世の中には凄いひとがいる。
マスコミを賑わせている人だけでなく、たしかに、あっちこっちにいる。
今朝、知ったこのひとCatherine Rohrさん(キャサリンさん)がまた凄すぎる。
2004年、彼女はウォール・ストリートでの安定した仕事を捨てて、"Calling"(天職)にしたがってテキサスの監獄にやってきた。
受刑者の中には、適切に指導すれば、社会で大きな力を発揮することができる人たちがたくさんいるはずだ。そういう人たち、たとえば、ギャングの元リーダーとか、ヤクの売人とか、詐欺師たちは、人を扱う術や顧客への対応、商売について、よく知っていたりする。
彼女は、そんな彼ら、そういうことができそうな受刑者を選び、起業家たちの助けを得て、自分の事業を始める方法を教えはじめたのである。
PEP(Prison Entrepreneurship Program監獄起業プログラム)と呼ばれるその方法は、目覚ましい効果をあげているという。
すでに1100人の卒業生がおり、165のビジネスがオープンされ、そのうち少なくともふたつが100万ドル(約1.2億円)の規模になったという。(上の記事より、APによる)
PEPのウェッブサイトには、第3者機関の2013年度の調査結果が書かれているが、それによると、
*PEPが選んだけど釈放されたりしてPEPを受けなかった50人の再犯率は全国平均並だったが、その数値は、PEP卒業生94人の3~4倍にものぼっていた。
*保守的な推計でもPEP(寄付されたお金のROI(投資収益率)は、340%にもなる(収監費用, 子供のサポート費用など政府の福祉プログラムから予想される出費をさけることができるので)
彼女たちのウェッブサイトには、たしかに素晴らしい成果をあげつつあるが、まだ、いまのところ、自分たちのやり方をテキサス州以外に拡げる予定はないということである。テキサス州だけでも17万人の囚人がいるので、当分はテキサスで、自分たちのプログラムにさらに磨きをかけていきたいということである。
ともかく、キャサリンさんが凄すぎる。
彼女は犯罪者のなかにビジネスの資質をもつ人が多くいて、その人たちを適切に導くことができれば、社会に良いインパクトを与えることができると気づき、確信してこのプログラムを始めたわけだが、たとえ、そういう気づきを得たとしても、現実に自分の安定した仕事を棒に振って、それをやってみることができる人は、ほとんどいない。
実際、キャサリンさんしかいなかったのである。
彼らのウェッブサイトに紹介されているエマソンの言葉を、最後に紹介しておこう。
― Ralph Waldo Emerson
「雑草とはなんだろう。その美質をいまだ見出されていない植物である」
(2015年1月22日「ICHIROYAのブログ」より転載)