中央アフリカ共和国の和平は脆い状態にある。国際社会が適切な対応を目指して奮闘する現在、この国がどのように崩壊してしまったのかを示すことはきわめて重要だ。
(ニューヨーク)中央アフリカ共和国を流血の動乱に追いやった反乱から2年が経つ。ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日、2014年に中央アフリカ共和国で行った複数の調査ミッションに基づくマルチメディア記事を公開した。
映像とテキストを組み合わせた特集記事は「戦闘員たち」「森林生活」「戦火のさなか」「戦争の子どもたち」「バンギの地獄」「完全に破壊された地域」「英雄たち」「大量脱出」などのセクションに分かれており、ヒューマン・ライツ・ウォッチのピーター・ブッカー調査員が写真家のマーカス・ブリースデール氏とともに明らかにした人権侵害の概要を伝える。
中央アフリカ共和国は2013年の初めから深刻な危機に見舞われている。ムスリム主体の反政府勢力「セレカ」が、民間人の広範な殺害、家屋への放火や略奪などの重大犯罪を特徴とする軍事作戦を展開し、権力を掌握したからだ。2013年半ばには「アンチ・バラカ」を名乗る勢力が組織され、セレカとの交戦が始まった。アンチ・バラカは、バンギなど西部地域でムスリム住民への大規模な報復攻撃を開始した。この紛争で数千人が死亡し、数十万人が住むところを失った。
国連PKO部隊が不安定な停戦合意を保とうとしているが、避難民の多くは今も暴力行為を恐れており、帰還することができない。
「中央アフリカ共和国の和平は脆い状態にある」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチ緊急対応部門ディレクターのピーター・ブッカーは述べた。「国際社会が適切な対応を目指して奮闘する現在、この国がどのように崩壊してしまったのかを示すことはきわめて重要だ。」
(2014年12月30日「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」より転載)