我々は今回の焼身自殺未遂から何を読み取り、何を成すべきなのか?

我々は焼身自殺未遂から何を読み取り、何を成すべきなのか? これを機会に論考を試みたい。

昨日の新宿駅南口で中年男性が図った焼身自殺に関して、BBC Newsは集団的自衛権の行使容認に抗議して火を被ったと伝えている。前回、BBC Newsが日本に関して伝えたのは東京都議会でのセクハラ野次についてであり、今回はそれに続きこのニュースという事になる。率直にいって日本のイメージは毀損していると言わざるを得ない。そして、看過出来ないのはBBCの安倍政権に対する、「右傾化」、「日中関係毀損の原因」という一貫した論調である。

何れのメディアであっても一定のバイアスから無縁ではいられない事は理解している積りである。しかしながら、BBCの安倍政権に対する論調は、これでは新華社通信と変わり映えがしない。WTOのガイドラインを順守し、自殺未遂男性の心療内科受診履歴や経済状態(長期の失業とか)といった裏取りを先ずすべきであったと思う。さて、我々は焼身自殺未遂から何を読み取り、何を成すべきなのか? これを機会に論考を試みたい。

■ 焼身自殺による政治的アピールは言語道断

先ず、基本的な話から始めたい。焼身自殺による政治的アピールは許容されるか否か?という点である。日本国内で民主主義のシステムや現状に問題があるにせよ、政治のオーナーは飽く迄国民(有権者)である。別の表現を使えば、投票により政治は変えられる。従って、主張の中身如何に拘わらず政治的主張を訴える手段として自殺を用いる事は断じて許容出来ないというのが、私の基本的なスタンスである。

なぜならば、焼身自殺による政治的アピールは、テロ行為により政治や社会の変革を図る事に等しいからである。5.15事件、2.26事件以降、事件の首謀者であった青年将校達の動機がどれ程純粋なものであったとしても、その後の悲惨極まりない日本の歴史が彼らの誤りと、一時の感情に流され政治や社会を動かそうとする事の危うさを教えてくれていると考えるからである。

■ メディアは自殺関連の報道を自粛すべき

BBC Newsに対する苦言は上記の通りである。一方、国内メディアが自殺関連の報道を自粛すべきなのも当然である。仄聞するところNHKは焼身自殺報道を自粛したとの事である。より正確にいえば、NHKは自殺報道のガイドラインを順守したという結論であるが、民放についてはバラツキがあった様だ。今回に限った事ではないが、一般論として民放はまずこのガイドラインを守らない国内メディアが掟破りの大騒ぎを演じた結果、BBCの様な所がこれをネガに取り上げ世界に発信するという、お決まりの構図である。

今回の事件を切っ掛けにBPOはガイドラインに違反したテレビ局を厳しく罰すべきである。それでもいう事を聞かぬ様であれば、安倍政権は「放送免許」剥奪の様な強い態度で臨むべきである。テレビ局の如き本来一般国民に規範をたれるべき存在が、「正直者がバカを見る」を実践していては話にならない。

■ 政権与党の暴走をどうやって制御するか?

間接民主主義の制度設計からいえば、次の選挙で野党に投票し「政権交代」を目指すという事になる。これは正しい答えであるが、実効性の面で二つ問題がある。第一は、政権交代可能な野党の不在である。目の前の政権与党に問題、不満があるという事で、民主党に政権担当能力があるか否か?熟慮せず、政権交代した結果、日本は滅茶苦茶になってしまった。今の野党の能力では政権交代は夢のまた夢ではないか? その結果、我々国民には、政権与党による「制御された暴走」か? 或いは政権交代の結果としての「行先知れずの迷走」か?の二者択一しか残されていないのではないのか?

そして今一つの問題は次の選挙で民意を問う前に、国の骨格ともいえる重要課題が殆ど決まってしまう事である。マスコミはお手軽で、楽して稼げるセクハラ野次の様な案件ばかりに注力して伝えるので、これでは一般国民は不安になってしまう。繰り返しとなるが、焼身自殺による政治的アピールは言語道断である事は今更いうまでもない。しかしながら、マスコミによる情報提供が充分ではなく、一方、野党に期待出来ない現実、いってみれば国民は四面楚歌の状況に追い詰められているのもまた、今一方の事実である。

■ どうやって政治を身近なものにするか?

この事態を打開するためには、「政治を国民の身近なものにする」、「国会議員と国民の間にパイプを通す」、取敢えずこういう表現を使ったが、国民(有権者)が今迄以上に国会議員に直接会い、「現状」、「直面する問題」、「対応状況」を説明した上で、安倍政権への「要望事項」を陳情するしかないと思う。何故か?を説明すれば、我々国民の目となり耳となるべきマスコミが全く当てにならず、一方、本来政権与党や安倍政権を牽制すべき立場の野党が余りに無能で役に立たず、マスコミと野党に期待すべき事は、腹を決めて国民が自らやるしかないからである。もう、マスコミや野党に期待するのは止めた方が良いと思う。

それでは、実際にどうやるか?である。今、考えているのは日本を漂流させないために政治は何をなすべきか?で説明した、「勉強会」という名目でのビジネスエリートと国会議員間の議論、交流の場を設定する事である。安倍政権は「成長戦略」関連で空疎な議論を何時までも繰り返すのではなく、実体経済の主役は民間企業という原点に立ち返り、企業経営者の声に耳を傾けるべきと考えるからである。

■ TPP妥結以降の「知的財産」運用変化が企業経営に与えるインパクト

これも鈴木議員の意見を是非拝聴したい重要テーマの一つだが生憎時間切れで消化不良になってしまった。仕方がないので、私が主催している月例勉強会でこのテーマで当日の講師をお願いしたところ快諾戴けた。この勉強会には知的財産分野で日本を代表する学者(東大教授)、ベンチャー企業経営者、日本を代表する名門企業の事業部長クラスが出席予定で活発な質疑応答、それに続く議論が期待出来る。この勉強会内容については、後日ハフィントンポスト経由公開を予定している。

この勉強会は7月28日に開催予定で、鈴木議員以外に自民党所属の衆議院議員、同じく自民党所属の都議会議員各一名が参加予定である。既に下記アジェンダを設定し、項目毎のプレゼンターも決定済みである。

第一部:鈴木けいすけ議員による「TPP妥結以降の「知的財産」運用変化が企業経営に与えるインパクト」をテーマにした講演

※国立大学教授二名(含む東大)にパネラーとして参加戴きアカデミアの立場から意見を賜る予定

第二部:各参加者のプレゼン内容

○知財ビジネス最前線:

バイオ関連企業経営者による知財を活用したビジネスの現状と今後、及び問題点をプレゼンした上で、安倍政権への要望を陳情予定。尚、同社は公立大学に研究委託を行い、バイオ関連ハイテク製品を商品化するというユニークな事業で成功している。

○ハイテク製造業最前線:

電子機器メーカー経営者による「資金調達」と「人材獲得」の現状をプレゼンした上で、安倍政権への要望を陳情予定。尚、同社はアベノミクスの恩恵を受け受注は絶好調であるが、このための「資金調達」と「人材獲得」に苦慮している。

○政府開発援助のあるべき姿:

某社社長によるプレゼン。同氏は京都大学卒業後OECFに勤務し、その後アメリカ、マサチューセッツ工科大学に留学しMBAを取得し今日に至る。国際情勢に明るい民間企業経営者の立場からこのテーマで提言を戴くもの。

○地元名門企業最前線:

高崎、地元名門企業三代目副社長より同社が直面する現状、課題をプレゼンした上で、安倍政権への要望を陳情予定。尚、同社は原発を含め発電プラントの重要部品を製造している。

○情報マネージメントが地域社会に豊かさと安全をもたらす:

某ケーブルテレビ局副社長より、このテーマで現状、課題をプレゼンした上で、安倍政権への要望を陳情予定。

○観光立国を目指す日本への貢献:

ソリューションサービス提供企業経営者より同時通訳サービスの実演をした上で、安倍政権への要望を陳情予定。尚、同社サービスはNHK特番でも紹介されている。

○EC活用による地方経済の活性化:

日本を代表するIT企業幹部が、このテーマで現状、課題をプレゼンした上で、安倍政権への要望を陳情予定。

○我が社のCSR最前線:

日本を代表する総合電機メーカーのCSR責任者(部長)による取組実例の説明。個人的な意見で恐縮だが、私は同社の如き名門企業は日本に奉仕すべきと考えている。

尚、こういった企画を公表すると決まって「実業界に偏重している」とかいちゃもんを付けて得意になる困った人間が出て来る。私程度の人間に出来る事は飽く迄一隅を照らす事に過ぎない。この記事に共鳴する人がそれぞれの場所でやれば良いだけの話である。

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