ボタンを押すような人気投票とは違う、と述べた。

24日夕方。東京・新宿駅(JR東日本)西口に登場した一台の街頭演説車。そのルーフに、自民党選挙対策副委員長の平井卓也衆議院議員が登壇した。

「あれ?参議院選挙はまだ始まっていないんじゃ・・・」怪訝に思った人もいただろう。

実はこれ、自民党がこの夏の参院選に向け立ち上げた、比例代表候補をインターネット投票で選ぶ「オープンエントリー」プロジェクトに選ばれたファイナリスト12名の街頭演説会だったのだ。彼らにとっては初めて有権者の前に顔を出す機会となった。

まず、党のIT戦略特命委員会委員長でもある平井議員が演説の口火を切った。458名の中から審査を受けて選ばれた12名のファイナリストの中から参院選全国区の公認候補を決めることになる、と説明。

彼らの人柄や政策などをインターネットや街頭演説を通じて知ってもらい、(インターネット上で)一票を投じてもらう、という今回の投票の仕組みを説明して、単なる公募ではないことを強調した。

また、このプロジェクトは、ホームページなどから投票者登録を行った人のみに投票出来る専用URLが送られてくるというシステムを説明、それを通して本人確認を厳格に行うとして、Facebookでいいね!ボタンを押すような人気投票とは違う、と述べた。さらに、登録した個人情報の管理はどこにも漏れない、として、情報漏えいなどのリスクを否定した。

続けて平井氏は、「最終的に自民党は、インターネットで投票ができる社会は本人確認さえきっちりとできれば、可能だと考えている。そういうシミュレーションも今回のプロジェクトの中には入っている。」と述べ、将来のインターネット選挙の実現に意欲を示した。

その後登壇した平将明衆議院議員(IT戦略特命委員会副委員長)も党の公式見解ではなく、個人的な意見と断った上で、「自民党の総裁選をネットで投票できる、そういったことも実現していきたいと思う。自民党が与党であればそれは即、総理を選ぶ選挙になる」と述べた。

12人のファイナリストはそれぞれ緊張した面持ちでルーフに立ち、思いのたけを制限時間5分に込めた。元国会議員や区議会議員など、人前での演説に慣れている人がいる一方、初めて街頭演説をやる候補者は言葉に詰まる場面も見られたが、熱意は伝わって来た。

しかし、党とファイナリストの意気込みとは裏腹に、立ち止まって聞き入っている人はほとんどが支援者で、総勢100名足らず、といささか盛り上がりに欠けた。18歳選挙権解禁というのに、足を止める若者はほとんど見られなかった。

一方で、ニコ生を視聴した人は、1万人を超しており、ネット時代であることを再認識させられた。

今後のスケジュールだが、投票者登録(5月2日〆切)を済ませた人には3月28日から投票用シリアルNo.が送信され、4月1日からネット投票が可能になる。ネット投票の締め切りは5月9日、11日には投票結果が発表される。

ファイナリストたちは、4月13日に討論会、4月下旬の最終演説を予定しているが、今後どれだけ有権者の関心が集まるか、ネット選挙の今後を占う試金石となろう。

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