マイナンバー制度の目的は、行政の効率化、国民の利便性の向上、公平・公正な社会の実現のための基盤をつくることである。

今後、社会保障や税の徴収が増大していく中で給付や負担の公平・公正を確保するため、このような制度が必要となってくる。

日本政策学校では、内閣官房 社会保障改革担当室(兼)内閣府大臣官房番号制度担当室内閣参事官の三橋一彦氏に、「マイナンバー制度について」というテーマで講義をしていただきました。以下はそのサマリとなります。

◇はじめに

マイナンバー制度とは、それぞれの行政機関を超えて利用される番号制度であり、社会保障や税の徴収が増大していくうえで必要な制度であるとして、検討されてきたものである。

付番の対象は国内の全住民であり、番号の使用は、必ず本人確認と共に行う。

番号の利用範囲は、法に定めてあるものに限られ、医療のカルテの情報は、利用の対象ではない。

利用は、平成28年1月より、段階的に開始されていく。

さらに、自分の情報の利用をネット上で確認できるマイナンバーポータルなど、新たなシステムが検討されている。

◇マイナンバー制度について総論

1.制度の概要と趣旨

マイナンバー制度とは、税や社会保障のために利用する番号制度であり、各省庁にまたがって利用されるものである。

マイナンバー法は、平成25年に成立し、平成27年10月に施行した。平成28年1月より利用開始となる。

これまで、個人を特定する方法として、それぞれの行政機関を超えて利用される番号制度は存在しなかった。

しかし今後、社会保障や税の徴収が増大していく中で給付や負担の公平・公正を確保するため、このような制度が必要となってくる。これは、民主党政権のときより検討され、自公政権になっても、自民・公明・民主党等の幅広い国会内での議論の末に成立した法律である。

その目的は、行政の効率化、国民の利便性の向上、公平・公正な社会の実現のための基盤をつくることである。

2.番号利用のしくみ

①通知の対象は、国内の全住民である。

②マイナンバーの使用は、本人確認と共に行われる。

これは、外国で発生しているなりすましなどの弊害を防ぐためである。

③個人番号の利用の範囲は、法に定めてあるものに限られる。

④マイナンバーの取得、利用、提供、保管については、一定のルールがあり、法とガイドラインによって規定されている。

◇マイナンバー制度について各論

1.法人番号

法人については、13桁の法人番号がある。これは個人情報保護の適用はなく、誰でも閲覧できる。

2.個人番号カード

顔写真を添付した個人番号カードは、申請により無料で交付される。

なりすましなどの弊害を避けるため、番号のみでの手続きはできず、必ず本人確認が必要になるが、個人番号カードは番号と本人の確認を1枚のカードで行えるもの。

搭載している電子証明などの利用については、民間にも幅広く解放するものである。

3.利用の開始

利用は、平成28年1月より段階的に開始されていく。

4.医療分野

医療分野においては、メタボ検診を受けた情報と、予防接種の履歴は対象となるが、カルテの情報は対象ではない。

◇今後の展望

今後の展望として、以下のことが検討されている。

1.マイナンバーポータル

自分の情報をどのように利用されたか、ネット上で確認できるシステムで、これは平成29年より始まる予定である。

2.ワンストップサービス

複数の関連する手続きを、1か所で完了できるサービスをいう。

例えば引っ越しなどでは、一つずつ住所変更しなくてよいシステムが、マイナポータルを利用してできるよう、検討されている。

講師:三橋 一彦(みはし かずひこ)氏

内閣官房 社会保障改革担当室(兼)内閣府大臣官房番号制度担当室内閣参事官

1992年旧自治省入省

総務省自治財政局財務調査課理事官、鹿児島県総務部長、内閣府地方分権改革推進室参事官、

総務省公務員部給与能率推進室長等を経て、現職。

講義データ (2015年12月15日に開催された、政策議論講義「マイナンバー制度について」より)

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