ハワイで行っている福島の子供達を対象としたサマースクール「ふくしまキッズハワイ」。子供達の保養の為に、続けられています。

人的なレベルで、応援を続けている人もいます。

東日本大震災から5年経った今でも、ハワイでは様々な形の支援活動が続いています。東北の子供達をハワイに呼ぶ団体、慰問という形で物資やALOHAの気持ちを送るグループ。個人的なレベルで、応援を続けている人もいます。

ハワイ島に住むきくちゆみさんは、夫である森田玄さんとともに、2013年から福島の子供達をハワイに呼んでサマースクールを開催している他、通年で母子保養(未就学児対象)を行っています。今年は6人の子供達が、19日の日程で参加しました(例年は約1カ月の日程)。

子供達への思いを聞きました。

ふくしまキッズハワイ共同代表 きくちゆみさん

震災の後に福島の放射能汚染がかなり高い状態の中で、子供達がずっと暮らしている、チェルノブイリの時と比べても日本はずっと高いレベルの中で住まわせているという事が腑に落ちなくて、放射線を浴び続ける子にどういった影響が出るかが心配でした。政府が何もしないならば、私のできることをしましょうと考えました。

チェルノブイリの時に、21日程度現地を離れて体にいい食べ物を食べ続けると、体の中から放射線物質が出てくる、健康状態が良くなるというデータがあります。それをハワイ島でできたらいいなあと思い始めました。

子供達に学んでほしいこと

私たちはサマースクールという形をとっています。ホームステイで英語の勉強をしながら、自然エネルギー、コミュニケーション、体のバランス、免疫力を高める食事法について勉強していきます。

今日は、「どうすれば自然環境を大切にして私たち人間が生きていけるのか」という勉強で、ハワイ島にある海洋科学研究所NELHAを訪ねました。ここは世界で唯一商業電力につながる「海洋温度差発電」を研究しています。福島に住む子供達だからこそ、太陽、風などの自然エネルギーを使った暮らし方について、学んでほしいです。

食生活の大切さ

ハワイに来て、あまり野菜を食べなかった子も食べるようになりました。先日は体の授業を行い、砂糖の実験をしました。砂糖を食べると体の力が弱くなるという実験をして、みんなビックリしていました。それにレタスなどの青い野菜を合わせると力が戻ります。そうした実験もしているので、野菜をたくさん食べるようになりました。野菜は無農薬のものです。

葛藤

毎回子供達は最後の方になると帰りたくないと言ってくれます。私も帰したくないです。このままここにいられたらどんなにいいだろうかと思います。私はこの活動を「子供たちを放射能のあるところから離したい」という気持ちで始めました。ここで保養して、デトックスして。でも「また福島に戻るとどうなのかな」と、子供たちを帰すとき、辛いものがあります。勿論それぞれご家庭の事情があって福島に住まわれているので、その事は承知の上で行っていますが、やはり今の福島に子供達がずっといるという事は心が落ち着かないです。

大変なのは資金集めです。5年経って、「まだやっているの」「子供達は福島に帰るのだからやっても意味がないじゃない」と言われます。毎年資金集めはより困難になっています。

喜び

嬉しいのは、子供達の目の輝きです。この活動を2013年から行っていますが、「何年かぶりに海に入った」という子がいて、そんな時「やってよかった」と思います。人間は自然と共に生きていると思います。自然に触れる事で、エネルギーをもらえる。ハワイでイルカや亀を見たり、魚と触れ合ったり、その時の子供の顔を見る時が一番幸せです。体が続く限り、お金が続く限り、この活動を続けたいです。

きくちゆみさん ふくしまキッズハワイ共同代表

Hawaii Web TVより転載

撮影:塩沢淳子

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