12月には「師走」というおなじみの呼び方のほか、新しい年を迎えるために古い年を除く月という意味の「除月」という異名があるそうです。おなじ理由からこの「除月」の最終日、いわゆる大晦日は「除日」、さらにその夜は「除夜」と呼ばれます。
その「除夜」に寺院の梵鐘(ぼんしょう)をつく風習が「除夜の鐘」です。
東京都区内最古の木造建造物で国の重要文化財にも指定されている円融寺釈迦堂(東京都目黒区)では除夜の鐘プロジェクションマッピング奉納が行われます。
見慣れたお寺の境内が一夜限りで幻想的な景色に生まれ変わります。除夜の鐘とプロジェクションマッピングという、伝統と新しい技術の出会いをぜひご覧ください。
円融時除夜の鐘プロジェクションマッピング奉納公式ビデオ
(ビデオ提供:円融寺除夜の鐘プロジェクションマッピング奉納実行委員会/町田聡)
【2013年の様子】
【2012年の様子】
梵鐘をつく回数やその由来には諸説あるものの、108回ついて煩悩を払うという話がよく知られています。仏教で言う煩悩とは、人間が思い悩んだり悪いことをしたりする根源となる、心の悪しき動きです。108という数は、とても多いということを現すという解釈のほか、「六根」と呼ばれる眼・耳・鼻・舌・身・意の感覚器官、「三不同」と呼ばれる好・平・悪の感情、「二法」と呼ばれる染(影響を受け、けがれる)と浄(清められる)の作用、そして過去、現在、未来の「三世」のすべての数字を掛けあわせて得られる数という説があります。
計算式にすると六根(6)×三不同(3)×二法(2)×三世(3)=108となります。
この108の煩悩があらわしているものは、悩みや行動の源泉となるものは私たちの外にある「ものごと」そのものではなく、私たちの内にある「心」がそれをどのように感じ受けとめるかということです。例えば様々なしがらみにとらわれ、苦痛を感じているのだとしたら、それは厄介なクライアントの要望や、難しい上司の圧力や、無邪気なパートナーからの期待といった「ものごと」そのものではなく、それに極力応えたい、時間を割かれたくない、というように「心」が反応した結果なのです。つまり「ものごと」を受け取る人自身の「心」の動きそのものが、既に煩悩なのだと言えるでしょう。
そもそも煩悩は、過去・現在・未来の三世にわたるとされるもの。となるといくら除夜の鐘をもってしても、そう簡単に除けるものではなさそうです。しかも耳から入ってきた梵鐘の音が自分の心のフィルターを通ると、そこに新たな煩悩が生まれてしまうことになります。それでも除夜の鐘の伝統が続いていることの根底には、一年の間に抱いた自分の煩悩を見つめることで、これからやってくる年を少しでも良いものにしようという気持ちが働いているのかもしれません。
今年あなたは、その眼・耳・鼻・舌・身・意で、何を受けとめ、どのように感じ、それによってどう変化したでしょう。騒がしく慌ただしく過ごした旧い年を除く夜に、意味や理屈に支配されがちだった心身に梵鐘の音の響きをしみわたらせた時、あなたは何を感じ、その心はどう反応するのでしょうか。
円融寺除夜の鐘プロジェクションマッピング奉納
●場所 天台宗 経王山 文殊院 圓融寺(円融寺)
〒152-0003 東京都目黒区碑文谷1丁目22番地22号
●日付:12月31日
1部:21:00-
2部:21:30-
3部:22:00-
4部:22:30-
5部:23:00-
※雨天などで予定が変更になる場合は、円融寺ホームページに掲載します。(http://www.enyuu-ji.com/event/index.html#jyoya)
●共催:円融寺/円融寺除夜の鐘奉納プロジェクションマッピング制作実行委員会(代表 町田聡)
●協賛:株式会社コローレ/アンビエントメディア/一般財団法人 最先端表現技術利用推進協会/株式会社フォーラムエイト