サムスンも、スマホ市場の没落から逃れられない

はたしてサムスン電子の不振は、ギャラクシーの新型モデルが失敗したためだろうか? とんでもない。
A visitor walks past a logo of Samsung Electronics at the company's headquarters in Seoul on April 29, 2014. Samsung Electronics reported on April 29 its net profit had risen 5.9 percent year-on-year in the first quarter to 7.57 trillion won (USD 7.3 billion) but operating profit declined for a second straight quarter on slowing smartphone revenue. AFP PHOTO / JUNG YEON-JE (Photo credit should read JUNG YEON-JE/AFP/Getty Images)
A visitor walks past a logo of Samsung Electronics at the company's headquarters in Seoul on April 29, 2014. Samsung Electronics reported on April 29 its net profit had risen 5.9 percent year-on-year in the first quarter to 7.57 trillion won (USD 7.3 billion) but operating profit declined for a second straight quarter on slowing smartphone revenue. AFP PHOTO / JUNG YEON-JE (Photo credit should read JUNG YEON-JE/AFP/Getty Images)
JUNG YEON-JE via Getty Images

サムスン電子が7月8日に発表した2014年上半期の営業利益が、前年同期比で25%近く下落し、韓国に衝撃が走っている。これまでサムスン電子の業績を牽引してきたスマートフォン「ギャラクシー」が批判されている。はたしてサムスン電子の不振は、ギャラクシーの新型モデルが失敗したためだろうか? とんでもない。

サムスン電子の業績降下

ここ数年間、サムスン電子は自らの構造的不振を、ギャラクシーを宣伝することで何とか隠してきた。しかし、これ以上「スマートフォン市場の没落」の波を防ぐことができなくなっただけだ。(ここで言う「スマートフォン市場の没落」とは、売上に比べて収益性が極度に悪化し、市場の競争が激化する「レッドオーシャン」化現象をいう)

サムスン電子が批判されなければならないのは、これまでスマートフォンを宣伝することで時間とユーザーを確保しながら、モバイルの新しい収益基盤、例えばクラウドに移行するのに失敗したことだ。(もちろん、サムスンの企業文化では起きえないことなので、最初から期待もしていなかった)

なぜスマートフォン市場は没落するしかないのか? その理由は、スマートフォンがPCに似ていくからだ。

以下は私が4年半ほど前に書いた「スマートフォン市場はどうしてPCに似てしまうのか」という文を、読みやすく書き直したものだ。参考までに、この文章が書かれた時点はギャラクシー誕生から6カ月、韓国でiPhoneが発売されて1カ月たった時点だ。5年前の文章だと侮るなかれ。5年後の今の状況を言い当てている。

"スマートフォン市場はどうしてPC市場に似てしまうのか(2009年12月21日)"

スマートフォン市場がPC市場の没落の軌跡をたどる理由は簡単だ。スマートフォンがPCに似ていくからだ。分かりやすく説明してみよう。

1.半導体部品の標準化

ハードウェアを売って利益を上げる宿命のサムスン、LGなどセットメーカーは、部品購買単価を下げることがとても重要だ。部品を供給する半導体企業の立場で単価を下げる一番良い方法は原価を下げることではなく、同一製品を量産することだ。

技術のハードルが高い特殊製品を除き、汎用の半導体製品は、市場占有率が高い製品の原価が下落し続けている。市場大手の半導体企業は既存の規格に新たな機能を追加したり、インターフェースの規格を変える方式で後発企業の追撃を振り切っている。

あなたがセットメーカーなら、よく売れている(検証されたという意味でもある)、安価な製品を使うか。それとも、あまり売れていない高い製品を使うだろうか。PCの中核をなすCPU市場はすでにこの道をたどっており、一つのCPU製品に従属したPCメーカーは仲良く没落の道を歩んだ。

結局、スマートフォンの核心部品もこのモデル、つまり部品独占の道をたどるだろう。今の混乱した時期が過ぎれば、極めて経済的な理由で、多くて2~3個の汎用プラットフォームのみが生き残る。同一プラットフォームを適用すると、ハードウェア上の違いはない。結局、PCがたどった道をスマートフォンもたどるということだ。

2.インターフェースの標準化

今度はPCのハードウエアを見てみよう。現在、パソコンのヒューマンインタフェースはモニターとキーボードとマウス(タッチパッド)で構成されている。世の中のほぼすべてのPCが同じOSを採用し、同じ出入力の規格が定着しているため、ユーザーの側からは製品間の差を感じにくい。結局、購入を決める大きな要素は価格でしかない。

スマートフォンはどうか。グーグルフォン(?)と呼ばれるネクサスモデルをのぞいてみると、インターフェースはボタン4個とタッチパッドの大型画面だけだ。私は今後のスマートフォンのインターフェースはこの方式で統一されると予想する。その理由は 1.ボタンが増えれば増えるほど、製造単価だけが上がり 2. ソフトウェアのアップデートが大変になるからだ。

ハードやインターフェースが単純化、標準化され、そしてPCに近い強力なOSが搭載された瞬間、端末間の差がなくなる。残るのは、価格競争だけだ。

3.ハードウェアとソフトウェアの分離

PC市場が地獄に突入したもう一つの理由は、OS企業とセットメーカーが分かれていることだ。これは、成長する市場では問題にならないが、市場が成熟すると葛藤が始まる。OS企業は販売台数が増えるほど大きな利益(金銭又は市場支配力)を得られるが、セットメーカーは競合製品に勝つため、身を切る競争をしなければならなくなるのだ。

結局、すべての携帯電話会社は単価を下げるため、大きな画面だけがあるスマートフォンの道を行くしかない。現在の携帯電話会社が稼ぐ仕組みを抜本的に捨てない限り、選択の余地はない。

集積回路の機能と性能は徐々に強化され、携帯電話の機能は半導体チップに従属している。携帯電話の開発者にできる仕事はどんどん減っているのだ。つまり、他の携帯電話と差別化できる可能性がどんどん消えていることを意味する。(携帯の開発者なら、私が何を言っているか共感するだろう)

技術の発展で機能的差別化の可能性が閉ざされたスマートフォン市場は、PC市場と同じく没落の道をたどることになるだろう。

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