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2015年11月03日 16時40分 JST | 更新 2016年11月02日 18時12分 JST

埼玉新都市交通2020系、2015年11月4日デビュー

乗降用ドア付近のロングシートに坐ってみると、"下からの眺め"が新鮮だ。

デザインコンセプトは、「グリーン・クリスタル」(三菱重工業提供)

「ニューシャトル」の愛称で親しまれている埼玉新都市交通(伊奈線大宮―内宿間)は、新型車両2020系が2015年7月に完成。8月3・4日に各3両が丸山車両基地に搬入され、各種試験などが行なわれたのち、2015年11月4日にデビューする。

■新しいエースにふさわしい強烈なインパクト

今までの車両(1000系、1050系、2000系)に比べ、2020系は"1度見たら忘れられない"ほどインパクトが強い。エクステリア、インテリアとも、昔、誰かが描いていた未来の車両が21世紀の「今」実現した印象を持つ。ほとんどの区間でJR東日本新幹線と併走するので、エクステリアは個性派ぞろいの新幹線電車にヒケをとらない。

「埼玉新都市交通伊奈線のウィキペディアには、新幹線と併走するニューシャトルの写真が掲載されておりますが、"その存在感の裾が如何(いかん)ともしがたいというものである"というのが、ウィキペディアを御覧になった方の多くが感じられたことではないかと思います。

日常的に発生するこの風景を沿線の皆様にために、なんとか変えたい。

わたくしどもが車両デザインを一緒にやっているGKデザイン総研広島と新交通車のあり方について、様々な議論とデザインスタディーを行ないました」

2020系を新製した三菱重工業(以下、三菱重工)が語る。

車体は軽量に優れたアルミで、現在の主力車両2000系のステンレスに比べ、約1トン以上の軽量化を図っている。車体断面は客室内の幅を最大限確保するため、後述するロングシート形状の傾きを基準とした六角形にしており、ロスのない合理的な空間を作り上げた。三菱重工は「合理的な形状でこそ美しいデザイン」と力説する。

今回の第1編成は車体カラー(ホワイトとブラックを除く)をグリーン(埼玉新都市交通のコーポレートカラー)としたが、今後増備される第2編成はオレンジ、第3編成はピンクを予定している。

ハイビームとニューシンボルマーク

ヘッドライト(前部標識灯)、テールランプ(後部標識灯)とも現代鉄道車両の標準といえるLED。前者については、ロービームが上半分、ハイビームはすべてがそれぞれ点灯する。行先表示器は2000系と同じ3色LED式。旅客列車はすべて各駅停車なので、それで充分なのだろう。

2000系は車体幅と客室の高さを拡大した。

なお、埼玉新都市交通では、シンボルマークを7色の輝きで伊奈線の未来を描く「セブン・ドリーム」に一新。既存の2000系もニューシンボルマークが順次貼付されている。

■坐り心地を大幅に向上させた新型ロングシート「G-Fit」

2020系の車内。第2・3編成も同じ色調の予定(三菱重工提供)。

インテリアでもっとも目につくのは、三菱重工が開発した新型ロングシート「G-Fit」だ。ゆりかもめ7300系、東京都交通局日暮里・舎人ライナー用330形で採用されており、今回の2020系で3例目となる。

「G-Fit」は着座幅を460ミリ確保し、背もたれの高さが肩まであり、さらに15度後ろに傾けている。ベルベットタッチの生地も相まって、リクライニングシートなみの坐り心地を誇る。実際に坐ってみると、腰にフィットしており、腰痛持ちにやさしい座席と言えよう。また、座面の先端をわずかに上げることで、足を通路へ投げ出す行為の抑制が期待されている。埼玉新都市交通によると、高校生の乗車マナー(特に着座姿勢)に関するクレームが多いという。2020系は"マナー向上の切札"ともいえるのだ。

近年の新交通システム新型車両は、荷棚の設置が可能となった。

ほかに、ニューシャトル車両では初めて荷棚を設置。その部分や天井、通路などに握り棒を設け、混雑時や吊り手がつかめない小さな子供に対応している。

室内灯は、こちらも現代鉄道車両の標準と言えるLED式で、従来の蛍光灯とは異なり、むき出しとなっていないので、天井がスッキリしている。

側窓は上段のみ開閉可能。UVカットガラスの使用により、カーテンを省略。

■乗降用ドアは外吊り式

乗降用ドア(側扉)は車体に"補足"を入れることで、六角形をイメージ。

乗降用ドアは混雑時の乗降時間短縮を図るため、従来の1300ミリから1400ミリへ拡大。さらにニューシャトル車両では初めて外吊り式(戸袋がないタイプ)を採用した。

乗降用ドア付近のロングシートに坐ってみると、"下からの眺め"が新鮮だ。

特筆すべきなのは、乗降用ドアの下部にも窓を設けられたこと。客室に開放感を持たせることで、室内空間の狭さをカバーしている。その上には3色LED式の旅客情報案内装置、ドア開閉ランプが設置された。

■鉄道博物館への足を意識して

乗務員室の背面部分(三菱重工提供)。

先頭車となる1・6号車は、乗務員室の背面に優先席と車椅子兼ベビーカースペースが設けられている。優先席は背もたれの一部をオレンジ、吊り手を山吹色にして顕在化する一方、乗務員室と客室の仕切り窓の面積を可能な限り広げ、立ち見ながら小さな子供でも前面展望が楽しめるほか、運転士の操作や計器類を間近で見ていただくことも車窓景観の一部として考えている(夜間などはカーテンを下ろすため、見られない)。ニューシャトルの沿線に鉄道博物館(同名の駅もある)があり、来場客やレールファンを意識したレイアウトとしているのだ。

2020系の運転台(三菱重工提供)。

運転台はワンマスコンハンドルで、最高速度60km/hでめいいっぱい飛ばす。また、乗降用ドアの開閉がボタン式となり、ワンマン運転時の操作性が向上し、手間を省いた。参考までに、当日乗車した1050系は運転士が手を伸ばした状態で乗降用ドアを操作していた。

■1000系フォーエヴァー

1000系は33年の歴史に幕を閉じる。

2020系の投入に伴い、1983年12月22日の開業時から活躍を続ける1000系の残り3編成が順次廃車され、2016年5月頃までに引退する予定だ。1000系の引退により、昭和生まれの現役新交通システム車両は、山万ユーカリが丘線の1000形、西武鉄道山口線の8500系のみとなる。

【取材協力:埼玉新都市交通、三菱重工業】

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