アメリカにおいてのダム撤去をテーマにしたドキュメンタリー映画『ダムネーション』(パタゴニア提供 ユナイテッドピープル配給)の企画プロデューサー、水中カメラマンのマット・シュテッカーさんが来日して東京での取材や各地での講演、そして日本で唯一始まった熊本県荒瀬ダムを訪問し、一部同行しました。
彼が語ったことで特に印象的だったことをいくつか紹介します。
「ダム撤去の素晴らしいことは、ダム撤去後にサーモンが戻ってくることだけではなく、伝統的な生活、文化が蘇ること」
「人々の力で変化は起こせると知ってほしい。ダム撤去は20年前は不可能なクレイジーなアイデアだった。それが実現した今を映画で知ってもらい、日本でも自然や文化を取り戻すことは出来るんだと知ってほしい」
「アメリカでも別の国でも、ダム撤去はたった一人の熱意ある人の行動から始まっているんだ。だから『ダムネーション』を観て、そんな熱意を持つ人が一人でも増えてくれればいいと願っているんだ」
川を愛し、長年日本で唯一ダム撤去が始まった荒瀬ダム撤去について活動を続けてこられたつる祥子さんもその一人なのかもしれない。11月24日、訪れた荒瀬ダムでマット・シュテッカーさんはこう語っています。
「日本で初めて撤去が始まった荒瀬ダムは、これから自然を取り戻していくこと、自然な川の流れを取り戻すこと、コミュニティを強くすることのモデルになる。
荒瀬ダム撤去が、川を愛するつる祥子さんのようなたった一人の熱意ある人の行動から始まったと知れば、誰もが熱意を持てば同じ様なことを起こせると勇気をもらえると思うんだ。日本にとってはとてもエキサイティングな時だと思うよ。アメリカでは沢山のダムを撤去しているけど、日本ではこれからだね。楽しみだよ」
すべての変化は一人の行動から始まる。私自身常々そう思っています。
つる祥子さんの荒瀬ダム撤去への動機は「鮎が戻ってくる川が見たい」 こともあるそうです。
そうですよね。ダム撤去が目的ではなくて、「鮎が戻ってくる川が見たい」ということが本来の目的なんですよね。
これまで『ダムネーション』をご覧になった方も、自然が取り戻されていくシーンで涙が止まらなかったと、ダム爆破よりもこちらの方に反応が多いように思います。
パタゴニア日本支社長辻井隆行さん、マット・シュテッカーさん、そして『ダムネーション』配給会社代表ユナイテッドピープル関根で、荒瀬ダムのある球磨川の支流に潜り、蘇りつつある川の魚を撮影しました。まだ撤去は途中ですが、たくさんの魚を目撃しましたよ!