JR東日本E353系、2015年夏に登場!!

JR東日本は2014年2月4日、中央本線特急用E353系が2015年夏に登場すると発表した。同社在来線特急形電車の標準と言えるアルミ車体、VVVFインバータ制御のほか、車体傾斜方式の台車を採用する。

JR東日本は2014年2月4日、中央本線特急用E353系が2015年夏に登場すると発表した。同社在来線特急形電車の標準と言えるアルミ車体、VVVFインバータ制御のほか、車体傾斜方式の台車を採用する。

■E351系の置き換え用として登場

国鉄分割民営化後、JR東日本は中央本線用特急形電車として、曲線通過速度を大幅に向上させるため、制御つき振子台車を採用したE351系(1993年登場)、振子なしのE257系(2001年登場)を世に送り出した。大糸線ホーム有効長の関係で、基本編成と付属編成の2種類用意したのが特徴だ。最高速度はいずれも130km/hである。

同社プレスリリースによると、1993年に登場したE351系の老朽取り替え用として、E353系量産先行車は基本編成9両、付属編成3両の12両が登場し、性能評価や技術検証を行なう。

外観は「伝統の継承」と「未来への躍動」、内装は南アルプスとの「きよらかさ」、ビジネスの「機能性」、レジャーの「高揚感」をコンセプトとしている。

■外観

先頭車の前面は、特急〈成田エクスプレス〉用のE259系に似ており、黒を強調しスピード感あふれるデザインだ。イメージパースを見る限り、車体は、E351系のアースベージュ(「自然」、「地球」を表す)を濃い目にした色をベースに、グレースパープル(「気品」、「優雅」を表す)を明るくした補助色を入れている。車体側面は窓回りを黒く囲み、連続窓ふうに見せている。

先頭車の連結器は電気連結器も装備し、分割併合作業が容易にできる。

■内装

(1)普通車

リクライニングシートを採用し、シートピッチはE257系と同じ960mmだ(E351系は970mm)。シートモケットで共通しているのは、背もたれの下部から座面にかけては黒。背もたれの下部から上部にかけては、鮮やかな青、水色の2種類とした。

床は淡い水色と青を交互に配している。

(2)グリーン車

シートピッチはE351系、E257系と同じ1,160mm。すべて2人掛けで定員は30人だ。E257系のグリーン車の定員は28人なので、半室構造(1両につきグリーン車と普通車が半分ずつあること)が考えられる。

シートモケットは、背もたれの下部から座面にかけては上品なグレー、背もたれの下部から上部にかけては、ワインレッドで高級感を醸し出している。

(3)普通車、グリーン車共通

・走行中の振動を低減する動揺防止装置を、一部の先頭車とグリーン車に搭載する。同社の在来線特急形電車では、E259系の先頭車、常磐線特急用E657系の先頭車とグリーン車に、フルアクティブサスペンションを搭載し、走行中の振動を抑えている。

・室内灯にLEDを採用し、消費電力の低減を図る。

・床構造については、静寂性の向上を図る。参考までにE657系では、制振材を使用した低騒音床構造となっている。

・各車両に空気清浄器を設置。

・空気調和装置(空調)はE259系、E657系と同様、荷棚の先端付近から横向きに吹き出す方式とした。荷棚の下にも個別の空調吹き出し口があり、各座席で風向きと風量を調節できる。

・各座席にノートパソコンを置ける背面テーブルとコンセントを設ける。

・旅客情報案内装置はフルカラーLEDを採用し、行先、停車駅案内、運行情報、ニュースなどを配信する。

・各車両のデッキに防犯カメラを設置。

・各車両の客室とトイレ内には、乗務員と連絡可能な非常通話装置を設置。

(4)その他

・改良型ハンドル形電動車椅子の乗客でも利用できる大型トイレ、多目的室、車椅子を固定できる座席を設置。

・AED(自動体外式除細動器)を1編成に1台設置。

■注目はE351系と同等の走行性能実現なるか

現在、E351系で運転する特急〈スーパーあずさ〉の新宿―松本間は、最速2時間25分である。曲線通過速度は本則(基本の速度。曲線半径によって、制限速度が異なる)+25km/hで、振子車両の性能をいかんなく発揮している。

E353系は振子ではなく、車体傾斜装置つきボルスタレス台車を履く。同社の在来線車両では初採用で、なおかつE351系と同等の走行性能を実現すると断言している。参考までに、E353系と同じ車体傾斜システムを採用したJR北海道キハ261系の曲線通過速度は、半径600メートル以上に限り本則+25km/hである。

★備考

(2014年2月5日Yahoo!ニュース個人「JR東日本E353系、2015年夏に登場!!」から転載。転載に際し、加筆、修正を行なっています)