「始まりはヒップホップ」世界最高齢のヒップホップダンスチームが語る人生を輝かす秘訣とは

落ち込んでいたら人生を無駄にしてしまうから、外にでてどんどん活動的になるべきです。

ギネスに公認もされている世界最高齢のヒップホップダンスグループ「ヒップ・オペレーション・クルー」が、ラスベガスの世界大会に挑戦する過程を追ったドキュメンタリー映画『はじまりはヒップホップ』が8月27日に公開される。

本作は、人口8000人のニュージーランドの小さな島で結成された、平均年齢83歳のヒップホップダンスチームが、ラスベガスで開催される世界大会に挑戦する様を描いている。

年をとってからもヒップホップという未知の世界に飛び込んで世界を驚かせた彼らの生き方は多くの人にとって学びがあるだろう。本作を見ると本当に元気を貰えるのだが、実際の彼らもとてもエネルギッシュで明るい人達だった。そんな彼らに、人生を楽しむ秘訣や映画の魅力などを聞いた。

できないという言葉を辞書に持たなければ、心はいつまでも若く保てる

ーーご家族について聞きたいんですけど、ご家族はどんな風に思ってたり、またどんな風にサポートしてくれたりしていますか。お孫さんやひ孫たちも喜んでくれているんですか。

ジャック・ロング(85歳。9人の子ども、15人の孫、13人のひ孫がいる。妻のブレンダもメンバーの一員):すごく家族も喜んでくれて、手厚くサポートしてくれています。孫たちも「おじいちゃん、おばあちゃんがヒップホップダンスを踊るなんてすげー!」と喜んでいますよ。

ーー日本は高齢化社会を迎え、高齢者の人口比率がどんどん上がっています。こういう国が活力を取り戻すには皆さんのようにいつまでも新しいことにチャレンジすることがとても大事だと思いますが、新しいことに興味を失わずに生きていくためにはどんなことが大事でしょうか。

マリー・ターフレイ(72歳。4人の子供と3人の孫がいる。興味があることにはなんでもチャレンジする。旅行が大好きでもっといろんな国に行ってみたいと思っている):普段やり慣れている自分のゾーンのようなものが誰でもあると思いますが、そういうところから果敢に飛び出して、慣れないことに手を出してみることですね。

年を取り過ぎているがためにできないことなんて一つもないと思います。心はいつまでも若々しく保てるものですし、できないという言葉を辞書に持たないことが大事です。

ーー実際に初めて世界選手権を目指すことになったときにどう思いましたか。やる気に満ちてやってやろうと思ったのか、ちょっと難しいんじゃないかと思ったりなど正直なことを聞かせていただければ。

レン・カーチス(75歳。若くして学校をやめて食肉冷凍加工の仕事に就く。その後、建設会社を作り成功に導く):最前列には立ちたくないなと思いました(笑)人の後ろに隠れて踊るぶんにはいいけどなんて思ってましたけど。でも時間をかければどんどん面白くなってくるし、今ではすっかりハマっています。今では最前列で踊ることもありますよ。

ラスヴェガスの世界大会を目指すことになった時は、みんな不安もあったし、私個人としてもあれだけ世界有数のビッグステージで踊ることに恐怖を感じました。でも練習してくなかでお互いをサポートしあって、一丸となって取り組んでいきました。

ーーヒップホップグループなので若い人からも注目を持ってもらえると思いますが、若い人との交流もきっと増えたと思います。若い人たちとの交流で何か自分の中に変化はありましたか。

ジャック:人生観が変わったというよりも、若いみんなと交流していることでいつまでも若々しい気持ちになれるというのはありますね。ダンスをやっている時点でそういう効果もあるでしょうし。でもダンスで鍛えているからゴルフのスコアも上がるかもと思ってたんですが、そうはならなかったですね(笑)

ーー日本はすごく年齢を気にする国なので、女性では30代になっただけでもネガティブな印象を持つこともあります。年齢を気にせず前向きに生きるにはどうすればいいでしょうか。

ブレンダ・ロング(ジャックの妻。趣味は音楽。人を楽しませるのが好きで、ガーデニングや釣り、モデルの仕事の経験も):大変なのはわかります。仕事も子育てもしなければならないだろうし、夫には家にいろなんて言われているのかもしれません。

でも落ち込んでいたら人生を無駄にしてしまうから、外にでてどんどん活動的になるべきです。まだ30代ならもっとたくさんのことができるはずですよ。

ーーヒップホップの他、これから挑戦してみたいことなどはありますか。

レイラ・ギルクリスト(72歳。数年前心臓の緊急手術を受けたが、完全復活を遂げヒップ・オペレーション・クルーに参加):今はとにかく毎日を楽しく過ごすことができていて、それはとてもありがたいことです。

私も70を過ぎ、寿命ももうすぐかもしれません。そういう意味では毎日がギフトのようなものです。ヒップホップをやるようになってからは、自分にどんどん自信がついていったので教会で説法するようにもなりました。そんなこと昔は考えられなかったですよ。

ーーこの映画は見た人が前向きな勇気をもらえる作品だと思います。これから日本でこの映画を見る人に向けて、何かメッセージがあれば。

マリー:とにかく年齢なんて関係ないと、どんどん新しいことに果敢に挑戦していくことで、(年齢による)バリアなんてないんだということですね。

ある程度の年になったらホームに入るべきだとか、周りが面倒をみるべきだという固定観念がありますけれども、そんなことは関係ありません。どんどんやりたいことがあればどんどんやればいいし、若い人たちと交流したければ交流してもいいし、とにかく夢を追ったほうがより良い人生になると思います。

注目記事