2015年の知事・政令市長選に絞って振り返る、ネット活用状況

今回は本年に実施された選挙の中から知事と政令市の首長選挙に的を絞り、選挙時などのネット活用状況をあらためて振り返ります。

2015年も残りわずかとなりました。

選挙の視点で振り返ると、4月には4年に1度の統一地方選挙、5月には大阪都構想の是非を問う大阪市住民投票、8月には自ら制定した多選自粛条例を超えて出馬した上田清司埼玉県知事の4選目出馬、そして11月には橋下徹氏の大阪府知事時代から7年間の維新政治が問われた大阪ダブル選などが行われ、話題に事欠くことのない1年となりました。

今回は本年に実施された選挙の中から知事と政令市の首長選挙に的を絞り、選挙時などのネット活用状況をあらためて振り返ります。

(1)マニフェストを訴えるなら「ホームページの運用」がダントツ!

※アクティブ=選挙に関する内容の発信を行ったことを示しています。

※非アクティブ=アカウントは保有しているが選挙に関する発信は行わなかったことを示しています。

グラフから当選した候補の約8割がホームページを活用したことがわかります。 ホームページを運用しなかった当選者は2割以下にとどまり、現職・新人を問わずホームページはマストなツールとなっているということでしょう。

政治活動を伝えるツールとしてはホームページに次いではFacebookが3割を越えて2番目となりました。

SNSの発信に力を入れる政治家が増えつつありますが、選挙に向けてはホームページが「ネット選挙の基本」として最初に抑えるべきツールと認識をされていることは間違いないでしょう。

(2)新人勝者はネット選挙に尽力!

今年行われた26の知事・政令市長選挙のうち、現職再選は22人で現職の敗戦は0。 新たに誕生した首長は4人でしたが、新人候補のネット選挙はなかなか力が入っていました。

新たに大阪市長となった維新の吉村洋文氏(40歳)のネット活用術については以前に当ブログでお伝えしたとおりで、Twitter、Facebookから、毎日数多くの発信を行っていました。

佐賀県知事選挙は、前武雄市長・樋渡啓祐氏(45歳)と総務官僚・山口よしのり氏(49歳)がネット選挙でも熱い戦いを繰り広げたものでした。

当選したは山口氏はFacebookから1日5回以上の投稿を行う日もあり、首長候補者として頻度の高い発信を心がけていたようです。

対抗馬の樋渡氏も負けず劣らず、Facebookからの発信にとどまらず、自身のブログもフル活用して選挙期間中には1日複数回の更新を行っていました。

結果は山口氏と樋渡氏に4万票の差こそついたものの、ネット活用なしに新人候補が有権者に訴え選挙を進めていくのは難しい現実があるのではないでしょうか。

同様に新人同士の争いを繰り広げた札幌市長選挙では、初当選を果たした秋元克広氏が選挙期間中、毎日ホームページ更新を欠かさず行いました。

一方、次点で落選となった対抗馬・本間奈々氏はTwitterとFacebookのアカウントを保有しているにもかかわらず選挙に関する発信はほとんど見られず、結果的に当選した秋元氏とは10万票以上の差。

本間氏は2度目の札幌市長選への挑戦だったため「知名度」に多少は自信があったのかもしれません。

しかしネットを上手く使いこなすことでより僅差になった可能性はあったのではないでしょうか。

(3)2015年首長選挙 ネット選挙の優等生はどの首長?

今回の調査で選挙期間中にホームページ・Twitter・Facebook全てをアクティブに活用していた首長は神奈川県知事の黒岩祐治氏。

ホームページの投稿は本人とスタッフで色分けがされており誰が投稿したか一目瞭然。非常に見やすく有権者に心配りを感じます。

また「Instagram」もいち早く取り入れており、ネットをフル活用して選挙戦に臨んでいたことがわかります。

元ニュースキャスターそして現職2期目の知名度に阿ることなくネットのあらゆる手段を駆使して有権者に訴えかけた黒岩知事のホームページやSNS等のネット活用はあらためて参考になるのではないでしょうか。

(まとめ)

新人候補がネットを活用してアピールするのは当然のこと、圧倒的優位といわれる「現職」でもホームページをはじめとするネット活用が必須の時代。

来夏の参議院議員選挙から18歳選挙権がスタートすることから現在より多くの若い世代の投票が見込まれています。

その若者に声を届けるためには「ネット選挙」の活用が有力なのは間違いありません。

まず基本となるホームページの運用、そしてさらなる拡散を求めてSNSを活用する等の「賢いネット対策」を早めに準備することをオススメします。

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