仕事に活かす「知・好・楽」のエッセンス

「これを知る者は、これを好む者に如かず、これを好む者は、これを楽しむ者に如かず」という論語の教えを一言で表したものが、「知・好・楽」。

「これを知る者は、これを好む者に如かず、これを好む者は、これを楽しむ者に如かず」という論語の教えを一言で表したものが、「知・好・楽」。

これを仕事に例えると、その仕事を知っているだけの人は、仕事を好きな人にはかなわない。さらにその仕事を好きなだけの人は、仕事を楽しんでいる人にはかなわない、ということになります。

日々の仕事を義務感でやるのではなく、その仕事を好きだという気持ちを持つ。そうすると、努力を努力と感じることなく、仕事に没頭することができる。そうすると、自然と上達して、結果に繋がったり他の人の役に立つことができて、それが楽しさに繋がっていきます。

「知・好・楽」のエッセンスには、そんなポジティブの連鎖が凝縮されています。

私たちは、人生の3分の1の時間を仕事に費やします。時間は過ぎてしまったら取り戻せないからこそ、その貴重な時間を楽しく過ごしたいですよね。

例えば日々ルーチンワークに追われて仕事がつまらないと感じている場合でも、気持ちを切り替えて、そんな仕事をきちんとこなせることに誇りを持ってみることで、仕事を好きだと感じるきっかけに繋がると思います。そして日々のルーチンの中で改善できる点を見つけたら、積極的に取り組んでみて、それが結果として目に見えてくるようになれば、きっと楽しくなると思います。それに誰もがつまらないと言って事務的にこなす仕事を、意欲を持って前向きに取り組む姿は、周りから見ていてもとても気持ちがいいですよね。

あのイチロー選手も、

● 7年間、ホームの試合がある日は必ずランチにカレーを食べていた

● 球場入りから,試合に入るまでの作業,練習,試合終了の作業までがルーチン化されている

● 打席に入るまでの作業もルーチン化されている

といったルーチンにこだわりを持っていましたが、これは最高のコンディションで大切な時に集中できるように、しっかりとしたルーチンで準備をしていくという考えに基づいたもの。だからこそ、10年連続200本安打という前人未到の大記録を達成できたのだと思います。以前、「モチベーションは、野球が好きだということです」というイチロー選手の言葉を聞いたことがありますが、まさに「知・好・楽」を体現しているように思いました。

もう1人、「知・好・楽」を体現していると思うのが、京セラの創業者で、日本航空を立て直した立役者の稲盛和夫さんです。稲盛さんは新卒で入った会社が倒産寸前で給料の支払いも遅れ、同期も次々に辞めるような状況。自身も仕事を辞めて自衛隊へ入隊しようとするものの、お兄さんに説得されて会社にとどまることに。でも鬱々とした気分をぬぐいきれないまま仕事を続ける中、このままではいけないと気持ちを切り替えて研究に没頭するようになってからは、いい実験結果を残すようになり、上司に認められ、仕事が面白くなってさらに努力を続けると、役員の方からも高い評価を受けるという、ポジティブな循環が生まれたそうです。そんな稲盛さんは当時を振り返り、「会社を好きになったこと、仕事を好きになったこと、 そのことによって今日の私がある」と言っていました。

これは、どんなに嫌な仕事でも、気持ちを切り替えて意識を集中させて、心を込めて取り組んでいると、ある時それが好きになって楽しくなるという、いい例だと思います。

「知・好・楽」への近道はないかもしれませんが、まずは何でも前向きに捉えて一生懸命やってみる、それに尽きるのかもしれません。

注目記事