4月27日、天皇、皇后両陛下主催の春の園遊会が、東京・元赤坂の赤坂御苑で開かれました。
昨年より6日、例年と比べ1週間から10日ほど遅いせいか、御苑の花々や樹々の緑も、春から初夏へと彩りが移りつつありました。
雅楽が奏上されている御池でも、杜若(かきつばた)がほころんでいる様子を初めて目にすることができました。
例年は控えめな印象の藤棚も、今が盛りと咲き誇り、例年の撮影スポットである八重桜に代わって色とりどりのツツジが園内のそこここで咲き競っていました。
両陛下がお出ましになる直前にはいつも、まるで呼び出しの係りのように数羽の鴉がやって来て声をあげるのですが、今年は上空にツバメたちが飛び交い、続いて鳩が飛来し、更にはハクセキレイまでやって来て、三権の長から陛下に行われるご挨拶を至近距離で見守っていました。
少し季節が動いただけで、こんなにも生命力が横溢するものかと、あらためて赤坂御苑の自然の豊かさと、大自然の力の偉大さを実感したひとときでした。
大自然の威力と言えば、地震被害を受けた熊本県からは八代市の永原辰秋副市長が招かれ、両陛下は「大変ですが、がんばってください」と励まされていたそうです。
美しい赤坂御苑でありますが、伺うたびに思うことは、この庭園をもっと一般の方々にも開放し、感動を共有できないかという事。
ロンドンのバッキンガム宮殿では、エリザベス女王がご不在である夏の期間中、少々お高めな(23£=3600円)入場料をとって宮殿内を一般開放しガイドツアーを実施しています。
英国王室はもともと、火災に遭った王城の復旧費用を捻出するために、このバッキンガム宮殿ツアーを始めたようですが、ガイド内容が実に行き届いていることもあり、ツアーに参加した者はまず間違いなく英国王室のファンになります。
宮殿ツアーが終わると、バラエティに富んだ王室関連グッズがズラッと並べられている、ガーデンに特設された仮設式の大型ショップに誘導され、訪問客は喜んでお土産を買って行きます。
不敬罪にあたるとお叱りを受けるかもしれませんが、大きな天災など国家国民的試練が与えられた時だけでも、赤坂御苑を一般に開放し、その入場料などの売り上げを義援金に回すことはできないものでしょうか。
熊本地震で多くの方々が避難されている中で開催された今回の園遊会。
やろうと思えばできることは幾らもあるのではと、複雑な思いに駆られた一日でした。