『アメイジング・スパイダーマン2』(その1)―課題こそが成長のキー 宿輪純一のシネマ経済学(37)

スパイダーマンは62年生まれ(筆者よりも1つ年上!)で、マーベルコミックスの人気アメコミキャラクター。本作は新シリーズ2012年の『アメイジング・スパイダーマン』の続編に当たる。このスパイダーマンの特徴は、アメコミの他のヒーローに比べて、「親愛なる隣人」といわれるだけあって、等身大というか、喜びや悲しみを持って人生を切り開いている。特に恋に悩みながら成長する姿には共感する方も多いのではないか。

スパイダーマンは62年生まれ(筆者よりも1つ年上!)で、マーベルコミックスの人気アメコミキャラクター。本作は新シリーズ2012年の『アメイジング・スパイダーマン』の続編に当たる。

このスパイダーマンの特徴は、アメコミの他のヒーローに比べて、「親愛なる隣人」といわれるだけあって、等身大というか、喜びや悲しみを持って人生を切り開いている。特に恋に悩みながら成長する姿には共感する方も多いのではないか。

出演陣は、基本的に前作を引き継いでいる。主人公のスパイダーマンは『ソーシャル・ネットワーク』の演技が光ったアンドリュー・ガーフィールド。彼女はエマ・ストーン。悪役には『RAY/レイ』でアカデミー賞受賞のジェレミー・フォックス、そして、『ノーマレイ』でアカデミー賞を受賞し、最近も『ER』で光っていたサリー・フィールドとそうそうたる布陣。監督は74年アメリカ・インディアナ生まれのマーク・ウェブで、なんと長編2作目が前作『アメイジング・スパイダーマン』という驚きの売出し中。

クモのような超人的能力を生かし、正義の味方スパイダーマンとして、ニューヨークの平和と、家族・恋人・友達を脅かす強敵と戦ってきた真面目な青年ピーター(アンドリュー・ガーフィールド)。最近は、気ままな彼女グウェン(エマ・ストーン)との関係も割合好調。しかし、そのままでは映画にならない。旧友のハリー・オズボーンがニューヨークに戻ってきて、状況が悪化していく。組織に虐げられて怪人になった人間発電機エレクトロ(ジェイミー・フォックス)が出現。ハリーが予想通り、怪人グリーン・ゴブリンとなり、エレクトロと組んで、スパイダーマンに逆恨みで襲い掛かってくるというピンチ! アクションはもちろん迫力満点であるが、このように、次から次へとピーターに“課題”や“試練”が降りかかる。本作に関しては情報管理が特に厳しくこれ以上はネタをかけない。

スパイダーマンをはじめとしたアメコミのヒーローは、弱い人の味方で、まさに勧善懲悪が基本となる。初期にはニューヨークや地球といったレベルではなく、地域や家庭の問題に対応していた。あのスーパーマンも初期のころは、奥さんを殴るひどい夫を懲らしめたりもしていた。このアメコミは、日本の「時代劇」と根本的な構造は一緒で、精神安定剤的効果があると考えている。それだけ、悩み苦しんで生きている人々が多いということか。(ちなみに、最近、日本のテレビにいわゆる時代劇が少なくなってきて個人的には残念である)

筆者は、最初の非常勤講師をした大学院では「応用編の企業戦略」を教えた。実は、経営では、顧客の様々な課題や問題に成長のキーがある。課題こそ、実は“ニーズ”であり、その解決策が新しい商品・サービスとなっていく。たとえばコンビニでは、最近、特に社会的課題に対応し、一人用の食事の販売や、配達も開始して、まさに問題解決を商品・サービスとしている。

また“課題”があるとき“祈る”人も多い。「神頼み」ともいわれたりもするが、筆者はその効用は大きいものがあると思っている。もちろん、宗教的な話をするつもりはない。祈る時はその祈る対象の絞り込みがされている。この“絞り込み”という行為が実は大事で、目標を決められてない人は、目標を達成できないのである。しかも“祈る”時には、その“課題”や“目標”に対して、強い思いある。こういうのもなんであるが、この“強い思い”というものが、経営や人生において、本当はもっとも大事なもので、人の能力なんてあまり変わらず、この思いの強さで差がついていくと筆者は考えている。

本作は、課題や試練に向かっていく勇気をくれる映画である。

「宿輪ゼミ」

経済学博士・エコノミスト・慶應義塾大学経済学部非常勤講師・映画評論家の宿輪先生が2006年4月から行っているボランティア公開講義。その始まりは東京大学大学院の学生さんがもっと講義を聞きたいとして始めたもの。どなたでも参加でき、分かり易い講義は好評。「日本経済新聞」や「アエラ」の記事にも。この2014年4月2日の第155回のゼミで“9年目”に突入しました。

Facebookが活動の中心となっており、以下を確認、ご参加下さい。会員は間もなく6000人になります。

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