「笑顔」の裏を見つめて--僕が「国際協力」に目を向けたきっかけ

僕は「春休み、海外に行こう!」と、2013年の秋頃に決意。「海外ボランティア」というワードに行き着き、フィリピン・スタディツアーに参加することにしました。

大学一年当時、授業などを通じて少しずつ英語力が上達しつつあった僕は、「この春休み、海外に行こう!」と、2013年の秋頃に決意。

今でこそアメリカ留学やバングラデシュでの活動などを理由に、「や~いグローバルグローバル」と友人にからかわれる僕ですが、それまでの海外経験はニュージーランドとマレーシアのみ。両方とも現地滞在一週間の旅行です。

そうして旅行の計画を考え始めた僕ですが、

・どうせ行くなら普通の海外旅行は嫌だな

・マレーシアがなかなか良かったので東南アジア辺りの途上国が良いな(安く済ませたいし)

・就活に有利な経験を積みたいな

など、非常に短絡的な動機でリサーチを始め、最終的に「海外ボランティア」というワードに行き着き、日本のNGOが提供するフィリピン・スタディツアーに参加することにしました。

タイやカンボジアをはじめ、色々なツアーがある中でフィリピンのプログラムを選んだ理由は、

・プログラム詳細に記載されていた「ストリートチルドレン」という言葉に聞き覚えがあり、自分の目でその存在を確かめたいと思ったから。

・俗にいう「貧困」を一番体験できそうな内容に思えたから。

くらいです。ここまでの動機や理由は、至って普通だと思われます。ということでフィリピン行きましょう!

いざ、フィリピンへ!

今回のスタディツアー、現地滞在は(たったの)6日間。スラム街で暮らす子供たちと遊んだり、孤児院を訪問して施設の子供たちに勉強を教えたり、ストリートチルドレンにパンを渡す給食活動をしたり。当時の僕にとっては活動全てが新鮮で、非常に充実した時間が過ぎていきました。

ストリートチルドレンの子供たちと。

スラムに暮らす子供たちと

孤児院に暮らす子供たちと

正直に、というよりも写真が証明しているように、僕は活動を楽しんでいました。別に楽しむことは悪い事ではないと思いますが、彼らの笑顔の裏に潜む途上国の問題を見つめようとはしていませんでした。

忙しくも非常に有意義な6日間を過ごし、達成感を覚えながら迎えた最終日。僕は、空港に向かうバスの中からとある光景を目撃します。

車の往来激しい3車線の道路。その上を、車と車の間を縫いながら歩く一人の少女。ボロボロのワンピース。7歳くらい。

彼女は、裸の赤ん坊を抱えながら車の窓ガラスを叩き、物乞いをしていました。

あの瞬間に感じた気持ちは、何とも表象し難いですね。

ご存知の方も多いと思いますが、このような光景は途上国では日常茶飯事である上に、まぁ「やらせ」でしょう。帰りがけの観光客から少しでも多くのお金を恵んでもらうために、自分たちをより可哀想に、より困窮している様子に見せるわけです(「やらせ」だとしてもそれはそれで問題だとは思いますが)。

しかし、当時の自分はそんな事情を知りません。目の前で何が起きているのかが全く理解できず、

「この6日間、散々色々な場所で活動してきたのに、まだここにも困っている人がいる。それに、今まで見たきたどの子供よりも、困っているように見える。」

と、ただ呆然としてその光景を眺めていました。そして同時に、

「自分がこれまで行ってきた活動は何だったんだろう。もっと他に目を向けるべき問題、やるべきことがあったのではないか。」

と、強烈な後悔に襲われます。

この時、自然と、本当に自然と自分の中に芽生えた言葉が、"世界の不条理"

そして、その"世界の不条理"をただ仕方の無い物として受け入れてしまうのではなく、どんなに微力であっても抗いたい。挑戦したい。そんな気持ちが芽生えました。

学生による国際協力や国際交流活動、また短期のスタディツアーやボランティアで一つキーワードとなるのが、「笑顔」という言葉。

もちろん、「子ども達の笑顔の為に」「笑顔は世界の共通言語」といった文句にも共感できます。「厳しい境遇に置かれているにも関わらず、笑顔を絶やさずに力強く生きる人々。」「言葉は通じなくとも、笑顔は国境を超える。」それも一つの事実であり、僕らがそこから学ぶことは沢山あると思います。

ただそれだけではなく、いやむしろそれ以上に、一歩視点を引いてみて「その笑顔の裏には、どんな問題が潜んでいるのか。」を冷静になって考えてみることが、また大事かと思います。

そしてそのためには、時には学術的に、時には専門的に、特に学生であれば「勉強」することが大切であり、またその学び続ける「姿勢」が、僕のような学生が国際協力活動を志す上で相応しい姿勢ではないかと感じるのです。

僕自身、最終日に物乞いをする少女を見かけることなく、「楽しい」という経験だけでスタディツアーを終わらせていたら、今の自分は無いかもしれない。

"世界の不条理"に気づかせてくれたあのフィリピンの少女に、いつの日か胸を張って会えるように。道は遠けれど、日々学び続ける姿勢を崩さず、これからも精一杯頑張っていきたいと思います。

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