北米の「EDM」ビジネス、2014年の市場規模は2200億円以上に拡大。最新レポートで明らかに

北米のEDMビジネスの規模は、約19億ドル(約2256億円)にまで拡大していると、最新のレポートが明らかにしています。

北米のEDMビジネスの規模は、約19億ドル(約2256億円)にまで拡大していると、最新のレポートが明らかにしています。

ハリウッドで開催されたエレクトロニックミュージックのビジネス向けカンファレンス「International Music Summit」通称IMS Engageにて発表されたレポートでは、音楽売上やフェス、クラブ運営、DJ関連ソフトウェアなど、ダンスミュージックに関連するビジネスを総合的に分析、2014年のトレンドを発表されました。

まず明らかになったのは、EDMビジネスの規模の大きさです。2014年の収益を細かく見ると、まずEDMフェス、クラブからの収益が推定16億ドル。トラック販売、ストリーミング、動画ストリーミングなど、音楽関連の売上が2億2500万ドル。DJソフトウェアおよびハードウェア、DJの出演料、SoundCloudなどプラットフォームからの売上が7500万ドル。この金額をトータルして計算した結果、推定売上は約19億ドル。日本円に換算すると2256億円という、信じられない額に伸びていることが分かりました。

さらに、これを世界のEDMビジネス市場と比較すると、3割以上を占める図式になります。ちなみに、世界のEDMビジネスは約62億ドルという巨大すぎる規模で、日本円に換算するとなんと7366億円!

ダンスミュージックの聴き方

北米の音楽売上を管理する調査会社ニールセンのデータによれば、ダンス・ミュージック・トラックの売上は2014年で過去最高を記録し、2011年と比較して1.5倍に拡大しています。

しかしアルバム売上は2014年で2013年に比べて急激な落ち込みを見せています。

音楽ストリーミング再生のデータを見ると、「ダンスミュージック」は北米でR&B/ヒップホップ、ロック、ポップに次いで人気のある音楽ジャンルで、「ダンス/エレクトロニック・ミュージック」の再生回数は120億回以上に上りました。

クラブ・イベント事情

クラブ運営に目を向けると、ラスベガスの「XS Nightclub」「Hakkasan」「Marquee Nightclub」など、北米にある12のクラブだけで、売上合計が5億ドル以上を記録するほど、トップクラブの収益は群を抜いています。

また「DJ Mag」が選ぶ2015年版トップ・クラブ100に選ばれたクラブの20%がラスベガスを拠点にしていることが分かりました。

レポートでは、オンラインチケット販売プラットフォーム「Eventbrite」のデータも参照しています。Eventbriteによる「ナイトライフ」向けのチケット販売では、25%がエレクトロニック・ミュージック関連のイベントでした。また、57%のEDMファンが、Uberのような「ライドシェア」(相乗り)を利用しているという、興味深い数値も明らかになっています。

EDMフェスティバル事情

北米でのEDMフェスティバルは年々存在感を増しています。現在北米で開催されるフェスは、「Ultra Music Festival」や「Electric Daisy Carnival」(EDC)など巨大な規模に成長し、近年では「Tomorrowworld」「Beyond Wonderland」「Mysteryland」「Bestival」はアメリカやカナダに進出し、大きな成功を収めています。

2014年のEDMフェス動員数は、アメリカが「Ultra Music Festival」が週末1度に運営を戻したこともあり140万人で横ばいだった中で、カナダのフェス動員数は40万人を占め、大きく伸びています。

北米で開催されるフェスは、EDC=30万人、UMF=17万人、Villa Paradizo(カナダ)=10万人、など、世界有数の規模を誇ります。

ダンスミュージックDJとして世界で活躍するピート・トン(Pete Tong)が、2007年に開始したダンスミュージック専門のカンファレンスです。

ロサンゼルスで開催されたIMS Engageには、ビジネスレポートの発表の他に、Kaskadeとスチュアート・プライス(マドンナのプロデューサー)、Jake Udell(Krewella)とリオ・コーエン(元ワーナー・ミュージック・グループCEO、300 Entertainment)、Seth TroxlerとチャックD(パブリック・エネミー)、Sebastian Ingrossoとクインシー・ジョーンズ(伝説的なプロデューサー)など、世界的DJ達と実績あるプロデューサー達の対談が設けられて、トレンドからビジネスまで広くダンスミュージックについての議論が行われました。

「EDM」という言葉が世界でバズワードになっている背景には、巨大なフェスや、大金を稼ぐDJ達など、派手なカルチャーの一面が注目されています。ですが、あまりその経済背景やビジネスの側面について注目されることはありません。IMS Engageなどのカンファレンスは、EDMをブームと捉えるのではなく、ビジネスの機会として広く音楽業界にその価値を伝える役割を果たしていると言えます。まだまだ日本では実現しきれていない業界の考え方ですね。

レポート(原文)はこちらからダウンロードできますよ。

ソース

(Billboard)

image via Flickr

(2015年4月20日「ALL DIGITAL MUSIC」より転載)

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