特定失踪者家族会が発足 ICC(国際刑事裁判所)に申し立てめざす

家族会は今後ICC検察官に対し、特定失踪者に関する人権侵害について調査と責任者の処罰を申し立てることを活動の中心に据えることを決めている。

特定失踪者家族の写真を掲げた家族会の親族たち

北朝鮮によって拉致された拉致被害者は政府が認定する「政府認定拉致被害者」17名、と北朝鮮による拉致の可能性を排除できない失踪者警察庁発表の870余名がいる。政府認定の拉致被害者は法的に認定、保護されているが、「警察庁発表の870余名」については政府の法的な保護や支援が無いに等しい。

政府の拉致対策本部からの待遇に未認定の「特定失踪者」家族からは差別ではないかとの声も上がるなど不満が高まっている。政府に頼るだけでは問題の先が見えないと家族会を結成し、国際的な活動の展開を模索し出した。

相次ぐミサイル発射実験や米韓軍事演習、アメリカ海軍の空母打撃軍の朝鮮半島近海への派遣など北東アジア情勢は急変している。それだけに拉致被害者の家族にとって自分の身内の命運が尽きてしまうのではないかと焦燥に駆られ、眠れない日々を過ごす人も多いと聞く。

これまで忍耐を重ね、政府や関係団体に家族との再会を託してきた拉致被害者家族が、自ら家族会を結成し、より活発に広範囲に救援の輪を広げようとしている。

私も81歳残された時間がない

5月の家族会の発足で家族会の会長に就任した大澤昭一さんは、弟の孝司さんが新潟県佐渡島で県庁職員時代の1974年2月に失踪した。就任の挨拶で苦しい心情を述べた。

「私も今年81歳、もう残された時間はありません。この時点で、我々家族の一番の目的は、北朝鮮からの救出、再会です。この目的のために、三年前のストックホルム合意の履行の交渉以来、履行を期待しておりましたが何の動きもありませんでした。私たち家族にとっては忍従する毎日でした。」

ICCへの提訴で目的に近づく

「今年こそ最後のチャンスだと思い、今何をしたら一番目的に近づけるか、先生方から意見を聞きながら、ここで家族会をICCへの提訴など、取り組んではどうかという家族の願いが本日の集まりになりました」

拉致被害者を調査する「特定失踪者問題調査会」に届け出のある470名のうち11人の家族が会見に臨んだ。家族が名前の公表を希望する270人のリストをICCに提出したという。

家族会は今後ICC検察官に対し、特定失踪者に関する人権侵害について調査と責任者の処罰を申し立てることを活動の中心に据えることを決めている。

■特定失踪者家族会の役員は以下の通り

会長 大澤昭一(大沢孝司さんお兄)

副会長 矢島文江(荒谷敏生さんの妹)

副会長 藤田隆司(藤田進さんの弟)

事務局長 竹下珠路(古川了子さんの姉)

幹事 生島馨子(生島孝子さんの姉)

同 高野美幸(高野清文さんの妹)

同 板野佳子(非公開失踪者○さん妹)

同 森本美砂(山本美保さんの妹)

同 吉見美保(秋田美輪さんの妹)

同 水居徹 (水居明さんの父)

同 植村照光(植村留美さんの父)

同 中村クニ(中村三奈子さんの母)

(文/北朝鮮難民救援基金理事長 加藤博/北朝鮮難民救援基金 NEWS July 2017 № 105 より転載)

特定失踪者家族会発足記者会見(動画)

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