取り急ぎの待機児童対策財源 〜 2016年度補正予算で公務員人件費26.5兆円の1.2%(約3000億円)を転用せよ

民間事業者から提起されてきた保育規制緩和などの他に、即効性のある政府の対応としては、所要財源の規模と捻出元を大まかに提示しておく必要があろう。

各メディアでも既報の通り、安倍首相は今月11日の参議院本会議で、待機児童解消のための具体策を今春に打ち出す考えを示した。

安倍政権の本気度を測るバロメーターは、選挙前に公表される予定の『一億総活躍社会に関する最終報告書』で、保育向け追加予算額が兆単位の規模で明記され、かつ、2016年度補正予算と2017年度概算要求においてそれに係る予算額が計上されるかどうかだ。

しかし、首相指示が出た以上は、これを好機と捉えて少々無理だと思われてきたことも含めて政策提起していくべき。

民間事業者から提起されてきた保育規制緩和などの他に、即効性のある政府の対応としては、所要財源の規模と捻出元を大まかに提示しておく必要があろう。

今春に打ち出すのだから、今春から執行可能な予算が必要となり、それは2016年度予算を補正して手当てすることになる。その財源としては、国民理解を得やすいと政治的に思いつかれやすいのは、やはり公務員人件費であろう。

下の資料にあるように、2016年度予算における公務員人件費は、国・地方合わせて26.5兆円。待機児童対策として必要な予算規模については諸説ある。直近ニーズでは約3000億円程度とされており、これは公務員人件費の1.2%分となる。

26.5兆円 × 1.2% ≒ 3000億円

<資料>

(出所:平成27年12月 財務省主計局「平成28年度 公務員人件費」)

少子化・高齢化への対策なのだから、子ども子育て財源は本来、年金・医療など高齢者向け予算からの転用で賄うべきものである。

だが、年金・高齢者医療は、日本の政治における最大の利権の塊であり、そう易々と削減できないだろう。今までもそうだった。そして、憲法改正に向けた安倍政権の姿勢を始め、今後の政治情勢を俯瞰すれば、やはりそう思わざるを得ない。

筋論としては全くおかしな話ではあるのだが、公務員人件費の転用は最も政治リスクが小さい安直な手法となってしまうのだ。

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