犬は人につき、猫は家につくと、子供のころおふくろに教えられた。
猫も飼ったことがあるが、たしかに犬に比べて、猫は人に対する愛情が薄いような気がしていた。
だが、猫達は、そんなふりをしているだけかもしれない。
そんな事件がイギリスであったのだ。
(介護施設に入った飼い主と猫の感動的な再会)
Dorking and Leatherhead Advertiser 2014年10月3日付記事
物語のあらすじはこうだ。
猫のクレオは、飼い主のナンシー・コーエンさんが8年前にリッチモンドで拾った猫だ。
6週間前、ナンシーさんはBramley Houseという介護施設に入ることになり、クレオを近所の人に託した(牧場のようだ)。
入居後2週間すると、介護施設の外に猫が現れるようになった。その猫は外のベンチなどに座って長い時間を過ごして帰るのだ。
職員も不思議に思っていたが、やがて、ナンシーさんが、その猫がクレオに似ていることに気づいた。
クレオは事故で尻尾を失っていた。ナンシーさんと職員は、その猫にも尻尾がないことを発見し、それがクレオだと判明した。
どのようにして、クレオがナンシーさんの行き先をみつけたのかは謎だ。(距離的には近いようではあるが)
また、施設では、クレオをあずかることにした。ナンシーさんがクレオを必要としている限り。
トップの写真はイメージなので、写真は元記事をごらんいただきたい。
素晴らしい事件ではないだろうか。
たまに甘えてくるものの、いつもはよそよそしいとばかり思い込んでいた猫が、こんなにも飼い主を愛していた。どのようにしてか、2週間かけて飼い主の居場所をみつけて、飼い主の家の外にいることだけで満足して、4週間通い続けた。
猫の気持ちはわからないものだ。
人間の気持ちも、同じくではあるが。
ところで、物語に出てくる介護施設のHPを見ると、さすがはイギリスの施設でエレガントだし、ペットも場合によっては可能(Pets are welcomed by arrangement)との表記がある。
ちょっと調べたら、ペットと暮らせる介護施設というのは、イギリスだけでなく、すでに日本にもできつつあるようだ。
うちの親も、嫁の親も介護施設にお世話になっており、介護施設のスタッフの皆さんには大変お世話になっている。行くたびに、大変な仕事をしていただいているなあと、深く感謝している。
人だけでもたいへんなのに、犬や猫の世話までするとなると、その仕事は想像を絶するものになるだろう。現状のシステムのままで、犬も猫もお願いしますとは、僕にはとても言えない。
だけど、もちろん、入居者がペットと別れずにすめば入居者にとってこれほど良いことはないし、行き場を失ったペットが殺処分されることも減るだろう。
今後、ペットも飼える施設が増えてくれたら嬉しいのにと、切実に願うのだが・・・
それをみんなが願っている。入居者が、入居者の家族が、犬たちが。
そして、クレオのような猫たちも!
*photo by Finn Frode
(2014年10月9日「ICHIROYAのブログ」より転載)