Apple Musicの登場でアップルは定額制音楽ストリーミングサービスだけでなく、もしかしたらオリジナルの音楽動画制作にも参入するかもしれません。
Pitchforkによれば、アップルはApple Musicで配信する音楽ビデオをアップル社内で制作しており、今日Apple Musicで独占公開されたドレイクの「Energy」(アルバム「If You’re Reading This It’s Too Late」収録)の動画や、サービス開始初日に公開されたファレルの「Freedom」や、エミネムの「Phenomenal」も、アップルがプロデュースしていると伝えています。
アップルは、次の独占配信コンテンツとしてM.I.A.の「Matahdatah Scroll 01 Broader Than a Border」を7月13日に公開するとアナウンスしています。「Matahdatah Scroll 01 Broader Than a Border」はM.I.A.の最新アルバムに収録される2曲と関連するショートフィルムで構成されるプロジェクトです。
さらにPitchforkは、アップルはPurity Ring、Diddy、James Bayなどアーティストとのプロジェクトを進行させていると言います。Pitchforkがアップルにコンタクトしたところ、Apple Musicのコンテンツ・ヘッド、ラリー・ジャクソン (Larry Jackson)は、SpotifyのCEO、ダニエル・エク(Daniel Ek)の「Oh ok」ツイートを皮肉って、ハッシュタグ「Content」(コンテンツ)「Curation」(キュレーション)「Culture」(文化)にドレイクの動画へのリンクを貼り付けてツイートしています。
Apple Musicはドレイクの最新動画を公開すると同時に、ドレイク本人がBeats 1で7月11日からラジオ番組をホストすることも発表しています。
アップルはApple Musicで他社ストリーミングサービスを追い抜くために、これまでもアーティストのコンテンツの独占配信を交渉していることが明らかになっています。
アップルが独自にコンテンツを制作することは、アップルの広告では2013年から行われています。アップルは社内に広告制作部隊を設置し、これまでの広告代理店TBWA Media Arts Labと競争させる形でテレビCMなど広告のクリエイティブを制作しています。ただし消費者の反応では、いまいち人気のなかったのは、インハウス(社内)の広告の方だったという調査結果もありました。これがApple Musicの社内コンテンツ制作戦略に影響を与えたかどうかは分かりませんが、少なくともアップルの関心は、音楽の独占配信だけでなく、音楽の独自コンテンツ制作にまで視野が拡がっているようです。
(2015年7月11日「All Digital Music」より転載)