イスラエルのy net news は元旦にアメリカの調査機関Pew Research Centerが実施した、アメリカ人の好きな国を問う世論調査結果を公表した。何と驚いた事に、最も好かれている国はカナダ(81%好き、9%嫌い)で、2位は英国(79%対9%)、3位が日本で(70%対20%)という結果になっている。カナダ、英国の1位、2位はすんなり理解出来る。何分アメリカにとって伝統的な友好国であり、宗教、文化、伝統、言語、社会の価値観といった国家、社会を構成する主要なところで共通する部分が多い。いってみればアメリカに取って親類の様な国と理解しても良いのかも知れない。
従って、アメリカにとっての普通の外国の中では日本が好きな国の堂々第一位という結論になる。宗教についていえば、昨年末安倍首相が靖国神社を参拝し世界から顰蹙を買った。この事実が示す様に、日本は八百万の神の存在が可能な、アメリカ、イギリス、カナダとは全く異質の国である。言語は勿論日本語である。これは英語が堪能であれば何の問題もない。しかしながら、日本人は自他共に認める「英語が下手」な民族である。従って、この調査結果を目にして、心強く感じながらも驚いた方も多いに違いない。
ちなみに、尖閣で日本と対立し、今回の安倍首相の靖国神社参拝に関しても容赦なく日本を非難する中国は (33% 対 55%)で、はっきりいってアメリカ人から嫌われている。アメリカはいうまでもない事だが、民主主義国家の盟主であり時の政権は民意を最大限尊重する必要がある。従って、中国の外相がアメリカの国務長官に「米中が連携して日本を封じ込めよう」と提案してもアメリカは聞く耳を持たない。中国は共産党が支配する一党独裁の人権が蔑ろにされた国家であるのに対し、アメリカは民意が最大限尊重される民主国家であるからだ。
韓国の朴大統領は口を開けば「日本人よ、歴史を直視しろ!」と上から目線で説教を垂れつつ、アメリカに対し下品で破廉恥な「告げ口外交」を止め様とはしない。これはアメリカ国民が日本を大好きである以上、アメリカ政府に取っては迷惑なだけの話に過ぎない。別の表現をするならば、朴大統領はアメリカという巨大なコンクリートの壁に向かって壁打ちテニスをしている様な話なのである。強い球を打てば打つほど反動で強い球が返って来る。そして最終的には足が動かなくなり孤立してしまう。2014年は韓国の孤立が顕在化する年になるかも知れない、というのが私の見立てである。日本の対中、対韓外交をどうすべきか? 正月休みを利用してアメリカ政府やアメリカ国民の目線で考えて見るのも有意義と思う。
今回の世論調査結果は日本人を勇気付けるものである事は間違いない。しかしながら、老婆心かも知れないが気になる点もある。日本が嫌いな割合が、カナダ、英国の9%に比べ20%とかなり高い事である。嘗て太平洋を隔て日米は対峙し、拳で決着を付けようとした不幸な歴史があるのだから当然なのかも知れない。しかしながら、日本の安全保障や今世紀の経済的な繁栄を願うのであれば、対日印象の好きを現在の70%から80%に、一方、嫌いの20%を10%に改善すべく、安倍政権は努力を惜しんではならないと思う。
その具体的な施策については既に何度かこのハフポストの場を借りて提言して来た。先ず、安倍政権は4月のオバマ大統領の訪日を何としても実現させねばならない。そのためには、安全保障の分野では沖縄、普天間基地移転を着実に前に進める事、並びに通商、投資分野ではTPPの妥結という結論になる。
■ 4月のオバマ大統領訪日が日本に取っての分水嶺になる
オバマ大統領の訪日が4月に予定されている。アメリカ外交のアジアシフト、日本をPivot(軸、かなめ)にしての、外交、通商の展開は規定事実である。従って、4月のオバマ大統領訪日が交渉の開始などではなく、日米間の新たな体制の確認である事は明らかである。そして、オバマ大統領は訪日後アジア諸国を歴訪し、新たな日米体制の説明と、各国との関係強化を図る事となる。私は、これこそが今世紀日本の繁栄に向かう新たなスタートと理解している。従って、安倍政権としては2013年内に決着出来ず持越しとなった案件については今月27日に召集予定の次期通常国会でテンポ良く処理する必要があるという結論となる。
次いで重要なのは、安倍首相が靖国神社参拝後発表された談話内容を世界が目に見える形で着実に実行する事である。
日本は、二度と戦争を起こしてはならない。私は、過去への痛切な反省の上に立って、そう考えています。戦争犠牲者の方々の御霊を前に、今後とも不戦の誓いを堅持していく決意を、新たにしてまいりました。
同時に、二度と戦争の惨禍に苦しむことが無い時代をつくらなければならない。アジアの友人、世界の友人と共に、世界全体の平和の実現を考える国でありたいと、誓ってまいりました。
これは、外交に留まらず日本が従来の「一国平和主義」を排し、世界の平和と安定のために目に見える貢献をするという事で、日本の国のあり方を決定的に転換するものである。日本人に「平和ボケ」が許された幸福な時代は終了したという認識で構わない。喫緊の課題としては、南スーダンの平和と安定に貢献するためにPKOに参加した自衛隊の処遇の問題が近々浮上するはずである。現地治安状況の悪化を理由に撤退するなど言語道断である事はいうまでもない。一方、現地に派遣された自衛隊員の犠牲を防ぐための法令の改正や携帯武器の見直しは必要なのでは?
別の表現をすれば、「2014年、日本が求められる事になるのは「一国平和主義」からの転換」という話になる。日本は戦後アメリカの軍事力にただ乗りし、只管経済的な成功を追及し今日の繁栄を得た。しかしながら、日本だけが平和で、日本人のみが豊かさを享受出来れば良いといった考えでは、これからの日本はやって行けないという事である。
最後は2020年に東京での開催が予定されているオリンピック・パラリンピックを成功させる事である。招致を成功させるために訴求した東京の「安全」と「清潔」は日本人の民度を写す鏡といっても決して過言ではない。そして、東京が選ばれたのは他の候補地に比べ安定感で勝っていたからだと推測する。日本の安定感は確かに強みには違いない。しかしながら、先人の遺産ともいうべき安定感に安住していては日本の将来はないし、世界も失望する。人類の将来に繋がる大胆なチャレンジもするべきであろう。
例えば、東京、千葉、埼玉、神奈川に限定してでも燃料電池車の普及を急いではどうだろうか? 燃料電池車なら水蒸気以外排気ガスは一切発生しない。オリンピック・パラリンピック観戦に日本を訪れたアメリカ人を含む外国人観光客は東京の空の青さと澄み切った空気に驚嘆する事になる。勿論、東京を理想の未来都市と理解し、東京を作り上げた日本という国や日本人を今まで以上に信頼するはずである。車両の取得や維持に必要な税金を全額免除する事で一気に普及すると推測する。
2020年、東京オリンピック・パラリンピックは巷間伝えられる様な利権の草刈り場であってはならず、日本が世界に提示する未来のあるべき都市像を体感出来る「ショーケース」でなければならない。そのためには、自民党が先祖帰りをして従来の「利権誘導政党」に戻るのではなく、現実を直視して国民と危機感を共有した上で政策を立案し実行して行く、本当の政権与党になる様に国民が目を光らす必要があると思う。