休みたい時は休む。うつや適応障害を避けるには、休む“勇気”が必要だと思う

適応障害になり、働けない身体になった。
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うつ病や適応障害といった心の病を避けるためには

「まだまだ働ける」

と心が乗っている時でも、休む決断をする勇気を持つ。

働きマンは休むことに罪悪感すら覚えるかもしれない。僕もそうだったな。でも、人間の身体は素直です。眠れない、気分が乗らないなど「何かおかしい」と感じたら休もう🛏

— 原貫太 / 世界を無視しない大人になるために (@kantahara) November 18, 2018

「まだまだ働ける。休んでなんかいられない。」

昨年、まだ早稲田大学に通う学生だった時、僕はアフリカ支援の団体を起業した。個人としても、本の出版や講演活動を全国で続けるなど、毎日のように働き詰めの生活を送っていた。

学生時代から続けてきた国際協力活動の様子は、ハフポストに100本以上寄稿してきた記事の中でも発信してきた。有難いことに、「原さんは国際協力業界の若手ホープだね」と周りから声をかけられることもあった。正直、自分でも調子に乗っていたと思う。

もちろん肉体的な疲れが溜まり、体調を壊したことは何度かあった。家族からは「たまには仕事から完全に離れてのんびり過ごしたら?」と度々声をかけられていたが、「まだまだ働ける。僕みたいな若い人間が休んでいてはだめだ。それに、自分がやりたいことだから大丈夫。」

そう答え、ひたすら動き続ける日々だった。

適応障害になり、働けない身体になった

しかし、自分でも気づかない間に疲労やプレッシャーが蓄積されていたのだろう。5月末の仕事中、僕は突然パニック症状に陥ってしまい、そのまま極度の抑うつ状態になった。

数日経って、症状がある程度落ち着いてから、近所の心療内科にかかった。そこで初めて「適応障害」と診断された。

適応障害は、ある特定の状況や出来事がその人にとっては辛く、耐えがたいものに感じるため、気分や行動面に症状が現れる心の病気だ。例えば、抑うつ気分が続いたり、過剰に不安になったり、涙もろくなったりすることもある。

僕が仕事中、パニック症状になってしまったことも、恐らく適応障害の現れだと思う。

発症して間もない時期は、仕事はもちろん、日常生活もままならなくなってしまった。一日中、自宅で何もせずに、ひたすら休む生活が続いた。

バリバリ働いてきた人間だったからこそ、休むだけの生活に慣れるには時間がかかった。「本当に休んでいてもいいのだろうか。周りの人たちは普通に働けているのに、どうして僕はそれができなくなってしまったのだろう。」

そう、自分を責める日が続いた。

身体は素直。「兆候」は出ていた

人間の身体は素直にできている。いくら気持ちで自分を奮い立たせようとしても、気づかぬ間に疲労が溜まっていれば、身体の症状として現れ始める。

今振り返ってみると、適応障害を発症する前の自分にも、いわゆる「兆候」が出ていたと思う。朝起きようと思ってもなかなか起きられない。理由もないのに憂うつな気分が長引いている。苦手な人の顔を見ると胸が苦しくなってしまう...。

病気になる少し前から、そんな「兆候」が現れていた。

でも、休むことに罪悪感を覚えていた

そんな「兆候」があったにもかかわらず、僕はなかなか「休む」という決断をすることができなかった。

「僕が休んでしまったら、他の人に迷惑をかけてしまう」「僕がやりたくて始めた活動なのだから、休んでなんかいられない」

せっかくの休日にもかかわらず、仕事から離れようとしてもソワソワしてしまい、罪悪感すら覚えていた。

うつ病や適応障害といった病気は、良くも悪くも、責任感の強い人がかかりやすいと聞いたことがある。良い意味で「仕事だけが人生の全てではない」と気楽に捉えることができていたら、発症までは至らなかったかもしれない。

休むべき時に、休む勇気を持つ

うつ病や適応障害などの心の病を避けるためには、「まだまだ働ける」と心が乗っている時でも、休む決断をする勇気を持つことが必要だ。

普段からバリバリ働いている人は、休むことに申し訳なさを感じてしまうかもしれない。僕もそうだった。

でも、人間の身体は上手くできている。「まだまだ働ける。自分の力はこんなもんじゃない。」と乗っている時であっても、眠れない、気分が乗らないなど「何かおかしいな」と感じたら、休む決断をする。

その勇気を持つことが大切だと、適応障害になった経験から僕は学んだ。

休むためには周りの理解やサポートも欠かせない

心の病にならないためには、休むべき時に休む勇気を持つ。そんなことを発言したら、こんな意見が寄せられるかもしれない。

「会社員はそんな簡単に休めない。」

僕は会社員として働いた経験は無いけれど、その気持ちは何となく想像できる。

でも、よくよく考えてみてほしい。身体が限界に迫っているにもかかわらず休めない...、そんな状況に追い込まれてまで働く必要なんて本当にあるのだろうか?

こうは言っても、会社を休むという決断をすぐに下すことは難しい人が多い。ましてや、責任感の強い人であればなおさらだ。

だからこそ、良い意味で

「自分が休んでも会社は回る」

「仕事だけが人生の全てではない」

ということを、少しずつ理解していくことが大事ではないだろうか。

そして、うつ病や適応障害といった心の病気が広く認知され、周りの理解やサポートが得られる、そんな社会が作られていかなければならない。

さいごに

休むべき時に休む勇気を持つ。

あたりまえのことのように聞こえるが、毎日のように働き、仕事を軸に生活が回るような人であれば、その勇気を持つことは意外と難しい。

頭ではその行動が理解できているのに、なかなか踏み切ることができない。僕も当事者だったからこそ、その気持ちが分かる。

でも、そんなときは、目の前の壁にばかり気が取られてしまっている。一歩視点を引いて冷静になり、「目の前の仕事だけが人生の全てではない」そう思うことができれば、だいぶ気が楽になるはずだ。

適応障害は、放っておくと「うつ病」に発展する可能性もある病気だ。今思い当たることがある人は専門医に相談し、「休む」という勇気を持ってください。

休むという決断は、何も悪いことではないのだから。

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【ブログ更新】

「自分は大丈夫」と思っている人にこそ知ってほしい、適応障害になって学んだ8つのことをまとめました。

仕事が忙しくて十分に休めていない人。日々の人間関係に思い悩んでいる人。自分のことを好きになれない人。

そんな人たちにこそ読んでほしい記事です。https://t.co/uI5dXEJ7KD

— 原貫太 / 世界を無視しない大人になるために (@kantahara) 2018年11月18日

(2018年11月20日「原貫太オフィシャルブログ」より転載)

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