ラシク・インタビューvol.89
株式会社ワークスアプリケーションズ 高橋 俊晃さん
株式会社NTTドコモ 小野 俊樹さん
株式会社KADOKAWA 盛田 諒さん
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2016年度は前年度より0.51%増の3.16%と徐々に上昇し、少しずつ認知が広がりつつある男性の育児休業取得率。依然として少数派ではあるものの、男性が子育てをすることが普通であることを見聞きする機会は増えているのではないでしょうか。
今回、ラシクは実際に育休を取得した3人の男性の対談を開催。以前、単独でのインタビューに登場してくれた3人の男性が育休について、子育てについて、ぶっちゃけながら語ってくれました。
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仕事が楽しい時期でもあったけど、妻を支える時期があってもいいと思ったから育休を決意した(小野さん)
左)小野さん、右)盛田さん
編集部:本日は3人とも育休を取得したという共通項で集まっていただいたわけですが、自分から育休を取ると決めたのが高橋さん、奥様の提案が先にあったのが盛田さん、小野さんでしたよね。
盛田諒さん(以下、敬称略。盛田):私は妻から厚生労働省が作っているイクメンプロジェクトというHPの男性育休について記載されているページを全部プリントアウトして渡されました。
最初は男性が育休なんて取れるの?と思っていたのですが、私が質問するであろうことが全て書いてあって、そこで徹底的に叩き込まれた感じです。私自身も人生で一回しかないかもしれない出産に立ち会わないのはもったいないと思っていたし、育休もどうせ取れるなら取りたいなという気持ちはあったので、言われてしぶしぶ取得したわけではなくて育休を取れるという権利を与えられた感じですね。
小野俊樹さん(以下、敬称略。小野):男性も育休を取れることは知っていましたし、時代の流れも理解はしていたのですが、自分事としては考えられていませんでした。だから妻の留学が決定し、子どもも生まれることになって、「育休を取ってほしい」と妻から言われたときには戸惑いました。
最初は、僕が育休を取らなくても、向こうでナニーさんや保育園を利用したり、もしくは妻だけが渡米して、僕はこっちで仕事をしながら自分の実家に子どもを預けて...という選択肢もあるんじゃない?と思ってたんです。
ただ、やはり子どもを連れて行って、妻一人で子育てするのは難しいし、留学を応援したい気持ちもあったので、3人でハッピーになるならいいなと思って育休を取ることにしました。
僕自身も仕事が面白い時期でもありましたが、妻がやりたいことをやる時期もあれば、僕がやりたいことをやる時期もあっていいと思っていて、結婚する際に「お互いやりたいことについて、お互いが足かせにならないようにしようね」と約束したので、妻を支えようと決めた感じですね。
高橋俊晃さん(以下、敬称略。高橋):僕は周囲にパパママもいない、結婚もまだ先の話と考えている大学生のときから、将来は仕事に打ち込むより家庭を大事にしたい、子どもができたら育休を取るんだってずっと思っていたので自分から妻に「育休を取ろうと思っている」と話しました。
妻は「そういえば前からそんなこと言っていたけど本気だったの?」という反応でしたけどね(笑)
赤ちゃんが夜泣いて起きられるかどうかは夜オペに対する当事者意識の問題 ホルモンバランスなんて関係ない(高橋さん)
高橋さん
編集部:3人とも現在は育休から復帰されているとのことですが、日々、子育てにはどのように関わっていますか?
盛田:今は赤ちゃんが20時くらいに寝て、一度夜中3時、4時くらいに起きるんです。そこからまた寝ようとしても何となく目が覚めてしまうんで、とにかく日々眠いですね。
だから夜は22、3時に寝ないと体がもたないし、そうすると会社を19時か20時に出る必要がある。出版社勤務でそんなの無理だと思ってたけど、遅くまで働くことが自分の中で習慣になってただけでやってみると意外とできる。赤ちゃんに合わせて必然的に早く起き、早めに家事もして、早めに出社する・・・という生活になっていますね。
編集部:赤ちゃんが多少泣こうと、同じベッドで寝ていてもまったく起きないパパというのをよく聞く中、起きてしまう盛田さんはレアケースな気がしますが...。
高橋:赤ちゃんが夜泣いて、男性は起きられないけど女性は起きるのはホルモンバランスの力だ、とか言うけど、結局夜オペに対する当事者意識だと思うんです。
たとえば奥さんが風邪を引いてるから別室で一人で寝てもらって、自分が子どもと2人で寝ることになったら、夜起きられないってことはないと思うんです。仕事でも翌日大事なアポがあれば目覚ましがなくても起きるようなものだと思いますよ。
我が家は今、妻が時短勤務で、僕は帰宅が遅い日もあるんですけど、月に1回くらいはお迎えに行ってほしいと言われているので、第何週の何曜日は僕がお迎え担当、みたいな割り振りにしています。だけど「その一部分だけでイクメンアピールしているように見える」と妻から言われたり...。
小野:別にそんなに気張って子育てしているわけじゃないですよね?
高橋、盛田:全然ないです。
盛田:初めて子育てをする夫婦って新規ベンチャーを立ち上げた2人みたいなもんですから。最初の一か月は奥さんも動けないから、家事も育児も自分が中心になるし、そこからお互い分担していくことになりますよね。だから最初から2人でやっていれば、子育てすることは普通に捉えられると思います。
高橋:女性が妊娠して、体が変わっていくという、どうしようもない過程の差が男女間にはあるので、夫も早めから育児にかかわっていないと、子育てに関する各種スキル、考え方の格差が広がってしまう。途中から子育てに参加しようとしても、妻には「また教えなきゃいけないから邪魔」って思われてしまうかもしれないですよね。
盛田:男性は育児と言えばスキル重視なんだけど、女性にとっては辛いことを分かってほしいって気持ちの方が大事だと思うんです。それを途中から子育てに参加して、例えば「こうやったらいいんじゃない?」とか気軽に言っちゃって地獄を見るぞっていう(笑)
男性だって、奥さんから背中を押される一言をかけられたら育休を取ろうと思うかも(盛田さん)
盛田さん
編集部:とはいえ、具合が悪くても全て一人で抱えこんでしまう女性も多いと思うんです。男性育休にしても「うちの夫がそんなの取れるわけないわ」って勝手に諦めてしまっている印象もあります。
盛田:男性だって、赤ちゃんを育てることに興味はあると思うんですよね。
奥さんに「育休取って」って言われると最初は「えっ?」って抵抗はあるかもしれないけれど、ちょっと楽しそうだなって気持ちもあると思います。
私が育休宣言の記事を書いたときも、「同じ時期に同じことを考えていて、育休を取ることを迷っていたんだけど、この記事を読んで励まされた」と言ってくれた人がいたので、奥さんから背中を押される一言をかけられたら、育休を取ろうっていう気持ちになれる男性もいるんじゃないかなと思いますね。
ただ、「そういうことができる会社はいいよね」「そういうことができる家庭環境の人はいいよね」と気持ちにフタをしてしまっていたり、女性も男性が育休を取れることを知らなかったりするので、知識や情報が底上げされるといいなと感じます。
小野:育児休職を取るにあたって、社内で話をさせてもらう機会があったんですけど、2子目で育休を取りたいって考えている人が多くて、
「育休取得をいつどうやって切り出したんですか?」って質問も多かったですね。
【今回インタビューにご協力してくださった3名の過去記事はこちら】
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本音だらけの育休男子対談。後編は育休を切り出すタイミングの話から、男性育休の取得率が上がるためには、という話に続きます。
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【高橋 俊晃さんプロフィール】
大手OA機器メーカーでの営業職を経て2008年にワークスアプリケーションズに入社。コンサルタントとして自社製品の導入、保守プロジェクトに従事。2014年にリクルーティングDivに異動後、主にインターンシップを中心とした新卒採用に従事。2015年6月に第一子が誕生し、9ヶ月の育児休業を取得。男性の育休取得を推進すべく、ブログ「育休男子.jp」を立ち上げる。2016年4月に復職し、現在は管理Divにて財務担当として勤務。
HP:ワークスアプリケーションズ : 育休男子.jp
【小野 俊樹さんプロフィール】
埼玉県出身。京都大学大学院情報学研究科を修了後、株式会社NTTドコモに入社。法人企業向けの商品・サービス企画業務を経て、2011年よりコンシューマ市場向けのマーケティング業務に従事。サービスの企画開発および運用や、海外市場のマーケティング支援に携わる。2015年8月より育休を取得し、妻の留学先であるNYに帯同。2017年7月に職場復帰。
HP:小野さん夫婦のブログ
【盛田 諒さんプロフィール】
盛田 諒(Ryo Morita)1983年生まれ、暮らしのオンラインメディア「家電ASCII」編集者。2017年2月22日に男児を授かり、1児の父親に。3月1日から4月26日まで8週間の育児休業を取得した。目標ははたらくトロフィー・ハズバンド。
ワーママを、楽しく。LAXIC
文・インタビュー:真貝友香
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