安保法案が強行採決された日の「鴻池祥肇委員長に対する不信任動議への賛成討論」の原稿

9月17日にいわゆる安保法案が参議院の特別委員会で強行採決された。この日、同委員会では強行採決を押し進める鴻池祥肇委員長への不信任動議が提出され、私自身もそれに対して賛成の立場から討論を行った。

9月17日にいわゆる安保法案が参議院の特別委員会で強行採決された。この日、同委員会では強行採決を押し進める鴻池祥肇委員長への不信任動議が提出され、私自身もそれに対して賛成の立場から討論を行った。以下、その原稿を掲載する。なおここでは法案の中身や是非について触れずに、与党の国会運営の横暴さに焦点を当てているが、それは委員長解任決議案の賛成理由を述べているという事情による。

-以下は討論原稿-

無所属クラブの水野賢一です。鴻池祥肇特別委員長に対する不信任動議に賛成の立場から討論をいたします。

賛成の理由は単純明快です。現在審議中の安全保障関連法案に関して、審議も十分でないまま、強行採決に向かっていることが誰の目にも明らかだからです。

そもそもこの法案は形の上では2本の法案となっていますが、そのうち1本は、内実を見れば10本もの法案を束ねて改正するという盛り沢山の内容のものです。それだけに議論すべき課題がまだまだ数多く残されているじゃありませんか。現に内容を詰めていけばいくほど、防衛大臣が答弁に窮し、速記が止まるというのが委員会審議の実態じゃありませんか。

まして維新の党からは多くの対案が出されています。また民主党と維新の党は共同で領域警備法案も提出しています。後者については先日委員会で趣旨説明の聴取をしたばかりじゃありませんか。さらに報道によれば与党は別の3党との協議で閣議決定とやらまで約束しているそうじゃありませんか。ならば、こうしたことについてもしっかりと審議するのが当然ではないですか。

なぜ、これで締め括り総括質疑なんですか。

なぜ、これで質疑終局なんですか。

なぜ、これで強行採決なんですか。

まったく道理が通りません。

私は昨日午後6時に、もしくは本日朝に締め括り総括質疑を開くことには断固反対の立場でありました。しかしそれは審議そのものを拒否すると言っているわけではないのです。

この状況の中で、審議を締め括ろうとすることに反対をしているのです。

この状況の中で、審議を打ち切ろうということに反対をしているのです。

この状況の中で、採決を強行しようということに反対をしているのです。

与党はすぐに「野党が審議拒否をしている」と言います。しかし会期は27日まであるんです。にもかかわらず早々に質疑を締め括ろうとし、そしてもっと深掘りした議論を拒否しているのは実は与党側ではないですか。

さらに言えば、職権で本日の参議院本会議がセットされています。本会議の定例日でもない本日、しかも採決すべき上がり法案もない本日、何のために本会議を職権で立てる必要があるのでしょうか。委員会での質疑を打ち切って、本会議採決に持ち込もうということは誰の目にも明らかじゃありませんか。こうした与党側の路線を象徴しているのが、残念ながら鴻池委員長であります。

私は法案には反対の立場であります。しかし法案への賛成・反対は別としても、与党・政府側の国会運営には多くの疑問があります。基本的なルールをないがしろにしていることが多すぎるのです。

本日もこの不信任動議の提出後に「なぜ?」と思うことがありました。ちょうど理事会で鴻池委員長への不信任動議、まさにいま議論になっているこの動議の扱いについて議論している頃でした。委員長に対する不信任動議が出ている以上、この委員会における最優先の議題はその動議の扱いであるべきです。委員長としての適格性・正当性に疑問符が投げかけられた以上、その問題を最初に処理するのは当然のことです。

つまり委員長不信任動議が最初の議題になることが分かっているにもかかわらず、中谷防衛大臣と岸田外務大臣が委員会室に、つまりこの部屋に入室し、そこの大臣席に着席していたのです。委員長の適・不適の採決の時、なぜ行政府にある閣僚たちが答弁席に座ろうとしたのでしょうか。要は委員長不信任問題を処理したら、すぐにでも法案の質疑終局にでも持っていきたかったのではないですか。道理にも反する、しかも慣例にも反するこうした行為を平然と行っている政府・与党側に猛省を促したいと思います。

以上、様々に申し上げてきましたが、審議も尽くされずに強行採決することなどは論外ということをあらためて申し上げながら、与党の横暴な国会運営には強く、強く、強く、強く、さらに強く、強く、強く、強く抗議して、委員長不信任への賛成討論といたします。

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