安倍外交、次の一手とは?

安倍首相が今回の訪問先であるニュージーランド、豪州、パプアニューギニアの3か国訪問を今のところ順調に熟している。

安倍首相が今回の訪問先であるニュージーランド、豪州、パプアニューギニアの3か国訪問を今のところ順調に熟している。安倍首相に取り、キーNZ首相とアボット豪首相は共通の価値観を共有する、「同志」的な色彩が強く、元々波乱要素はなかった。それにしても、今回のアボット豪首相の安倍首相への厚遇振りには驚かさてしまった。「日豪EPAの正式調印」、「TPPの促進」、「防衛装備品や技術の移転」に関する協定に調印した。

もうこれは、「日豪同盟」一歩手前といって良いだろう。安倍首相は今日パプアニューギニアを訪問予定だが、具体的な懸念要因はなく、今回の三カ国訪問は大成功といって良いだろう。さて、それでは「安倍外交、次の一手とは?」一体なんだろうか?毎日新聞の伝えるところでは、ブラジルW杯:独メルケル首相 現地で決勝戦応援との事である。

ドイツ・サッカー連盟は9日、同国代表が進出を決めたワールドカップ(W杯)ブラジル大会決勝(13日)観戦のため、メルケル首相らが試合会場のリオデジャネイロを訪問すると発表した。熱心なサッカー・ファンで知られる首相は過去に、W杯や欧州選手権などで現地に応援に駆け付けた。今大会でも初戦となった6月のポルトガル戦を観戦した。(共同)

決勝でドイツが勝利した暁には、余り時間を空けずに安倍首相はメルケル首相の携帯にお祝いの電話をするべきだと思う。何事においても、律儀で控えめな日本の首相からの突然のお祝いの電話である。メルケル首相は少し戸惑うかも知れないが、そう何度もワールドカップで自国チームが優勝出来る訳ではない。目出度いお祝いの瞬間である。悪い気はしないはずである。発音は下手で良いから「Ich gratuliere ihnen herzlich =衷心よりお祝い申し上げます」と一言いえば良い。

ドイツは日本に取って特別の国

私は就職して2年目の1月にドイツに留学し、翌年の3月末に帰国した。私の1年3か月の留学経験から言わして貰うと、ドイツは極めて親日的な国だと思う。日本に対し、ある種独特の親近感を抱いているといっても良いのかも知れない。その理由は、矢張り第二次世界大戦を共に戦い、イタリアは早々に寝返ってしまったが、日本だけはドイツが陥落した後も最後まで勇敢に戦かった事に起因するだろう。

ソ連の参戦、二発の原爆投下により、正に完膚なきまでに叩きのめされ、日本は灰塵に帰してしまった。そしてその後、日本とドイツは同じ様な戦後の苦難の道を歩み、共に世界も驚く程の短期間で復興を果たす。戦後、日本人とドイツ人は過去を反省し、誰に文句を言う事もなく、只管歯を食いしばり苦難に耐え続けた。こういう経験をした両国民だからこそ、お互いを分りあえ、分かち合える感情はあるはずだ。

両国共、国内にこれといった資源もなく、人的資源を唯一の頼りにハイテク製品を世界市場に送り出す事で経済大国の地位を維持している。些か、ステレオタイプかも知れないが、ドイツ人の日本人に対するイメージは、「礼儀正しく」、「清潔好き」、「約束は死守」といったものであった。当時、大学生の友人から良く聞かれたのが新幹線で到着が10秒遅れたら謝罪のアナウンスがあるのか?という類のものだった。

多分、出張で訪日したドイツ人ビジネスマンが帰国後自分の体験を伝えたのであろう。これに対し、私は10秒遅れでは流石に謝罪しないのでは?自然災害に起因する場合含め、新幹線の平均遅延時間は30秒なので、これを越えたら謝罪するのではと思う。唯、日本の新幹線が30秒以上遅れるなんて滅多にない事と説明すると、改めて日本人は凄いという話になった。今尚、懐かしい思い出である。

世界で存在感を増すドイツ

ドイツが単独の国家としてEU屈指の強い経済力を保持し、政治的にも安定している事は事実である。しかしながら、ドイツの存在を大きくしているのは、加盟国28か国、総人口5.6億人、総GDP17.3兆億ドルに達するEUの盟主の座を揺るぎないものにしているからだ。フランス、ドイツの双頭で出発したEUであったが、フランスが失速し、今やドイツがEUの頭脳であり、EUを牽引する機関車役である事実を否定する人間はいない。

日本とドイツに敵国条項が適用さえるという国連の捻れ現象

国連の中核をなす日本とドイツが未だに敵国条項の対象国の座に放置されている様では国連が機能するはずもない。国連は形骸化し、重要事項、実質的な話は日本とドイツを入れ、ロシアと中国を参加させないG7で決まってしまう。矢張り、敵国条項を速やかに削除する事で国連の正常化を図るべきであろう。更には、国連の機能強化を考えるのであれば日本とドイツを常任理事国にすべきも又当然の話である。このテーマでは日本とドイツは経緯、状況、これから目指すべき方向が一致している。両国は協調すべきである。

こういった理屈は一先ず置いて、安倍首相には是非日曜日リオデジャネイロのメルケル首相に電話でおめでとう(Ich gratuliere ihnen herzlich)の言葉を発して欲しい。今世紀の日本とドイツの新たな歴史が始まるからである。

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