忙しくても心を亡くさずに、前向きに仕事に取り組むコツ

ビジネスの世界でよく「急な仕事は忙しい人に頼め」と言われる理由とは?

「忙しい」の「忙」は、りっしんべんに「亡」という漢字でできています。りっしんべんは、「心」の字を立てて偏にしたもの。だから、忙しい=心を亡くす、と読めますよね。忙しくなると心に余裕がなくなって、家族や同僚、友人などに心ない言動をしてしまうこと、ありませんか? これはまさに心を亡くしている状態です。さらにはその忙しさから、「忙しい」が口癖になってしまうことも。でも「忙しい」が口癖になってしまうと、自分の心だけでなく、周りの人の心も亡くしかねません。

例えば会社で「忙しい」とばかり言っている人に仕事は頼みにくいものです。もし上司が「忙しい」が口癖でずっと残業をしていたら、自分が先に帰ることに心苦しさを感じるものです。楽しいはずの飲み会やお食事会で「忙しくて忙しくて本当に大変!」なんて話ばかりされたら、せっかくのお酒もお食事も会話も味気ないものになってしまいます。私たちに与えられている時間は1日24時間、皆平等なのに、「忙しい」が口癖の人の前では、自分がまるで一生懸命仕事をしていないような気分になってしまうことも。

でも周りを観察すると、きっと気づくはず。本当に忙しい人ほど「忙しい」とか「大変」という言葉を使わないということに。本当に忙しい人は、段取りがよくスピードも速いからこそ、どんどん仕事が入ってきても、正確でクオリティが高い仕事をすることができます。それに意欲的で仕事を快く引き受けるので、相手も「あの人に頼もう」と思いますし、自分も相手も心を亡くすことなく気持ちよく仕事ができます。こういう人はきっと、「忙しい」ではなく、充実感や仕事をいただけるという感謝の気持ちを感じているのだと思います。ビジネスの世界ではよく「急な仕事は忙しい人に頼め」と言いますが、これはこういった理由があってのことなのかもしれません。

私は時に余裕がなくなってしまうと、「忙しい」ではおさまらず、「仕事に忙殺されて......」という表現を使ってしまうことがありますが、「忙殺」だなんてあまりにも心がかわいそうですよね。言霊という言葉が表すように、言葉には不思議な力が宿っていると言われますが、心にも体にもダメージを与えてしまいそうな言葉はなるべく使わないようにしたいものです。

「仕事に追われている」というマイナスの気持ちでいるから「忙しい」とついつい言ってしまうのかもしれません。「仕事を追いかけよう」とプラスに気持ちを切り替えることができたら、自分の限界にどんどんチャレンジすることができて、自分の成長や相手の信頼につなげられるのではないでしょうか。

文章:宮崎路子(ライター@レアルタ)