産後は思春期ばりに栄養が必要! 管理栄養士が教えるママの食講座

家事に育児に仕事にと忙しいママはつい、自分のケアや健康管理を後回しにしがち。

家事に育児に仕事にと忙しいママはつい、自分のケアや健康管理を後回しにしがち。

特に子どもが小さいうちは、お世話に追われて、自分の食事を手抜きしてしまったり、食べそびれてしまった経験を持つ人もいるかもしれませんね。

管理栄養士の榎本可菜さんは、子育て中のママがしっかり食事を摂ること、エネルギー確保することの重要性を説いています。

子どもの食事作りには一生懸命だけど、ついつい自分のことは二の次...... となってしまうママに意識してほしいことを榎本さんにお話ししてもらいました。

ストイックすぎた初めての子育て。

自分も子どもも体調を崩して完璧主義をやめようと決めた

編集部:管理栄養士のお仕事をしていて、実際ママで...... という人は子ども向けの食育講座を開いている人が多い印象がありますが、ママに対しての助言はあまりない印象です。榎本さんご自身はいかがでしたか?

榎本可菜さん(以下、敬称略。榎本):私は、自分自身の子育てで根を詰めすぎちゃって、体調を悪くしてしまったんです。

第一子の子育てでは「後悔したくない!」って思いがすごくあったので、冷え取り健康法や半身浴、菜食などからだにいいと言われることは何でも徹底的にやっていましたね。

一方でストレス状態があるのも良くないことは知識では分かっていたので、息抜きもしていたのですが、周囲からは「どうしてそこまでストイックなの?」と言われるくらい。

でも私としては「やりたいからやっている」というスタンスだったので、そう言われるのもイヤで......

ただ、そこから過食に走ってしまった時期もあったし、貧血で動けない、疲れがとれないなど、体調の不良は無くなりませんでした。また自分だけじゃなくて、子どもも貧血で入院することがあって、それはさすがにすごくショックで。

その時にポキっと折れてしまって、「完璧にこなすなんて無理なんだな」と悟りました。

産後のママは思春期ばりの栄養が必要!

お米をしっかり噛んで食べて胃腸を動かして

編集部:本当に「頑張りすぎてしまう」お母さんって多いですよね。

子どもの食育にはすごく熱心なのに、お母さん自身は食べることをおろそかにしていたり、逆にストレスを抱えて食べ過ぎてしまったり。食べることや健康を維持するのが難しいんだなと感じます。

榎本:食べすぎの定義も人によって異なるとは思いますが、産後って内臓(実際は子宮内)が大出血している状態なんです。だから、まず母体の回復が大事だし、母乳を出すためにも血液をたくさん作っていかなくてはいけない、となると思春期ばりに栄養が必要なんです。

また、胃腸が機能しているか、ちゃんと働いているかというのも肝になってきます。

新しい細胞を作るのにも体温を維持するにも、とにかくエネルギー確保は必須ですが、食べたものを体の材料に回す、エネルギー源に換えるというのはうまく代謝ができているかどうかが大きく関わってきます。

胃腸の働きそのものは子どもを産む前と後で劇的に変わるわけではないんですね。だけど授乳でお腹が空くからどんどん食べていると胃腸を駆使するから負担がかかっている状態です。

胃腸が疲れていると、免疫力が落ちるので風邪を引きやすく、治りにくく、疲れが取れにくくなることにつながるし、胃腸の機能が追い付いていない状態で食べても消化できていない、吸収できていないってことになるのでデメリットでしかなくて、悪循環なんですよね。

子どもを授かる前にしっかり食べて代謝する、体力を上げる状態に持っていけるのが理想ですが、今、体調がよくないことが、これから食を見つめ直すきっかけになればいいので、「米=太る」ではなくて、「米=エネルギー源であり、胃腸を動かすトレーニングになる」という知識を得てほしいなと思います。

お米って実はタンパク質もちょっと摂れるし、雑穀とかを入れると食物繊維やミネラルも摂れます。

そして、早食いしていると消化もうまくいかないので、一口目だけでもよく噛むことを意識してみてください。

編集部:確かにお母さんは結構早食いしてしまいますよね。あと、「赤ちゃんのお世話に追われていたせいで、お昼ご飯食べそびれてしまった」みたいなこともよく聞きます。

榎本:「食べそびれちゃった、食いっぱぐれちゃった」みたいなのは本当に絶対ダメです!

年に一回胃腸の休憩と回復を目的とした断食はメリットが大きくあると感じますが、日常的に食べない事を続けるとデメリットが勝ります。

「今日はこれだけしか食べられなかった」って言っていると、体が「自分はこれだけしかエネルギーが必要じゃないんだな」って覚えてしまって省エネ体質に順応してしまいます。

そうなると、まず体が何をしようとするかというと体温を下げるわけです。37度付近を保つのと35度を保つのに必要なエネルギーは違いますから。

結果、代謝が下がるとちょっと負荷がかかるだけで疲れるし、エネルギー(カロリー)も生命維持のために確保しておきたいため、消費せずにため込みます。

ただ、そこで「急に食べたから太っちゃった」じゃなくて、しっかり食べるのを続けていくと、体が「もっと食べていいんだ、燃焼してもいいのかな」ってまた覚え始めるんですよ。

ライター&編集長の食事内容をチェック!

見直すべきポイントは?

編集部:続いて、私たちの実際の食事についてフィードバックをお願いします。

まずは私、ライター真貝から。昨晩のメニューは雑穀ご飯、さんまの塩焼き、豚汁、厚揚げの焼いたもの、ブロッコリーでした。

なかなかのものだと自分では思っていますが、いかがでしょうか。

榎本:ご飯の割合は全体のどれくらいですか? お弁当箱に詰めたと考えてご飯はどれくらいになりますか?

編集部:うーん、4割いくかいかないかくらいですかね。

榎本:その割合を反対にするともっといいですね。ご飯を全体の6割食べても大丈夫です。

編集部:えっ、ご飯が全体の6割ってかなり多いですね...... すごくお腹いっぱいになりそう。

榎本:ただ、夜はお酒を飲みたいとかおかずを楽しみたいのならば、ご飯は少なめにして、

朝昼で多めに摂るでも問題ないですよ。全体で6割くらいになっていればOKです。

でもお酒を飲むときでも、お米を食べるとエネルギー源になってアルコールの代謝を促してくれるので翌日の体調もいいし、お酒が残らないというメリットもあります。

編集部:えっ、いいこと聞きました。これからそうします!

編集長 石根:私は最近1日1食です。最近、お昼を食べないという時間ハックを聞き...... 時短になるとか眠くならないとかメリットがあるらしくて。私自身、時短がかなりキーワードなので、参考にしているのですが、どうでしょう。

榎本:うーん...... 色んな切り口がありますが、胃腸って筋肉の膜でできているから使わないと衰えていってしまいます

しばらく寝たきりで過ごして久しぶりに歩いたら筋力が落ちてフラフラになるのと同じように、胃腸も毎日毎日使わないと衰えます。また、筋肉は年齢とともに必ず衰えていくので、若いうちから胃腸を使わない生活をしていると、60代,70代になったときに食べられなくなり、その結果、寝たきりや認知症のリスクが一気に上がります

介護の現場の人に聞いてみたら10人中10人が「元気な高齢者はみんなよく食べる!」って言うと思いますよ。

編集長 石根:何と...... その1日1食も麺が多いです。ご飯はあまり食べないですね......

でも確かに二十歳くらいからずっと体温は35度くらいです......

榎本:お米をしっかりと食べ出すと、体温は上がっていきますから是非やってもらいたいです。冬に底冷えせず元気でいられると、仕事のパフォーマンスもかなり上がりますよ。

ちなみに余談ですが、がん細胞が好むのは35度くらいです。体温上げていきましょう 。

編集長 石根:そうなんですね...... ちなみにサプリメントはどうでしょうか

榎本:基本的にしっかり食べて、その上で補うっていう点ではありだと思いますけど、エネルギーを確保する、よく噛む、胃腸を動かすということをすっ飛ばしてサプリメントだけ摂っても、肝臓に負担をかけるだけ、とかデメリットが強調されやすくなるとは思います。

結論からいうとやっぱりお米を食べるのが大事ですね。おかずはデパ地下で買ったものや、お刺身とかでいいのでお米とお味噌、あと海苔をおいしいもの揃えてゆっくり噛んで食べてください。

とはいっても、自分で意識しないとなかなか腑に落ちないとは思いますけど、お米をよく噛んで意識して食べるだけでも体調は徐々によくなってきますから。

お話している間、何度もお米を食べることの重要性を説いていた榎本さん。糖質制限が流行ったこともあり、太ることを気にしてお米を食べない人も多くいますが、その認識が誤っていることがよくわかりました。

寝たきりのリスク、と言われて編集長石根も心を入れ替えてお米を食べることを決意。仕事と子育てを長く並行していくためには、自分の体も意識していきたいですね。

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