2014年1月3日、JR東日本有楽町付近で発生した沿線火災は、首都圏の鉄道網がマヒする事態となった。今回はJR東海、東海道新幹線の品川駅について述べてみよう。
■正月真っ只中の沿線火災
2014年1月3日にJR東日本有楽町付近で発生した沿線火災で、同社東海道本線東京―品川間、山手線全線、京浜東北線東十条―蒲田間、JR東海の東海道新幹線全線で一時運転を見合わせた。この影響で、東海道新幹線となり、線路がつながっているJR西日本山陽新幹線、JR九州の九州新幹線もダイヤが乱れた。
報道各社は、東海道新幹線の全線運転見合わせに注目した。特に品川は"東京のサブターミナル"という位置づけとして、2003年10月1日に開業している。今回の沿線火災は、その機能に疑問を持つ人が多かったと思う。
JR東海によると、東海道新幹線を全線運転見合わせとした理由は、沿線火災及び消火活動の状況を踏まえた設備点検等の所要時間と、最繁忙日における品川での折り返し輸送に伴う利用客の安全確保、さらに運転再開後に多くの乗客を輸送しなければいけないという状況を、総合的に勘案したからだという。
10時過ぎに始めた品川での折り返しについては、沿線火災の消火活動や、終了後に行なう設備点検の所要時間、駅などでの利用客混雑に対する安全確保、運転再開後の旅客輸送を考慮した。
しかし、品川の折り返し運転は1時間あたり2本(〈のぞみ〉〈こだま〉各1本。すべて新大阪まで運転)、計7本しかできなかった。
なお、品川開業後、営業列車が折り返し運転を行なったのは、今回が初めてである。
■構想当初から全列車の折り返しを想定せず
JR東海が品川にホームを設置した目的は、1時間あたり最大15本(片道)の営業列車を設定することである。東京発着の場合、1時間あたり最大15本運転できるものの、4本が回送列車(東京―新幹線大井車両基地間運転)となるので、営業列車は11本しか設定できない。品川を起終点とする列車を1時間あたり4本設定することで、東海道新幹線の輸送力増強に備えたのだ。
ところが品川開業後、営業列車の運転本数が増えた。2006年3月18日から新幹線保安装置の要であるATC(Automatic Train Control:自動列車制御装置)をアナログからデジタルに切り替えたことで、運転間隔を詰めることができるようになったからである。2013年3月16日から、〈のぞみ〉下り東京発7・8・17・18・19時台は、1時間あたり最大10本運転が可能になり、2014年3月15日から下り東京発7~20時台、上り東京着9~21時台に拡大される。
■折り返し設備はあるが......
東海道新幹線品川のホームは2面4線(下り23・24番線、上り21・22番線)で、東京寄りに留置線(引上げ線)が3線ある。手持ち資料の平面略図を見ると、ややこしい配線となっている。
1.21番線から留置線に向かうことができない。
2.留置線は、3線とも24番線に入線することができない。
3.留置3番線に入るには、23番線を経由しなければならない。
折り返し運転をするには、22・23番線に限定されてしまう。
さて、上下線ホームとも直下に作業通路がある。営業列車の折り返し運転に備えたもので、業務用エレベーターも数か所あり、ホームとの行き来ができる。ただし、現在も品川折り返しの定期列車が存在しないため、ゴミ運搬装置や給水設備はない。清掃係員はいるものの、東京に比べると人数も少ない。
今回の沿線火災では、新幹線大井車両基地から品川駅に清掃係員を派遣して、折り返し列車の車内を整備した。同社によると、清掃係員の品川派遣については、移動可能な交通手段を見極めて判断するという。
参考までに、この日、JR東日本東京―品川間で運転見合わせをしなかったのは、地下を通る横須賀線のみで、ラッシュ時なみの混雑だった。
【協力:東海旅客鉄道】
(2014年1月25日Yahoo!個人「東海道新幹線品川駅2014」から転載。転載に際し、加筆、修正を行なっています)