政策とは結果を出すことが重要であるから、現場で勘所を掴みながら政策を洗練させることが必要である

私が申し上げたいのは、時間を無駄にせず、講演の度にチャンスを一つずつ持ち帰ることである。

日本政策学校では、富山県氷見市長で日本政策学校一期生の本川祐治郎氏に、第6期生の卒業に際し「卒業後、次の一歩を踏み出すには-日本政策学校OBとして」というテーマで講演をしていただきました。以下はそのサマリとなります。

※画像はご本人の了承を得て掲載しております

◇はじめに

日本政策学校を卒業して、氷見市長となった私は、まちづくりを分業ではなく、トータルに考えていきたいと思った。

市民と達成感を共有するため、市民と議論するファシリテーションにより政治を行い、フューチャ―センターの役割をもつ市役所に、市民を招いて議論することを考えている。

まちの使い手である市民のつぶやきを、かたちにしていきたい。

卒業される方々には、机上ではなく現場で、政策を洗練していただきたいと期待する。

◇政治家をめざす方々へ

私は、東京から北陸新幹線で3時間の寒ブリの町、富山県氷見市の市長をしている。

若年層の政治家が増えつつある今日、私が申し上げたいのは、時間を無駄にせず、講演の度にチャンスを一つずつ持ち帰ることである。

そして、自分は政治家にふさわしい人間であると確信し、プラスのイメージを作り上げていただきたい。

◇未来の可能性を議論することが政策につながる

北陸新幹線の話に戻るが、新幹線の新高岡駅を従来の高岡駅に併設するかという問題があった。

結論として、併設はせず、新たな地に新高岡駅をつくった。

しかしこれによって、新高岡駅を降りて富山方面、石川方面、氷見方面に行く者は、在来線である城端線に乗り、高岡駅まで来てさらに乗り換えなければならない。

すなわち、新幹線の誘致は高岡市だけの問題ではなく、周りの市町村の問題でもあった。

このようなことを予測することが政策であり、未来の可能性を議論することが、政治的感覚を身につけることであると思う。

◇ソフト戦略により、トータルに考えるまちづくり

私が市長選挙に立候補した時、地方では、老人が車に頼らずに日常を過ごせる、

コンパクトなまちづくりが話題になっていた。

氷見市は、中心地に限って言えば、3%の面積に人口の40%超が集中するコンパクトシティーであるが、市庁舎移転は都市機能の拡散につながりかねなかった。

私は、短期ではなく中長期的なまちづくりを、財務だけではなく福祉的観点からみたまちづくりを、多市との連携でグランドデザインされたまちを描いているかと、公聴会で質問した。町を単発のハード事業の積み重ねではなく、「地球百年の大計」に立ったソフト戦略の議論のもとに考えるべきであると思った。

◇ファシリテーションを基本とする政治

市民はまちの使い手の専門家である。私は、市民の視点を集め、そのつぶやきを形にしていきたい。

達成感を共有するため、市民とハートで議論するファシリテーションを基本とし、市民が多様な専門家として集まる、フューチャ―センターとしての役割を果たす市役所にしたい。

そして、市民を交えた議論を、将来的にはネット上に公開したい。

◇現場で政策を洗練させる

卒業される方々にお伝えしたいことは、現場を持つことである。

政策を現場で洗練させながら、その勘所をつかんでいってほしい。

政策とは、結果を出すことが重要であるから、政策の入口で止まらないでいただきたい。

■講師:本川祐治郎(ほんがわ ゆうじろう)氏

富山県氷見市長

日本政策学校一期生

1967年、富山県生まれ。早稲田大学商学部卒業。

衆議員議員の秘書を務めた後、帰郷し、高岡商工会議所で地域振興事業に関わる。

2000年から家業の経営に従事。

その後、「政治・中間支援・民間」の3つのセクターでの経験を活かし経営士登録。

プロファシリテーターとして起業し、地域・企業のコンサルティングを行う。

2013年4月、富山県氷見市長選に無所属で出馬し、当選。

(講義データ:2015年11月29日に開催された、卒業記念講義「卒業後、次の一歩を踏み出すには―日本政策学校OBとして」より)

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