JR東日本E235系量産先行車-最新技術とデザインを融合したオシャレな車両- インテリア編

JR東日本E235系の車内に入る。多くのマスコミがほとんど触れていない"KEN OKUYAMA DESIGNワールド"の客室について紹介。

報道公開では、E231系500番代も用意された。

JR東日本E235系の車内に入る。マスコミの多くがデジタルサイネージやフリースペースを中心に報じていたが、"KEN OKUYAMA DESIGNワールド"の客室については、ほとんど触れていなかった。

エクステリア編は、下記をクリックしてください。

Yahoo!ニュース個人Version.

ハフィントンポストVersion.(転載)

■"KEN OKUYAMA DESIGNワールド"が光る客室

E235系の車内。中吊り広告を廃したことで、通路の吊り手が増設された。

車内に入ると、一般席については"女性ウケする"印象を持つ。明るいだけではなく、さわやかで凝った内装だ。思わず車窓から流れる大自然を想像したくなる。

現行のE231系500番代は着座幅が450mm(7・10号車を除く)に対し、E235系は460mmに拡大されている。座席もE233系と同じタイプで、坐り心地が大変よい。背もたれや袖仕切りの半透明ガラスに格子柄(こうしがら)を多用し、あたたかみを醸し出している。

抗菌が施されている吊り手も、山手線のラインカラーと同じウグイス色(優先席はオレンジ)。見方によっては、JR東日本のコーポレーションカラーにも映るので、山手線以外で投入された際に注目したい。

車内はグラデーションや格子柄(こうしがら)を多用し、オシャレを強調。

床面はおもに薄いグレーと濃いグレーを用い、通路部分をグラデーションとした。混雑時、「車内の中ほどへお進みください」と促進しているように映る。

乗降用ドアは、黄色の縦線を直線からグラデーションに変えた(別の画像を参照)。注意喚起をソフト化することにより、車内の調和を乱していない。

内装ロールバー構造。インテリアに配慮し、連続的な曲線で配置している。

特筆すべきなのは、内装ロールバー構造による車体の補強を各乗降用ドアの上部に設置したこと。sustinaの特長の1つで、構体の剛性、事故発生時における乗客の安全性をそれぞれ向上させている。

なお、E235系の10号車は若干仕様が異なる。

■マスコミ注目のデジタルサイネージ

E231系500番代の車内。山手線用の7・10号車は仕様が異なる。

E231系500番代とE233系のほとんどにLCD式(Liquid Crystal Display.:液晶表示装置)の旅客情報案内装置を2画面、1両合計16画面設け、運行情報、ニュース、広告など、豊富な情報量を映し、乗客に提供した。

乗降用ドア上と荷棚上のLCD。情報提供の充実が期待される(画像は10号車)。

一方、E235系は従来の中吊り広告から、デジタルサイネージの転換に伴い、荷棚上(一部を除く)と車両連結面にもLCDを設置。乗降用ドアの上部も含め、1両最大36画面となった。

報道公開では荷棚上3画面を同時に使い、自社のアニメーション広告1本を流しており、「1画面1広告」にとらわれない模様だ。コンテンツについては、検証及び乗客の意見などを聴きながら進めていく。

インタビュー取材に御対応いただいたJR東日本運輸車両部長は、デジタルサイネージにより、情報発信量の大幅な増加による質の向上などを期待している。ただし、不評の場合は従来の中吊り広告に戻す可能性もある。

なお、今回の量産先行車も戸袋や車両連結面などに広告用の額があり、"紙の広告"を引き続き掲出する。

■各車両にフリースペース

フリースペースは優先席と異なり、吊り手の色がウグイス色なので、携帯電話の電源を切らなくてもよい。

国土交通省の"鶴の一声"により、2014年春からベビーカーを折りたたまなくても列車に乗れるようになった。鉄道事業者の一部では車椅子スペースのベビーカー兼用が始まっている。

大阪市交通局や横浜市交通局の地下鉄電車などでは、上記のスペースを各車両に設けているのに対し、JR東日本は一部の車両にしか設けておらず、使い勝手に難点があった。

E235系では各車両に設置しただけではなく、車椅子兼ベビーカースペースを「フリースペース」と称し、新たにスーツケースやキャリーバッグといった、大きな手荷物も気兼ねなく置けるようになった。床面の車椅子マークとベビーカーマークの案内図記号が目立つので、「大きな手荷物をお持ちのお客様にもご利用になれます」といった案内ステッカーがほしい。

E231系500番代の車椅子スペース。報道公開の編成は、ベビーカーマークの案内図記号未貼付。

E231系500番代の車椅子兼ベビーカースペースと異なる点は、下記の通り。

・パネルヒーターを設置。

・手すりを1つ増やした。特に下段の一部にクッションを巻いており、パネルヒーター使用時、「乗客が手すりをつかんでも、やけどをしない役割がある」と思われる。

・車両連結面に"腰あて用"のクッションパネルを設置。

優先席は、お年寄り、身体の不自由な方、妊娠中、乳幼児連れの方のために設けている。

向かい側は優先席で、2~9号車は各3席、10号車は4席それぞれ増加した。座面に「優先席 Priority Seat」をプリント、フリースペースも含め壁面を薄いピンク、床面を濃いピンクにして、目立たせている。

■E231系500番代の面影が残る10号車

E235系10号車の車内。荷棚上のLCDが出っ張っている。

E231系500番代が投入された当初は、7・10号車を6ドア車にして、ラッシュ時の混雑緩和を図っていたが、山手線の可動式ホーム柵設置に伴い、オール4ドア車化が決まった。このため、2009年1月に7号車用のサハE231形600番代、10号車用のサハE231形4600番代が登場し、2年かけて6ドア車を置き換えた。車体や客室はE233系に準じている。

サハE231形4600番代は車齢が浅いこと、ほかの中間車とはドアピッチが異なるため、E235系化改造の種車となった模様だ。着座幅が新製当初より460mmなので、ロングシートは表皮の更新にとどめ、袖仕切りや一般席の床面はオリジナルのまま。既存のLCD、行先表示器は新しいものに取り換えた。

■E235系は2015年秋にデビュー

E235系は報道公開後、山手線で試運転が行なわれており、順調にいけば2015年秋にデビューする予定だ。私が想像していた以上のキメ細やかなデザインで、"「未来」という名の新しい世界"が今到来した感じだ。デジタルサイネージが乗客に受け入れられるのか、同業他社に影響を与えるのかなど、業界関係者や報道関係者以外の方も注目の車両になるだろう。

●訂正

前回の記事で、「ヘッドライト(前部標識灯)はJR東日本初のLED」と記述しましたが、すでにジョイフルトレイン『越乃Shu*Kura』で採用されており、「ヘッドライト(前部標識灯)はJR東日本首都圏向け車両初のLED」とします。お詫びして訂正いたします。

Yahoo!ニュース個人より転載)

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