子どもが左利き? 矯正した方がいいの?

左利きの人は右脳が発達しているから感覚的、などという意見を聞くこともありますが、根拠はかなり薄いようです。

利き手はどう決まる?

あなたは右利きですか? 左利きですか?

最近ではかなり市民権を得てきたとはいえ、やはり「少数派」の左利き。「右利きになおしたほうがいいよ」という人もいますが、本当のところはどうでしょうか。

実は我が家にも左利きの子がひとりいます。私、夫、長女、次女は右利き、三女だけが左利きです。

三女の左利きに気がついたのは、お絵かきなどで遊び始めた2~3歳の頃でした。もちろん、わざわざ教えたわけではありません。姉たちが何も教えなくても自然にクレヨンを右手に持つように、三女は自然に左手で持ちました。いくら右に持ち替えさせても、自分で左に持ちかえるのを見て「この子は左利きなんだ」とわかったのです。

利き手は先天的なものだと聞きます。右か左かはっきりするのは3~4歳の頃。教えなくても自然によく使う方の手が利き手になるそうです。人種や地域に関係なくどこでも人口の10%程度が生まれつき左利きで生まれてくるようですよ。

右手のほうが左側にある心臓を守りやすいため、右利きのほうが遺伝的に多い、という意見も聞いたことがありますが、本当かどうかはわかりません。9割もの人がなぜ右利きでうまれてくるか、理由ははっきりしていないそうです。

また、誰もがはっきり左右のどちらかに決まっているのではなく、やや右、やや左など多少の幅があるのだそうです。

ちなみに、右と左の両方が同じように使えるのを「両利き」、たとえば箸は右で鉛筆は左など、動作によって得意な側があるのを「クロスドミナンス」というそうです。

右利きに変えたほうがいい?

子どもが左利きだとわかると、親戚や知人のなかで1人や2人は「右利きに変えたほうがいい」と言う人がいます。私も実母にいろいろと言われたため、気になっていろいろと考えました。

教えなくても自然に左手を使うということは、脳がそのようにできているということ。無理に利き手を変えようと強制すると、脳に余計な負担がかかってしまうという説もあるそうです。「右手を使いなさい」としょっちゅう指示や注意をされる子も、する親もストレスが溜まりますので、私自身はおすすめしません。

ただ、右手も使えた方が便利な場面はあります。本人が嫌がらない程度に「こっちの手も使ってみようか」と誘ってみるのはいいでしょう。

同じように右利きの子も意識して左手を使うと、脳が活性化するかも知れません。

左利きって、こんなときどう?

左利きの子のママ・パパは「左利きは不便じゃないのか?」と気になりますよね。私も「保育園や学校で不便な思いをするのでは...」と気にしていましたが、結論から言うと、保育園から中学三年の現在まで、大きな不便はありませんでした。一般的に左利きには不向きとされる事象について、我が子の実体験を元にご紹介します。

ハサミ

よく心配されるのがハサミなどの刃物を扱うことです。左手で使うと通常のハサミは全く切れません。お子さんが左利きなら、左利き用のハサミを用意することをおすすめします。娘たちの通っていた保育園でも左利き用を用意してくれていました。恐縮していたら「左利きの子は一定数いるから、備品としてそろえているんですよ」とのこと。

小学生のときに学校で購入した裁縫道具も、図工で使う彫刻刀も、左利き用のものが選択肢として普通に用意されていました。デザインも右利き用と同じものがありました。

文字

左利きである三女は文字を覚えたての頃、鏡文字を書くことが多くありました。右利きである姉たちと比べても鏡文字になる率は高かったように思います。でも小学生になる頃には、ほとんどなくなっていました。漢字やひらがなの書き順は左から右が基本なので、右利きのほうが書きやすいのですが、左利きだと縦書きでも手が汚れないというメリットがあります。

左利きは書道では不利だと言われています。三女は書道が苦手でした。でもそれは左利きのせいではないかもしれません。右利きである私自身も習字や書道が大の苦手。右利きでも書道が苦手な人もいれば、左利きの書家もいます。

楽器

三女が習っているピアノと金管楽器では全く問題なし、周囲の人に聞いてみると左右両方を使う楽器では左利きのハンデはないそうです。弦楽器はもしかしたら不利かも知れません。たとえばバイオリンには左利き用のものがありますが、左利きの子が本格的にプロを目指すのは大変だそうです。

スポーツ

走ったり、投げたりといった個人技では左右の違いは全くありません。野球のように球技では左利きが有利になることもあります。サッカー、バスケなど心理戦ではフェイントをかけやすいと言えなくもないそうです。

三女は学校の体育のリレーでバトンを渡すときにちょっと苦労したようですが、その程度なら練習で何とかなりそうです。

食事

食事のとき、左利きの三女の左側に座ると、三女が使う箸が当たることがあります。かつて「箸だけは右で」という考え方の人が多く無理にでも矯正させていたのは、このことが原因かもしれないと思いました。我が家のダイニングテーブルがもっと大きければ問題になることはなかったでしょう。

意外にもナイフとフォークの使い方は早く習得できました。両手を使う、左で食べる、というのがあっているのかもしれません。

その他

ときどき言われる、「左利きは頭がいい」「左利きは天才肌」という意見。「モナ・リザ」の筆の跡からレオナルド・ダ・ビンチが左利きだとわかったとか、ナポレオン、バッハ、ピカソ、エジソンなど左利きとされる天才が多くいます。

右利きの人は左脳が発達していて常識人、左利きの人は右脳が発達しているから感覚的、などという意見を聞くこともありますが、根拠はかなり薄いようです。

【ライター 曽田 照子】

書籍、広告、WEB、フリーペーパー、情報誌など、多彩な媒体に執筆。

著書

「ママが必ず知っておきたい!子どもに言ってはいけない55の言葉」メイツ出版

「『お母さんの愛情不足が原因』と言われたとき読む本」中経の文庫

「お母さんガミガミ言わないで!子どもが勉強のやる気を失う言葉66」学研パブリッシング等。

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ワーママを、楽しく。LAXIC

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LAXICは、「ワーママを、楽しく」をキャッチフレーズに子育ても仕事も自分らしく楽しみたいワーママやワーパパ、彼らを取り巻く人々のための情報を集めたWEBメディアです

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