運動靴は「ボコ・ハラム」に苦しむ子どもたちへ ~アフリカ一万足プロジェクト続報

バングラデシュの首都ダッカでのテロ襲撃事件が、日本からの国際協力や支援活動の今後に深い影を落としている中、勇気づけられるニュースがアフリカから届きました。

バングラデシュの首都ダッカでのテロ襲撃事件が、日本からの国際協力や支援活動の今後に深い影を落としている中、勇気づけられるニュースがアフリカから届きました。

作新学院の「アフリカ一万足プロジェクト」により回収され、カメルーンに送られた運動靴11,500足の贈呈式が首都ヤウンデで行われ、いよいよ現地の子どもたちへと届けられる新たな一歩が始まりました。

ダンボール箱約500箱にもなる運動靴は、昨年11月に本学を出発し、3月下旬にカメルーンのドゥアラ港に到着。4月中旬に首都ヤウンデに搬送され、同国政府に寄贈する贈呈式の日を待っていました。

運動靴はこれからカメルーンの極北部に運ばれ、テロ組織ボコ・ハラムによって居住地を追われ難民となっている子どもたちの避難先である小学校へ運ばれることになっています。

学 院の子どもたちをはじめ全国の有志の方々と一緒に、足かけ3年かけて回収・洗浄・乾燥させ、15~28㎝までサイズ別に分別しダンボール箱に詰めた運動

靴。その一足々々が、貧困のみならず紛争にまで巻き込まれ逃げ惑う子どもたちの足を保護し、身を守り、ひょっとすると命を救うことができるかもしれないと

想像すると、胸が熱くなります。

た だ、靴が届けられる予定の極北部は、外務省の安全情報でレベル4(退避勧告)に指定されている大変な危険地域で、日本人が立ち入ることはできません。その

ため、11,500足の靴はまず日本政府からカメルーンの初等教育省へと寄贈され、現地へはカメルーン政府によって搬送してもらうことになっています。

6月28日の贈呈式には、カメルーン側から初等教育大臣・次官、憲兵隊担当国防副大臣はじめ各省の要人が、また国際機関からは高等弁務官事務所代表、ユネスコ、ユニセフ代表等、国際援助機関代表など約200名が出席し盛大に行われたようです。

贈呈式の様子は現地のテレビニュースで報道され、トリビューン紙にも記事が掲載されました。黄色い民族衣装姿のハディジャ・アリム初等教育大臣は、来年度初めには極北部の子どもたちに靴が届けられるだろうと述べています。

(写真は紙面)

大臣の言葉通り、新学期には日本からの運動靴をカメルーンの子どもたちに履いてもらいたいと願ってやみませんが、テロ組織ボコ・ハラムによる蹂躙は激しさを増しています。

2015年11月に発表された「グローバル・テロリズム・インデックス」によれば、ボコ・ハラムは2014年、世界のテロリストグループの中で最も多い6644人をテロ攻撃で殺害し、あの「イスラム国」(IS)をも上回る"史上最悪のテロ組織"とされています。

さらに、戦闘などの暴力行為による死者数はテロによるそれよりも多いとされ、「ナイジェリア・セキュリティー・トラッカー」によると、2014年には6000人を超える人々がボコ・ハラムとナイジェリア軍との衝突で亡くなったとされています。

ボコ・ハラムと言うと被害国はナイジェリアと思いがちですが、彼らが幾度となく攻撃・占領し、数百名の人質をさらっている北東部は、カメルーンと国境を接しており、特に極北部はその影響を直に受け、難民となることを余儀なくされています。

ボコ・ハラムの名が世界を駆け巡ったニュースと言えば、2014年4月ナイジェリアで起きた約300名の女子生徒拉致事件です。犯行声明で彼らは、誘拐した少女たちを奴隷にして売り飛ばすと発表し、世界中から強い非難を受けました。

し かも一度拉致された女性たちは、たとえ救出され自分の村に戻れたとしても、テロリストに洗脳されている、もしくは性的に穢れているとみなされ迫害される例

も少なくないと言います。実は、ボコ・ハラムにより相次いで引き起こされている自爆テロの多くが、女性や幼い少女によるものなのです。

ボコ・ハラムのBokoは現地語で「西洋式の非イスラム教育」を意味し、Haramとはアラビア語で「罪」を意味し、彼らは西洋式の教育を何より敵視しています。ボコ・ハラムは、教育だけでなく西洋文明や現代科学も攻撃し、さらには異教徒だけでなく過激思想を受け入れないムスリムをもその対象として、そのテロ行為はモスクに対しても及んでいます。

そうした想像を絶するような過酷な環境に晒されている子どもたちが、今この同じ地球上に確かに存在していることを、「アフリカ一万足プロジェクト」での活動を通じ、私は初めて身近に感じることができました。

また危険なことも少なくない現地で、発展途上国の人たちを支援するため、日々尽力されている方々のご苦労の一端を垣間見ることもでき、本当に頭の下がる気持ちで一杯になりました。

そして、ほんの少しの意志と行動力があれば、たとえ日本からでも何かしらの支援ができる、さらにそうした支援が重なれば政府すらも動かすことができることを実感しました。

世界中が、不安と恐怖により委縮し分断されつつある今こそ、平和や安定をもたらすための国際支援、特に暴力や差別の連鎖を生まないための教育支援は、何より重要であると思います。

テロには決して屈しない―その思いを胸に、これからも子どもたちとともに静かな闘いを続けて行きたいと思います。

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