Women's March (女性たちの行進)に行って思ったこと

先日ボストンで行われたウーメンズマーチ(女性たちの行進)を撮影した。これは1月21日、トランプ大統領就任式翌日にアメリカ全国各地で行われたマーチの1つだ。

先日ボストンで行われたウィメンズ・マーチ(女性たちの行進)を撮影した。

これは1月21日、トランプ大統領就任式翌日に首都ワシントンD.Cで行われたウィメンズ・マーチオンワシントン(Women's March on Washington)に賛同してアメリカ全国各地で行われたマーチの1つだ。その日のボストンは気温は10度ほど快晴で屋外デモをするのにはちょうどいい日だった。

私はこのデモに対してもやもやした気持ちをもっていた。11月の選挙でトランプの勝利が確定してから、アメリカ人に対してショック、怒り、疑問、不信感そして自己嫌悪を持ち続けた2か月だった。

もちろんアメリカの1部の票がトランプに行くのはわかっていたが、まさか大統領になるとは。。。19年住んできたアメリカに裏切られた気持ちが強かった。ペンではないが写真でメディアにかかわっていながらこんなにもアメリカ全土に不満が浸透していたことに気付かなかった自分の甘さにも腹がたった。

ワシントンD.Cを中心に主要都市で行われたウィメンズ・マーチの全米動員数は100万人をこえた、と報道された。あんなにもアメリカを二分化したトランプがこれだけの人数をアンチで結束させた!

私が撮影したボストンのデモは午前11時からアメリカで1番古い公園ボストンコモンで反トランプ派マサチューセッツ州の政治家の演説から始まり、12時過ぎからデモ行進が始まった。10万人以上の人が参加したボストン史上近年で1番大きい行進だったそうだ。

マーチに参加している人々は年齢層は幅広く、反トランプの男性も多く見受けられたが、ほぼ白人だっだ。

ウィメンズ・マーチの主催者ウェブサイトにはLGBT、移民への迫害、人種差別問題、身体障害者の権利も女性の権利と共にリストとしては提示されてはいたが、ボストンのマーチでみるかぎり、主にフェミニスト悲願であるガラス天井を壊すこと、女性のリプロダクティブライツ(生殖、主に中絶の自己決定権)を中心にしたプラカードが多く見受けられた。

もっとつっこんでいうとそれは一般的に"白人女性の問題"といわれるものばかりだった(ここでいう”白人女性”とは、教育がある中流階級で、さらに生まれた時に診断された身体的性別と自分の性同一性が一致して、それに従って生きる「シスジェンダー」で、異性愛者の「ストレート」である健康な人を示す)。

それはどういうことかというと、例えば近年アメリカで起こっているBlack Lives Matter ムーブメントは"黒人が警察に不当にターゲットにされて殺される"ということに対するデモであり、このムーブメントからみれば黒人女性がガラス天井を壊す運動をするのはまだまだ遠い先のこと、感じるのではないだろうか。

そして去年の11月に黒人女性の大半がヒラリーに票をいれ、白人女性の半分がトランプに投票したという事実も忘れてはいけない。

私たちが今当たり前のように持っている女性権利は前世代のフェミニスト、運動家たちが戦って勝ち取ってきたものである。私たちはそれを守っていかなくてはいけない。

そして私たちは過去に勝ち取ったものを守るだけではなく、外に眼を向けていかなくてはいけない。自分にとって守られている基本的権利、人権が他の人にもちゃんとあてはまっているか。。。年齢、育ってきた環境、肌の色、セクシャルオリエンテーション、個々の違いをこえて住みやすい社会に向かって皆で前進していけるようになりたい。

これから少なくとも4年間トランプは大統領となる。反トランプ運動は1日目を終わらせただけだ。今後のトランプの政策を注意深く観察しながら、この運動が幅を増やし、持続していけるかどうか、がポイントだと思う。

これらのことは先週ボストンでの出来事だが、日本も同じだと思う。政治は観戦するものではなく、参加するもの。。。未来に責任をもって現在を進みたい。

ボストン女性たちの行進

(ボストンコモンに行進のために集まった人々)

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