テロ・過激派...メディアに埋もれたもう一つのバングラデシュ-日本の大学生が見た「本当の」現地の姿

「一緒に写真を撮って」と頼まれた時、バングラデシュ人の女性は、わたしの頬を触った。通訳の人に尋ねると、その意味は...

バングラデシュの首都ダッカで日本人7人を含む人質20人が殺害されたテロ事件から、1週間以上が過ぎた。

学生NGOバングラデシュ国際協力隊としては4回、私個人としては2回ダッカに足を運び、そして今年8月にも現地渡航を計画していた者として、今回の事件は決して「遠くの世界の出来事」ではなかった。襲撃が起きたグルシャン地区には何度も足を運んでおり、昨年3月と9月に行ったバングラデシュ国際協力隊の現地渡航では、メンバー達が同地区のホテルに滞在していた。

事件後のテレビや新聞では、頻繁に「バングラデシュ」という文字を目にする。そしてその殆どは、「テロ」「過激派」といった言葉と共に並んでいる。

もちろんテロが起きた以上、バングラデシュの「負の側面」が注目されるのは当然の事だ。私自身も、1ヶ月以上前に「バングラデシュで高まるイスラム過激派-アジアへ広がるISの脅威」でISと国内過激派の繋がりを危惧していた人間として、その「負の側面」には目を向けており、そしてこれまで以上に真剣に向き合おうと考えている。

しかしながら、そして当然の事ながら、その「負の側面」はバングラデシュのほんの一側面でしかない。これまで何度も現地に足を運んできた学生NGOのメンバーとして、「日本の大学生が見た『本当の』現地の姿」と題し、それぞれが現地で撮影した写真と共に、この国の「別の側面」を伝えたい。

第二回現地渡航(2015年3月2日~18日)にて現地ダッカで行ったキャンペーン活動の様子(写真:バングラデシュ国際協力隊)

支え合う兄弟

バングラデシュには、路上で生きる「ストリートチルドレン」が数多くいる。彼らの多くは集団を作り、支え合いながら生活をしている。

この写真は、現地で彼らのつながりを実感した時の1枚だ。彼らの関係は、仲間というより、家族というより、兄妹という言葉が相応しいと思った。彼らは自分たちで兄妹を作り、人の暖かさを手にいれ、生き抜く力を得ているのかもしれない。(4年 岡)

(写真:バングラデシュ国際協力隊)

君は、僕よりも強い。--逞しく生きるバングラデシュのストリートチルドレンと

親もいない。兄弟もいない。住む家も無い。

学校にも通わず、朝から晩まで駅で働く。それも、1日100円の収入で。

日本に暮らす僕たちからすれば、君は困っているように見える。悲しいように見える。実際そうなのかもしれない。

だけど、君は強い。きっと、僕よりも強い。

いつの日かまた、胸を張って君に再会できるように。その日のために、今日も明日も、僕は頑張ろう。(4年 原)

(写真:バングラデシュ国際協力隊)

バングラデシュ人から貰った幸せなジェスチャー

現地で活動をしている時、バングラデシュ人の女性に「一緒に写真を撮って!」と頼まれた。その時、その女性はわたしの頬を触った。

通訳の人に尋ねると、「幸せになってね。」という表現なのだそう。

一瞬しか会っていない、一瞬の出来事だったけど、素敵な文化・表現だと思った。 (4年 青野)(写真:バングラデシュ国際協力隊)

カメラを向けると笑顔を見せてくれるバングラデシュの子供たち

現地でインタビューをしていると、「俺を撮って!撮って!」と言わんばかりにカメラに写ろうとする子供たち。

その日のバングラデシュは暑かったはずだが、彼らの明るさと熱気に比べれば、 涼しかった気がする。(3年 成田)

(写真:バングラデシュ国際協力隊)

青空教室で勉強に励むストリートチルドレン

文字を教わるストリートチルドレン。教えている先生は、元ストリートチルドレンの17歳の青年。

子どもたちは、はっきりとした口調で「将来はジャーナリストになりたい」などの夢を語ってくれた。その時の真剣な表情が忘れられない。(3年 村上)

(写真:バングラデシュ国際協力隊)

ストリートチルドレン、駅の利用者たちとダッカのカマラプール駅にて。

私たちがストリートチルドレンにインタビューをしていると、活動に興味を持ってくれた人たちが集まってきました。駅を歩いていても、「ジャパニ!ジャパニ!」と笑顔で気さくに話しかけてきてくれる人が多く、人の温かさを感じました。 (3年 高橋)

(写真:バングラデシュ国際協力隊)

ヒンドゥー教の春の訪れを祝うホーリー祭で出会った大学生と

ダッカ大学の前で車から降りた瞬間、ホーリー祭を祝う大学生にカラフルな粉を投げられました。言葉が通じなくても笑顔になり、ついみんなで集合写真を撮っちゃいました。(3年 メルトン)

(写真:バングラデシュ国際協力隊)

スラム街で撮影したお母さんと息子

首都ダッカのスラム街にて。

スラム街を歩いていると、1人の女性に声をかけられ、「この子を撮って」と言われました。持っていたiPhoneで撮影し、男の子は怪しそうにこちらを見ていましたが、撮った写真を見せると満足そうにニッコリと笑ってくれました。

スラム街は危険であると聞いており、身構えていた私にとって心が暖かく、それまでのスラム街のイメージを少しだけ変えてくれる出来事になりました。(2年 田尻)

(写真:バングラデシュ国際協力隊)

ホームステイで感じたバングラデシュの人々の温かさ

突然の訪問にも関わらず、温かく迎え入れてくれた、バングラデシュ人の一家。現地の食べ物をご馳走してもらったり、一緒にクリケットを観戦したり、バドミントンをしたりと、バングラデシュの人々の優しさ、そして温かさに触れることが出来た滞在だった。(4年 神谷)(写真:バングラデシュ国際協力隊)

クリケットに飛び入り参加!

第4回現地渡航(2016年3月)最終日、朝の公園にて。

朝の公園を散歩していると、同世代であろう男の子たちが少しの間クリケットに入れてくれました!バットにボールが当たると声をあげてくれ、とても盛り上がりました。メンバー全員のバットに当たるまでボールを投げてくれ、とても楽しい思い出が作れ、最後には誘ってくれた人たちとお決まりのセルフィー(自撮り)を撮ってお別れしました。(2年 田尻)

(写真:バングラデシュ国際協力隊)

エネルギー溢れるバングラデシュ

ブリゴンガ川に面した港、ショドルガッドにて。

川の対岸へと渡るため、人々は木製の船を使います。約10人と、船の中が満員に近い状態になっても船を動かすのは人の手です。

川の色や流れてくるゴミなどを見てとても綺麗だとは思えませんでしたが、たくさんの人や船が行き来し、港は活気に溢れていました。私はこの場所で、日本では感じることがない、人々のエネルギーやパワーを感じました。(3年 田尻)

(写真:バングラデシュ国際協力隊)

記事執筆者:原貫太(早稲田大学4年/バングラデシュ国際協力隊 第一期代表)

【お知らせ】

"世界の不条理"を真剣に見つめ、考え、そして行動を起こしてみませんか。

学生NGOバングラデシュ国際協力隊は、「"気づき"から始まる国際協力」という理念の下、ストリートチルドレン問題に特化し、現地で直接的な活動を行う学生NGOです。これまでに4回の現地渡航活動を実施してきました。

首都圏の大学生を中心に活動中。7月に活動説明会を実施します。

●日時

7/13(水) 18:15~18:45

7/20(水) 18:15~18:45

●開催場所

新宿NPO協働推進センター(高田馬場駅より徒歩15分)

●対象

大学生/大学院生

●参加費

無料

参加希望の方は、以下の申し込みフォームに記入をお願いします。

活動説明会の詳しい内容はこちらのページを、また当団体の詳しい活動内容は、公式ホームページをご覧ください。

バングラデシュ現地での活動の様子(写真:バングラデシュ国際協力隊)

*今回のダッカ邦人殺害事件を受け活動説明会の開催延期を検討しましたが、メンバー間の話し合いの末、予定通りの実施を決定致しました。

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