日本を漂流させないために政治は何をなすべきか?

マスコミ報道に接する度に日本は本当にこのままで大丈夫か?と不安に駆られる事が多い。その背景にあるのは「政治」と「マスコミ」の質の低さである。この事を具体的に説明するため、「政治」と「マスコミ」毎に一件づつ実例を参照する。

マスコミ報道に接する度に日本は本当にこのままで大丈夫か?と不安に駆られる事が多い。その背景にあるのは「政治」と「マスコミ」の質の低さである。この事を具体的に説明するため、「政治」と「マスコミ」毎に一件づつ実例を参照する。先ずは、派遣期間の上限撤廃先送り 条文ミスで廃案である。日経新聞によれば、「条文にミスが見つかったから審議拒否」との事だが、条文を実務的に審査し、必要に応じ修正するのが本来立法府たる国会の仕事のはずである。図らずも、国会が質の低い芝居小屋である事を露呈してしまった。

今一つは、イラク情勢が重篤化し日本経済や国民生活に悪影響を与えるかも知れないという差し迫った状況であるにも拘わらず、余りに表層的で中身に欠けるテレビ報道である。自社のクルーが戦地に赴き、命懸けで国民の目となり、耳となろうとしているBBCとは、目も眩む様なコントラストである。こういった経緯から、私は以前より自民党のしかるべき議員と面談し、「日本を漂流させないために政治は何をなすべきか?」を質問すると共に、政治家としての覚悟を問いたいと思っていた。そして、つい先日地元より選出の鈴木けいすけ衆議院議員と面談する機会を得た。

■ 何故面談相手に鈴木けいすけ衆議院議員を選んだのか?

一番の理由は「政治理念」が極めて私に近い事である。二番目の理由は、私が自民党に対し最も懸念している従来の「利権誘導」への回帰を強く否定している点である。 三番目は東大法学部を卒業後6年半財務省に在職している点である。私のみならず、多くの日本国民に取って民主党政権下の3年は苦い思い出である。何故民主党政権は失敗したのか? 私は、松下政経塾出身で実社会を経験せず直接政界入りした人間と、弁護士出身の多くが民主党の中枢にいた事が大きく影響していると考えている。政治は結果を出す事が仕事であるにも拘わらず、こういう役所や民間企業といった実社会に職歴を持たない人間は往々にして屁理屈を捏ね回し、相手を遣り込める事が仕事と勘違いしているケースが多い。矢張り、国会議員には実社会で少なくとも数年間の職歴を積んだ後なるべきであろう。

最後は、入省3年目でアメリカを代表する名門大学ジョージタウン大学外交大学院に留学している点である。日本の漂流とは? 畢竟、日本が国際社会の中で居場所を喪失する事である。グローバル時代に日本の舵取りを託される人間は自我が固まる以前、つまりは20台前半で一度海外に出て異文化に触れるべきというのが、私の従来よりの持論である。留学先がこの様な名門大学であれば尚善しとの結論となるのは当然である。

■ 私の質問内容

当日の私の質問内容は要約すれば大体下記の様になる。

安倍政権の重要課題は大別して下記3点と理解している。

①積極的平和主義による世界の中での日本のポジションの確立

②地球環境改善のための積極的な貢献

③成長戦略を通しての上記財源の確保

上記①及び③については「戦略」もあれば具体的「シナリオ」も既に準備されていると見受けられる。一方、②については、3.11以降反原発の空気が日本を支配し、欧米先進国が地球温暖化ガス排出削減に舵を切る中で、日本のみがこの流れに逆行し顰蹙を買うのではと危惧している。

具体的質問事項

=国内対策=

オバマ大統領は オバマドクトリンとして、発電所が排出する地球温暖化ガスの2030年までの30%削減を提言している。日本もこれに追随するべきではないのか?

発電所が排出する地球温暖化ガスの削減には原発の再稼働が最も効果的と思われるが、何故再稼働しないのか?

再稼働しない場合、地球温暖化ガス削減に向けての具体的な施策はあるのか?

ちなみに、良く言われる「再生可能エネルギー」は太陽光発電、風力発電ともに実質失敗しており、ドイツでは電力料金が高騰し問題となっている。安倍政権、自民党はドイツの失敗を理解しているのか?

原発再稼働は国内経済に与えるプラスのインパクトも大きい。将来の電力不足や電力料金の高騰が懸念されれば、そうでなくても海外移転を加速している日本の製造業は根こそぎ日本から出て行ってしまう。「貿易立国」から「投資立国」へのパラダイムシフトは必然としても、ソフトランディング達成のため電力不足や電力料金の高騰は回避すべきではないのか。

=海外貢献=

■ 政府開発援助の弾力的活用による原発輸出支援

地球温暖化ガス排出削減に協力すると共に、貿易収取改善と国内雇用の創出が図られる

何故、積極的に支援しないのか?

■ 都市間高速鉄道輸出支援

現在都市間移動の主役は航空機、パスなどで燃料は軽油、ガソリン。従って地球温暖化ガス排出削減の為には、これらを都市間高速鉄道に入れ替える事が有効。原発同様政府開発援助の弾力的活用により都市間高速鉄道輸出支援を積極的に展開してはどうだろうか?これも原発同様、地球温暖化ガス排出削減に協力すると共に、貿易収取改善と国内雇用の創出が図られる。出来ないとしたら、何がボトルネックになっているのか?

■ 従来の要請主義からトップセールスへのパラダイムシフトを急ぐべき

「原発」、「都市間高速鉄道」共に従来の在外公館の基本スタイルである要請主義では時間がかかり過ぎる。安倍首相やその他の主要閣僚によるトップセールスにパラダイムシフトすべきではないのか?

■ プロパガンダウオー戦略の確立

上記日本の取り組み関連はタイムリー且つ効果的に全世界に向け広報する必要がある。NHK World Englishを活用するなどは悪い冗談に過ぎない。安倍政権に具体的な対応施策はあるのか?

鈴木議員の説明

■原発再稼働

先ず印象的であったのは、私が求めた「原発再稼働」に対する、今は「感情」から「科学」への移行期という説明である。確かに、悲惨な福島第一原発の事故に接し日本国民は一種のヒステリー状態になってしまった。「科学」に基づく冷静な議論は隅に追いやられ、「反原発」の如き誠に以て稚拙極まりない議論が跳梁跋扈した。現在はその変わり目という認識で良いのだろう。

■ 政府開発援助の適用

次に、「原発」、「都市間高速鉄道」輸出支援、具体的には政府開発援助の適用という事になるが、監督官庁である外務省の機能、役割、評価制度などを全体最適の視点より見直し中という説明であった。私は30台前半に中東、イエメンに3年半駐在し、円借款事業ではセメントプラント、無償援助では上水道プロジェクト、債務救済援助では産婦人科病院を実際に手掛けた実績がある。従って、鈴木議員の説明に鮮やかにイメージするものがあるのは事実である。しかしながら、これを世に公表するのはフライングの誹りを免れない。政府、自民党が事の重要性を理解した上で、真摯に取り組んでいる事を多とし正式発表を待つ事にする。ちなみに、鈴木議員の説明の捕捉として下記を参照する。

■ 政府開発援助の現状規模

2013年度のODA事業予算総額には、一般会計5573億円と特別会計293億円が拠出されている。この範囲内から、無償協力1642億円、技術協力3259億円といった無償援助資金が支出される事になる。この一方、政府開発援助の中心となっているのは「円借款」(9236億円)であり、この財源は財政投融資資金などを原資にしている。その結果と、ODAの事業予算の全体額は1兆6902億円にも達する巨額なものであり、日本の国益重視の視点から最大限の有効活用が図られるべきは当然である。従来の「要請主義」を脱し、国益ありきの柔軟な運用に舵を切るという事である。

■ プロパガンダウオー戦略の確立

日本ならではのレベルの高い物であらねばならない、といった一般論の説明と、総務省に検討させているといった説明であった。この分野は鈴木議員の専門外なのであろう。

■ TPP妥結以降の「知的財産」運用変化が企業経営に与えるインパクト

これも鈴木議員の意見を是非拝聴したい重要テーマの一つだが生憎時間切れで消化不良になってしまった。仕方がないので、私が主催している月例勉強会でこのテーマで当日の講師をお願いしたところ快諾戴けた。この勉強会には知的財産分野で日本を代表する学者(東大教授)、ベンチャー企業経営者、日本を代表する名門企業の事業部長クラスが出席予定で活発な質疑応答、それに続く議論が期待出来る。この勉強会内容については、後日ハフィントンポスト経由公開を予定している。

鈴木議員との面談を終え議員会館を後にした。頭の中の霧が晴れて実に清々しい気分であった事を覚えている。マスコミが無責任に囃し立てる事もあり、ネットでも「政治不信」や「低投票率」が良く取り立たされる。それに対し、多くの国民は政党や政治家に問題があると、問題を他者に丸投げしている。しかしながら、政治のオーナーは飽く迄国民、有権者であり、政治のレベルが低いのは国民の民度が低いからに他ならない。首都圏在住であれば、先ずは議員会館に議員を訪ね、疑問点を質問し、意見交換をしてはどうだろうか?

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