不妊の原因の約半分は男性!? 男性ができる不妊検査とは?

日本では、妊娠を望むカップルのうち、6組に1組が不妊と言われています。しかし、"男性にも不妊検査が必要である"という認識はまだ広まっていないように思います。

現代の日本では、妊娠を望むカップルのうち、6組に1組が不妊と言われています。治療はカップルで行うのが原則ですが、 "男性にも不妊検査が必要である"という認識はまだ広まっていないように思います。

ブライダルチェック」のコラムにも記載の通り、男性の精子の力は女性と同じように低下し、不妊症の原因の約半数は図1のように男性因子が関与していますが、あまり知られていないのが現状です。

そのため、不妊の原因は女性だけではなく、男性にも可能性があることを知り、まずはご自身の身体を調べてみることも大切です。

WHO(世界保健機構)による精液検査データの基準値は以下のとおり。男性の不妊検査で一番簡便でわかりやすいのが精液検査です。

そこで、今日は精液検査について詳しくお話したいと思います。

◆不妊チェックの方法とは?

専門の機械を導入している施設もありますが、多くの場合、カップに採取した精子を顕微鏡で見ながら値を算出しています。この検査は、ほとんどの不妊治療施設で実施していますが、異常があったらスムーズに治療が行えるよう、「男性不妊の専門医がいる施設」「男性不妊外来を併設・提携している施設」での検査がおすすめです。

また、時間帯による日内変動や、日によって大きく違う場合があるので、正常であっても安心しすぎることなく、最低2回は検査してみてもよいかもしれません。

◆検査にかかる費用の目安はどれくらい?

保険適応1,000円~ブライダルチェックなどの自費診療5,000円~と、施設により価格はさまざま。事前に各施設に問い合わせてみましょう。

施設によっては、値の算出方法や検査項目が異なるため、せっかく検査をするなら、やはり、不妊治療専門施設や、男性不妊外来と併設・提携している施設がよいでしょう。

◆病院にはどうしても行きたくない場合にできること

先日、獨協大学越谷病院の小堀善友先生により、自宅で簡便に検査ができる「メンズルーペ」という商品が発表されました。これは、スマートフォンを使って、自分で精子が見れる検査キットです。

1度の検査で安心しないこと、あくまで簡易検査なので、次のステップとして、専門家のアドバイスをもらうことをおすすめします。

"女性が多い不妊治療施設には行きにくい"、"射精するから大丈夫"という方もいますが、射精ができても、精子がいるとは限りません。精液中に精子がいない、動きが悪い、過去に妊娠できても実は自然妊娠が難しいほど数が少なかった、というケースもあるのです。

最初は、"病院にはどうしても行きたくない"と思っていても、"病院に行ってみよう"という気持ちになるかもしれません。自分の身体を知る第一歩として、まずはこの検査キットを使ってみるのも一つの方法だと思います。

◆精液検査を考えた時に"一番大切なこと"とは?

もし、貴女がこの記事を読んで、"パートナーに検査をして欲しいな"、と思ったとしましょう。前述の通り、検査で結果を知ることは、将来の家族計画やライフプランを立てるために必要かもしれません。ただし、同時に、男性にとってはとてもセンシティブな検査です。

"もし不妊原因が自分だったら?"、"精子がいなかったら男として終わりだ"、"絶対知りたくない、知られたくない"とお考えの方も多く、実際に、夫婦で不妊治療に来られても、頑なに「自分は調べたくない」という男性もいらっしゃいます。

無理強いすることで、パートナーシップが壊れたり、プレッシャーで勃起不全や射精不全、セックスレスの原因につながることもあるのです。

一番大切なことは、検査を受けることではありません。

自分の身体について知る大切さを理解しておくことです。

自分の身体についての情報を得る方法として検査があるのですが、受けるか受けないかはご自身の選択です。検査を通してお互いの体について知ることができたら、パートナーと、次のステップの話し合い、人生設計の軌道修正など、二人で今後の生き方を考えるきっかけにもなることでしょう。

知らなければ、漠然とした不安に悩まされてしまうこともあるかもしれませんが、検査結果という情報があるからこそ、納得して意思決定ができることもあるはずです。

そのため、無理強いせずに、まずは検査を受ける意味をパートナーと話し合ってみましょう。同時に、もし、結果が思わしくない場合でも、フォローする施設や窓口はたくさんあることを忘れないで下さい。

以前不妊治療の記事でご紹介した不妊専門相談センターでは、専門家による電話相談や面接、メールでの相談ができます。

まずは、このような検査があること、その結果をフォローする施設やシステムがあることを、情報として知っていただきたいと思っています。

Lealta(レアルタ)/ライター:荒木 依理(不妊症看護認定看護師・生殖医療コーディネーター)

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